私の瞳に映る翠の波
歌うようにうねり爽やかな風を起こす
私は眠りから醒めて大切な時間を探すの
輝きと幸福とが包み込んだ笑い声
それは私にとってのたからもの
いつまでも微睡んで微笑みを浮かべて ....
詩を書くときに「詩の不在」に目を奪われすぎてしまっているのではなかろうか。あなたの読みはとても澄んでいて深いのだから、もっと「詩の余白に差し込む光」が届かないところに言葉を投げかけてはくれまい ....
豊かな世界は
どんなものだろう
足りないものばかり
数えている
衣食住
満たされ目盛は
どんどん上がって
一向に辿り着けない
今の足元
掌にあるもの
心細くて
もっと何か ....
憂い寄りの風に誘われ
魂の呪いを麻痺させて
太古の夜の神をたどって
余韻も朝に溶けてストップ
一時永久の遊泳もストップ
資本の蹂躙と混沌の昼間
立ち止まればタチドコロ
悪夢の襲来 ....
声帯が未遂に終わった
夏の初めの頃
植物は止まり
蟻の巣は時間をかけて
退廃していった
立てかけられた
日傘、と
ひとつまみの酸素
光化学スモッグの半日は
残務整理に費やされ ....
重なる影に光が滲む
冥(くら)くて紅い円形画いて浮かぶ天(そら)に思いを馳せ
僕はまた君を見上げる
誰かにとっての正しいは
誰かにとっては間違いで
誰かにとっての間違いは
誰かにとっては正しくて
輪郭だけが埃のように
転がってグレーになる
神や仏を信じてみても
何の役にも立たな ....
待ちかまえていたのか
折悪しく雨がぱらついて
遠くない駅までの道を濡れていく
JRで一駅先の改札を出ると
もう雨は止んでいて
踏切の向こう、陽ざしが流れおちている
滝のう ....
ふきぬける
ふわっと
そよぎ
よちよち歩き
赤子のむちっと
短き両の腕に
寄り添いて
たおやか凪いで
さやか夏の朝
へっちゃむくれ
ゆえに愛しきかな
あふれ出す時の
今を追い越 ....
スーパーにスイカがたちならび、買い物客は上腕をむき出しにしている
夏至が過ぎた日の日中は、もう夏のような暑さが
巨大円盤となって上空を覆っている
希望というのは、日にあたった蛞蝓のように動かない ....
宙返りで着地するために
訓練するヒトはいるが
訓練するネコはいない
宙返りで着地することが
できてすごいのはヒト
できて当然なのはネコ
筋肉が
ムキムキのヒトはいるが
ムキムキ ....
やっと
やっと
夢のたまごが見つかった
やりたいこと
もしかしたら
自分を活かせるかもしれないこと
ずっと傍らに
ヒントは転がっていたのに
決して気がつかなかったこと
まだま ....
いのりをつめてことのはをつむぐ
ゆるくまるくおさまっていくこうりんのいびつなねつも
やがてはそらにかえるでしょう?
りょうてでまもるようにかざしては
ゆびさきからぜんし ....
植物園前で年配の女性に声をかける
戦争法案反対のビラを渡して署名もしてもらうためだ
「もしよろしければお願いできますか?」
しかし、女性からは歯切れの悪い言葉が返ってきた
「戦争法案反対い ....
頼る宛もなく、深夜のベッドタウン
僕はそぞろに歩いている
苦渋たる道
俗にそれは二人の隔たり
紛れもない
ひとつとひとつの魂のズレ
通り過ぎてく人はいない
車もバイクも通らない
ほ ....
真夜中に稲光で目覚めた
とおもったけれど
ふと目覚めたらたまたま雷が光ったのかもしれない
きれい、と怖れ、は
ちいさな箱に同居してる双子
エレベーターに「故障中」の張り紙が貼られている
....
真夜中のビル街
隙間を縫うバイクが通り過ぎた
その後は静寂
高層ビルの上層階は
曇り空に覆われ
屋上の赤いランプが
鈍くぼやけて点滅している
誰かはいるのに
誰もいない雰囲気
ガ ....
小さな瓦屋根の付いた
土塀が続くわき道で
赤い郵便バイクとすれちがう
黄土色の築地塀はひとところ
くずれたままになっていて
原付のエンジン音が
その空隙から逃げていっ ....
私のこころには
ちっぽけな美しさがある
ささやかな優しさがある
愛された記憶がある
愛した記憶がある
ただただ
愛するひとの幸せだけを祈った純粋がある
醜さに満ちたこころにも
....
古株が遠慮してゐる金魚鉢
根詰めるなと今にも母が言いさうな
花遍路なつかしき人は風の中
色とりどりの光と人混み
やけに上昇した体温と匂いに押されながら
僕は自転車に跨りながら泳ぐ
目的地はやけに遠く
岸にたどり着くにはやけに重量のある波に
ぶつかり続かなければならない
....
しと しと しと
ざぁざぁざぁ
イッテシマッタネ
イッテシマイマシタ
しん しん しん
ざぁざぁざぁ
アシハミエタヨネ
アシハミエマシタネ
夏空来て
梅雨のお葬式、遠去かり
....
8月6日や8月9日と一緒だという
他国から見たらそういう存在だったんだろうか
今他国ごとのように見ているこの光景は
自分のことがわからないように
自国のことはわからない
わかっているのは ....
職場での問題やら
他色々と
出口が見つからず
地団駄を踏む心持ち
状況がすぐ見えず厄介である
自分を少し見失っているよう
これはいかぬと思い
久方ぶりにお茶を ....
遠くからの雨が
仰向けで倒れたままの僕たちの瞼にも恵まれ
封じた楕円に触れてもいい頃合いだと知らせる
呼び鈴が鳴らされたが
出ていけない
、 ない……が湿った封筒を差し出し
黒い口を開 ....
ちょっとした言動にも青筋立てて怒り出す
本人以上に他人に礼節を重んじる
自分の意に反すれば騒ぎ立て
特定班だと個人情報を拡散する
正義の矛先を他人に向け
自分は何も間違っていない
善いこと ....
夜毎の夢に開け入る現、
ほら 一昼夜おいて昨夜の更に
鮮明に浮き立ち
私の思考生命の今に響き刻み込まれ
日々この世の側 遠くとほい此の感触、
残響し続ける大宇宙 詩想し続ける小宇 ....
吸って
もっと吸って
やわらかくして
揉んでやわらかくして
来て
こっちに来て
クーリッシュみたいに溶けて
飲み込むだけ
みんな真っ白になって
クーリッシュみたいに溶けて
飲み ....
食卓に箸置きを添える
といってもそれは箸置きとして売っていたものではなく
両端をねじられたキャンディ型のフォルムの
ベネチアンガラスの小さな置物で
ずっと前に
ベネチアの運河に架かった
橋 ....
電車に乗ると
二つ先に海岸駅という名の駅がある
海岸駅、と言っても
降りてから海までは男の人でも
歩いて三十分以上かかる
近くまでたどり着いても
海岸線に沿って細長く続く
フェン ....
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