それが自分の破滅を招くとしても
もう決して
自分が自分に恥じること
卑しい行いはしない
私は自分自身の弱さに打ち勝ち
正しい行いをする
遥かな静かさの声に
耳を傾けてみれば
自らが今に在ること、
過去からの行為
今生を貫き頭部へ
滲み拡がり幾重にも
未来未知へ棚引き入りつ、
静かさの声の尚も遥か
此処 ....
左右の花瓶に生けた
百合の花
花びらの隙間に
ひと雫の涙
もう二度と会えないんだ
花の香りに慰められるのは
僕の方
空っぽの手のひら
重ねる君の手はない
閉じ込めた記憶
....
とけてゆく熱視線
ついにあなたはサングラスをつけて
塁にランナーはいない
どちらのチームにもヒットさえない
何が当たり前なのか知れないが
きっと引退した先輩は
テレビでこの野球中継 ....
お見舞いを書くのは
ふつう七月か八月だったけど
六月の梅雨どきに
「猛暑の候いかがお過ごしですか」
という葉書を出したら
笑われるだろう
それでもほんとうに
実に暑いから
冷房理で ....
今が平和(しあわせ)だって本当に言えるかな
耳も目もすべて塞いで
知らないフリして
メンドクサイことは全部放り出して
命すら国に任せて殺りたい放題なんてそんなのホントに平気なの
脅されて ....
人間が
あれほど残酷で
おぞましくなれるのなら
私は鬼で蛇なのが良い
虐め抜く時の
あの生き生きとした声
明らかに虐めることを
楽しんでいる
それが人だと言うのなら
私は望ん ....
洗濯機のとなりで
展覧会があった
淡い色だった
人々が行儀よく
並んでいた
わたしも会場に
入りたかったけれど
チケットを
衣服と一緒に
洗濯してしまった
昨夜折った笹舟を ....
取り出した言葉はその人の歴史に裏打ちされた「言語」の上に成り立っているから短詩にすると目立つのだろう。才能ないと気づきわかっている人は文章を書くときは長文にして刃を隠すほうがよろしいのかと思っ ....
少女がしゃがみこみ
自分の影を古いアスファルトに垂らしている
路地裏、午後三時、大安の日
アパートの二階
アルミの冷たい窓枠に肘をついて
しばらく一人でぶつぶつ何事かを嘆いている彼女を見 ....
そろそろ
楽しかったことだけを
話せたら
そう思っても
ひどい思いをしたこと
愚痴
恨み節
荒れる三回忌
こんなにも執着を遺して
きっと寂しがりやなんだ
逝った人も残された ....
ゆったりとした音楽
慌ただしく鳴るカップ
霞んだ間接照明のなか
忙しなさとスローとが交差する
人の話し声はやがて子守唄となり
瞼を重くする魔法
誰もが他人には無関心でいられる
....
女の完成は早い
男の完成は遅い
しかしジジババの道は長い
そう遠くなくやってくる
ババの境目に
何を思うか考える
離反する兵を見る
指揮官の気持ちではないか
ガタガタ言 ....
色んな物を目に焼き続け
色んな事を心に刻み続けてきた
そんな私の体はもう
ぼろぼろさ
爺婆になると子どもになっていくと言っても普通の爺婆は子ども心のワクワクドキドキのエキスが足りない子どもの歌のニッキニャッキのように好き嫌いはだめで残さず食べてだいじょーぶぃカルビはビールにあうか
....
脳髄に
絶えず影踏みしつつ
自らを貫くもの、
この私と云う意識の
舞台にて
その生動スル想い
響キ聴く
過ぎゆくものノその根音 、
残響させては
絶えず絶えず逃れるも ....
心当たりがないことを
指摘されて戸惑う
それは本当だろうかと
疑ってみるけれど
自分が思う自分と
他人から見た自分は
イコールにはならないようだ
意識のないところでも
自分を発信し ....
神さん
仏さん
ありがとうさま
今の今
腕時計を見ると
午後三時三十三分
もちろん
今も過ぎてゆく
こころを
生きるのは
悲しみや苦しみ
そして
喜び。今は亡き
次兄は
お ....
屋形船に乗りたい、と
あなたが言うので
わたしは台所に
船着場を作ることにした
ホームセンターや森で
材料を集めて
冷蔵庫は多少
使い難くなったけれど
何とか船着場が出来た
....
時計の針が前にすすむと「時間」になります。
後にすすむと「思い出」になります。
── 寺山修司
紫陽花に雨近づくや曇り空
もどり来て ....
此の空漠の地に
影像だけ現れては壊死し続ける、
絶えず垂直に降り注ぐ霊雨
、
人の魂に永劫の眼を刻み込みながら
魂の内に宿り今一つの生動する思惟の
人の心眼見開かれる ....
わっと沸いた群衆の
笑い声が刺さる
関係ないのに
関係ないからか
苛立ちを覚える
さみしい
だけだろうか
仲間に入りたいかといえば
嫌だ
暗澹たる気持ちが
重症化させる
誰かの無 ....
夏空が青く呼びかけるから
今日はノースリーブのワンピースを着よう
名前もしらない花々に挨拶し
サンダルで出かけよう
冷えたいろはすの桃を片手に
結露するほどの冷涼さで
火照る頬を潤しながら ....
「ハハッ!」
今日もぼくは、そう言った。
カメラがないはずの部屋でも、つい言ってしまう。
それはもう、条件反射みたいなもので、
もしかすると、脚本に書かれてるのかもしれない。
そう、脚本 ....
政府が進めている、「ムーンショット計画」なるものがある。これは、2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現しようというものだ。ボクが説明するよりも、内閣府のサイトのア ....
水の稜線をたどると
椅子の肘掛けは
今日も閑散としていて
グラウンド整備を終えた
儚い高校球児のように
窓ガラスから先へと続く金魚に
適量の餌をあたえた
息に触れようとして
....
蛾蛾蛾、
長い長い年月の、
土とホコリの溜まった、
そのアルミニウムの窓枠に無数に繁殖するに至った、
その、ちいさなちいさな三角形の飛翔体、
蛾、
蛾蛾、
蛾蛾蛾、
蛾蛾蛾蛾蛾蛾、蛾蛾 ....
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