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福島で除染作業に携わる人の中に
二十代半ばくらいにみえる若い女の人がいた
TVのインタビューに
「働かなければ食べていけないので」
と答えた砂埃の中の彼女の姿が
忘れられない

彼女が今 ....
二十歳くらいの頃
梨の皮をビーラーでむいていると
それを見た父が怒りだして言った
「そんな梨は食べたくない」

わたしは内心、バカみたい、と思ったのだが
火に油を注ぐのも面倒なので黙ってい ....
なつのよる、満月の路や
夕暮れてゆく公園、回旋塔の下や
線香花火が咲いた、一瞬の光の下で
見つけた
かげぼうろたち
かじってみたら
やさしくほどける
ほおってみたら
ふうわり浮かぶ
 ....
角砂糖をひとつ
半ズボンのポケットにしのばせて
もし敵がきたらこれを投げつけてやる
ときみは言った
角砂糖が飛び交う戦場では
だれも死なない
蟻が大発生し
甘いみずたまりを泳ぐことだろう ....
鞄の紐が千切れた
それは長財布と数珠を入れたら
もう手一杯になるくらいの
小さな黒い鞄
仕方ないので
それを胸に抱えて歩く

ごめんね
ごめんね
人波に逆らって
死んだ仔猫を胸に抱 ....
昨日産まれたばかりの吾子は
わたしの横で寝ている
なんてかわいいのだろう
産毛のような髪の毛
耳も口も鼻も小さいけれど
とても精巧に作られていて魅入ってしまう
閉じられたまぶたの中でどんな ....
公園通りを抜けたところで
突然、大粒の雨が落ちてきて
石畳を駆けぬけ
アーケードに避難した

濡れた前髪から
昨晩のヘアトリートメントのにおいが
密かにたちのぼる
フローラルウッディの ....
気がつけば一面の緑のなかで
途方にくれていた
どこから来て
どこへ行こうとしているのか

すでに熱を失って
剥製のように軽くなった
小鳥のむくろを
両の手に捧げている

はばたいて ....
 「氷」

口のなかの体温で氷がほどけていく

世界が終わるかのような
とどろきを上げて
北極の氷山も海にくずれおちていく

さよなら

夏の真ん中で
わたしが失ったのは
透明 ....
庭先に咲いていたのはほおずきの花
日常からわずらいを引き算したような
うすい黄色の小さな宇宙
秋になってそれは赤く実籠る

ほおずきの実には毒があり
かつて堕胎するために使われたと知ったの ....
真夜中に稲光で目覚めた
とおもったけれど
ふと目覚めたらたまたま雷が光ったのかもしれない
きれい、と怖れ、は
ちいさな箱に同居してる双子

エレベーターに「故障中」の張り紙が貼られている
 ....
食卓に箸置きを添える
といってもそれは箸置きとして売っていたものではなく
両端をねじられたキャンディ型のフォルムの
ベネチアンガラスの小さな置物で
ずっと前に
ベネチアの運河に架かった
橋 ....
生き物として残り時間はもうそう多くない
やっかいなのはいつまで、なのかは誰にもわからないこと
いっそ自分で決めてしまえば楽になるのかしら

喫茶店でクリームソーダを飲みながら
思い出を誰かに ....
月乃 猫さんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(13)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
石の糸- そらの珊 ...自由詩8*25-9-16
- そらの珊 ...自由詩18*25-9-2
かげぼうろ- そらの珊 ...自由詩16*25-8-29
角砂糖- そらの珊 ...自由詩14*25-8-24
- そらの珊 ...自由詩20*25-8-21
ト或ル朝- そらの珊 ...自由詩12*25-8-17
通り雨- そらの珊 ...自由詩14*25-8-13
埋葬- そらの珊 ...自由詩14*25-7-17
続いていくのかな- そらの珊 ...自由詩9*25-7-14
サイダーとほおずき- そらの珊 ...自由詩15*25-7-4
アパートメント- そらの珊 ...自由詩13*25-6-27
箸置き- そらの珊 ...自由詩9*25-6-25
朝がやってくる- そらの珊 ...自由詩13*25-6-23

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