すべてのおすすめ
愛しいと綴らぬ代わり
速達で、と告げましょう
思い煩うこころに替えて
所在の分からぬ神様に
祈りましょう
微かに雪の匂いのする声は
幸福の理由に充分すぎて
零れる音色が
深 ....
針葉の青に誘われて わたしが森に這入ると
ここにも あそこにも 木が立っていて
空からくる陽を 受けとるために
木々は あちらこちらに 枝を伸ばして
地面に影を落としていた
一本の木 ....
目一杯に指を開いて
その間から覗く世界は
少しだけ明るすぎて
いつものように目を閉じていく
はらはらと花の散る道が
視界の端には、何処にでもあった
午前五時
空を埋める目覚ま ....
円盤が
おまえの頭上高くを浮遊する
未確認の淋しさを乗せて
円盤は 氷点下の空を浮遊する
おまえの淋しさを憐れんで
おまえの淋しさに同調して
(いずれも認められていない淋しさ)
空の白さ ....
真ん中が欠けたから
ドーナツ
ビルばかり並んで
空が遠くなった
大通りは渋滞の波
自転車ですべり抜ける
みんな何処へ帰るんだろう
真ん中が欠けたから
ドーナ ....
想いの底辺には 夜がある
底の抜けたコップ
無限の水槽
すべての星に名前をつけることなんてできない
本当にそう?
挑戦してないのに言うのはなしだよ
目に見える範囲で好き勝 ....
ぼくらはみな、生まれつき、
魔法をかけられているんだ。
その証拠に。
背がのびる。
歩けるようになる。
ことばをおぼえる。
好きな歌ができる。
好きな人ができる。
だれにそ ....
貴方が見ているのは
ワタシの内なるもの
貴方が触れているのは
ワタシの内なる魂
仮想現実に住み着いた
もう一人の自分
心も
言葉も
考えも
想いも
願いも
異 ....
雨や 雪や
青のこども
葉のうら ひたい
金のふるえ
さしのべられた
指のかたち
空の穂になる
うたごえになる
やわらかな
ざわめきの四角
とじこめた色 ....
掴んだ腕に舌を這わせて
気が狂うまで接吻を重ねて
白い肌に爪をたてて抱きしめて
そのまま雪に血を落として
間違ってなんかいない
ただ本能のまま そのま ....
十字架にはりつけられ
{ルビ頭=こうべ}を{ルビ垂=た}れる人に
今迄私はいくつの石を投げてきたことだろう
{ルビ尖=とが}った石の言葉で誰かを傷つけた日も
心無い恋の海に溺れた夜も
....
星座になるのは簡単
目を閉じて
時間の数だけ
ふたりを
結べばいいから
星の距離で
僕はペンギンのおなかが気になる
あれはかたいの?
それともやわらかい?
ペンギンがやってきて
僕をみて ほほえんだ
おしてもいい?
ペンギンは駄目だという仕草をして
帰っていった
....
神様が生まれた日に
僕は自分の始まりについて考える
蝋燭の炎がゆらゆらと時を刻み
その身体を縮めるようにして
わずなかな明かりを灯している
神様が生まれた日に
自分の存在以外に ....
神さまも
仏さまも
信じてなんかいないけど
マリアさまのメダリオンと
十字架を首から下げてる
初詣に行って
手を合わせたりする
金縛りにあえば
般若心経なんか唱えてみたりす ....
降り始めた雪に濡れながら
翔る若葉よ
じゃれて 絡まり
互いに触れた体の温もりを
互いの手の平に感じただろう
彼等は 彼等は
何処へ行ったのだろう
....
糸のほつれた万華鏡が
壊れかけながら空へ昇り
鳥に追われる鳥を隠した
ふるえつづけるふたつのものが
失いながら抱きあいながら
空を光にもどしてゆく
青と金は ....
五十八の石段を
数え終わる頃には
湿気を帯た冷気が
まとわりつく
空が
見え隠れする木立は
小さな欲望が
うごめきを見せるよに
さわさわ
ざわざわと
社の片隅
秘密の場所にも ....
ヘッドライトを浴びて踊る雪は
しだいに密度を増して
行く手の視界が遮られる
海岸添いのゆるやかなカーブが
永遠に終わらないという錯覚
私たちは
どこへ ....
(今日の日付をつぶやく)
灯台の未来
石段の螺旋をおりていく
水平線はかすかに騒めき湾曲している唇だ
防波堤を渡り
砂浜へと呼吸を滑らせる
ヨットの帆は風に膨らみ
反転した星のように ....
小さな丸いテーブルに
精一杯の気持ちを込めた
小さな丸いクリスマスケーキ
一夜の窓より街の賑わいを見おろすと
そこかしこで肩を寄せ合う恋人達の姿は
語り合う言葉の響きに酔いしれ
ク ....
皮膚という薄皮の中に
なまあたたかい
生がある
そう思いこんでいる
骨にまとわりつく体を
巡っていく流れに
生がある
そう思いこんでいる
あなたとつない ....
空白で満たされたかなしみだったら
何もかも詰めこんでその色うすくできるのに
藍色や虹色や何もかも満たされた場所の
そのうえに座りこむかなしみがとまらない
どうしたらいいのさ ....
三千年の時を経た公孫樹の雄木が
銀の葉を降らせる
銀の葉を降らせる
銀の葉は薄く鋭く尖り
銀の葉は優雅に旋回しながら
荒涼の野に振る
三千年の時を経た公孫樹の雌木が
金の実を落とす
....
墜落
世界中の飛行機が
あたしに向かって
落っこちてくるんです
轟音が
部屋のなかで駆けめぐって
いつまでも出ていくことがなくて
轟音がみしり、と
壁を引き裂いて
....
死にたい奴はさっさと死ねばいいんだよ
何を思いとどまっているんだい?
世間に世界に人間に
幻滅して絶望して
さぁ早くその手首を切るが良い
さぁ早くその首を括るが良い
例え自由をどう勘違 ....
なだらかな夜の背骨の上を
滑るようにして僕は歩く
温度を持たない
曲がり角を曲がり
名前を寄せない
ガードをくぐる
透明感を隠した街に焦がれる
僕を覆う他人の溜息
....
煌星がひとつ
静寂に耐えきれずに
堕ちてくる
差し延べた
救いの手を
そっと抱き寄せる
言葉など
いらない夜だから
開きかけた唇を
そっと塞ぐ
地下鉄から生まれた人たちが
夜の寸前で吐き出されている
空へ続く四角い階段
斜めに染まる街の角度で
溶かされそうになっている
午後六時は動き出せない
指先も爪先も逃げるように
眠るに ....
おまえがほんとうのことを口走る度に
鳥の翼から羽毛がぬけ落ちる
世界はやせ細り 目に見えるものすべてが
絵に描かれたものとして溶けてゆく
たとえば可哀相な妹が
人に知られぬ速度で後退する時
....
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