ガス燈の灯る、
光の街は
地図にない
ヴィヨンの橋影が
夜の流れに
揺らめいている
街行く人も
名を伏せた仮面のまま、
濡れた石畳の道を
忙しく
通り過ぎた
裏通りの女も ....
半月を過ぎる未だ手前、
夜陰の上弦引き絞り
闇に閉ざされた弓の
残りの弧 夕刻から
薄っすらと今に黒光り
浮き出し円を描く折 、
想い一にして人の脳髄に
影踏み落とす自我それ自体
....
禅宗の硬直、堕落よ
ただひたすらに座ること
自分でいろいろ体勢を変えながらも
苦行を戒められた釈尊の
その教えも省みないで
警策でたたく
作法にこだわる
それに何の意味がある
人間は動 ....
どんないろがすき
あおいいろがすき
クレヨンに巻かれた包装紙が画用紙をこする音
が部屋を満たす
リリーは一日寝ている
サリーは右手にフォークを持ったまま、
左手を器用に使って手づかみで ....
ムシムシ
またムシムシ
確信的ムシ
ムシし続ける
終わらないループ
ずっとずっとずっと
出口のないトンネル
まっくらで気味が悪い
そしてムシムシ
またムシムシ
平気でムシ
ムシが ....
6歳だった
80cmの溝を飛び越えられずに
何度も何度も砕けたのは
歯が欠ける衝撃があった
頭蓋骨をぶつける痛さがあった
心底、怖かった
泣きながら家に帰ると
泣くな!と父が怒った
ど ....
やさしい心に
みっつの涙が落ちる
誠実な心に
みっつの汗が落ちる
なにかを引っ掛けようとして
鈎に身をむしられ
こゝ、といって詰まり
呂れつが
りっしん偏
わたしはいまどきの
字が ....
未来の道筋 自ら司り司られ
沈黙の凝縮の一点と向かい合い
、
動きは時は止まり留まり続け
チンケな卑小な私事から解き放たれ
五年だけ時を共有クロス離れ愛
しっ ....
システマティックに確認できないこと
人間の目視の職人技的正確性と
人間の目視だからこその不正確
今日もいくつもの瞳が瞬きを忘れて
行ったり来たり
大切なことは0と1の隙間にある
....
本当を知るのが恐い
わたしたちを
グリーンスパイクは身を震わせて
時に火の息を吐き、
ふり落とそうとしている
ただ振り落とされないために
回転するスパイダー咲きの
....
ゴミステーションで
水色の捨て金魚を拾った
可愛がってください
という手紙が添えてあった
水槽も金魚鉢もないから
洗濯槽で飼う
上から覗き込むと
金魚は驚いたように
奥深くに潜 ....
真夏のさなか
もう風は
一足先の
秋の空気を
連れて来ている
赤トンボが
悠々と飛び
稲穂は実りに
お辞儀して
浅い夜に
涼やかな虫の
声を聴く
鈴虫の独唱
リイィィ ....
四角い顔によく似合う
四角い眼鏡によく似合う
視界良好よーそろそろ
まちのしかいは
眼鏡のレンズ
魚眼が見る
マサキ
まわるコンクリートから
目のはしでとらえる
四角い眼鏡が運ば ....
東京駅で(またもや)ぶつかりクソじじいにぶつかられて有楽町の駅まで吹っ飛んばされてる間にわたしの頭のなかに浮かんだのは(いまだに詩なんて書いてるからだよ)それから(有楽町でぶつかられたことはないな ....
信号機の青 と、
群青色の空が重なって
眩暈に吊られてしまいそうになる
一日の仕事が終われば
世界の一日が始まる あさぎりの夏
また朝刊二軒分ほど残ってしまった
むろんわたしの ....
きびしい、
現実の靴底に、容赦なく踏みつぶされた、
その蝶の夢の、ぐちょぐちょが、
きみの蛹をかたちづくった、
ごくありふれた、
きわめて地味で地道な蛾が、
ごくありふれた、
日常の風景 ....
真夜中、夜の公衆便所
消毒済の白磁の便器のなかで
妊婦がひとり、溺れかけていた
壁面の塗料は、鱗片状に浮き剥がれ
そのひと剥がれ、ひと剥がれのもろ ....
人、一人
死んでも生きていても
響き続け在り続ける
終わることなき
宙の想い 只
この世でのその展開を
それぞれの個性に依って
普き光の大洋から
掴み取り追創造する
唯一の媒介項、僕 ....
えー、左目の失明が近づいてきて、下手すれば死ぬ
かもしれないという情況で、(持病の脳動脈瘤から
来てるみたいなので)もうこの際、言いたいこと書
いて投稿させていただきます。
とはいえ本人は決し ....
「あなたの物質の闇を吹き飛ばしなさい。そうすれば霊に出会うから。
あなたの霊の闇を吹き飛ばしなさい。そうすれば神に出会うから」。
──サン・マルタン
....
なにかを探して
なにかに追われて
胸のざわざわが何なのか分からなくて
ほんとうは知りたくなくて
ぼんやりと海がみたくなった
胸が痛くて
それがなぜか知りたくなくって
とおい夕焼けをみてい ....
発車ギリギリの電車に飛び込んだ
座れたけれどだるい
夏期講習サボってどこか遊びに行きたい
そう思いながらYOASOBIを聴いている
サラリーマンのおじさんおばさんたちも
疲れた顔してスマホを ....
アボカド
ブロッコリー
椎の木
言葉
滑り落ちていく坂道
ブランコの途中
ところにより雨
ソファーで聞いてる
包丁の音
いつもの思い出話
壊れた玩具と
無くした部品
外 ....
広くつづいた枯野の道は
骨ばかり
高く乾いた冬空に
黄昏月の悲しげな瞼の赤らみ
涙の匂いがしないように
化粧水をたっぷりふりかけて
いかなる慰めも求めていない
....
鳩の頭(あるいは)、
{ルビ鏡=self}の記憶(の爲に)
{ルビ土手=triangle bank}(の上を)
{ルビ尻=earth}(を問わず)
....
リズミカルに打ち寄せる波
灰白に崩れ浜辺に拡がり
漆黒の直線幾つも貫き、
後光帯びる今生の虚空、
やがて訪れる深い夜闇に
点る明澄な灯り震え揺れ動き
繋いだ手を離し
立ち上が ....
遠くサイレンの聞こえる朝
会社の広い敷地内にある
コンビニエンスストアのごみ箱へ
がらん! 落とし込まれる
リポビタンD の空き瓶
心地よい冷気を後にして
配属先の建屋ま ....
体に絡み付く蔦
爪を立てるようにして肌に食い込む棘
否応がなしにそれらの思うがままに身を任せ
赤く染まりつつある姿を晒す私
放射線状に幾重にも映る我が身は
醜い一匹の老獣
眠り際の訪れ、
最後の最高の最古の
際の少年の少女の
囁き叫び ささやか
祟るよな呪いのよな
尊い声のヒビキヒカリ
僕の私の眼を見てと
ちゃんとしっかり
じゃないと、
耳 ....
どこまで行ってもきっと同じなのに
なぜ僕たちは止まれないのだろう
目を閉じて耳を澄ましてる
波の音がきれいだった
僕たちは
ここにいるよ
ここにいるよ
いつまでも
終わらない夢 ....
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