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気がつけば一面の緑のなかで
途方にくれていた
どこから来て
どこへ行こうとしているのか
すでに熱を失って
剥製のように軽くなった
小鳥のむくろを
両の手に捧げている
はばたいて ....
「氷」
口のなかの体温で氷がほどけていく
世界が終わるかのような
とどろきを上げて
北極の氷山も海にくずれおちていく
さよなら
夏の真ん中で
わたしが失ったのは
透明 ....
庭先に咲いていたのはほおずきの花
日常からわずらいを引き算したような
うすい黄色の小さな宇宙
秋になってそれは赤く実籠る
ほおずきの実には毒があり
かつて堕胎するために使われたと知ったの ....
真夜中に稲光で目覚めた
とおもったけれど
ふと目覚めたらたまたま雷が光ったのかもしれない
きれい、と怖れ、は
ちいさな箱に同居してる双子
エレベーターに「故障中」の張り紙が貼られている
....
食卓に箸置きを添える
といってもそれは箸置きとして売っていたものではなく
両端をねじられたキャンディ型のフォルムの
ベネチアンガラスの小さな置物で
ずっと前に
ベネチアの運河に架かった
橋 ....
生き物として残り時間はもうそう多くない
やっかいなのはいつまで、なのかは誰にもわからないこと
いっそ自分で決めてしまえば楽になるのかしら
喫茶店でクリームソーダを飲みながら
思い出を誰かに ....