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白い肌の巨大な魚は
まだ窓際に横たわっていた
今になって気付いたことは
目だと思っていたところが模様で
模様だと思っていたところが目だということと
魚は最初から
こちらを見 ....
廃田の草を刈っていると突然大雨となった
しばし、刈り払い機を雨の当たらない所に置いて
雨の中に立ったまま私は辺りを見ていた

これからのことを打ち消すように
雨は降りしきり、そしてまた
何 ....
湿る金属 の臭いと 舌の先

{引用=金属は湿っている
唇は乾いている

それは六月二十三日
信号は点滅している}



主の無い 蛍袋と 荒屋敷

{引用=壺屋の水は ....
蒼いインクを流し込まれて
世界は行き暮れた
やがて長い夜が明け
暮らしの屋根から細く立ち上るかまどの煙や
打ち寄せられた農具さえ
インクの色に染まっていた


それでも 鐘の音を聞くと ....
白いカーテンの揺れる部屋は
少し黴臭く、湿っぽい
レンタルベットの軋む音の中に
心臓だけになった母親は 小さく呼吸を繰り返していた

はじめて母親の大きな身体が剥がれたのは 小五の夏休みだっ ....
教室で黒板を見つめていた
隣の席のワタナベくんは遅刻をしてきて
コンビニ袋からおもむろに
焼きそばパンを取り出して食べはじめた
イスを傾けて教室の後ろの壁につけてもたれていた
倫理の担当は臨 ....
この道の
最果ての夜明けで
または、
赤い月の落ちる砂漠の中心で、

裁断用のハサミで
制服のスカートを切りあおう

か細い指で、ずっしりとしたハサミを持って
瑞々しい太腿を切ら ....
お人形遊びの
楽しさを知らない

綺麗な服に着せ替えて
髪を梳かして

それから?

あんまり虚しくて
人形にドロップキックさせたら

あの子とはもう遊ばないって言われた

 ....
{引用=
 毎晩、おなじ夢をみていた。 

 わたしは、丘の上にいる。神さまといる。丘のふもとは男たちで埋め尽されている。男たちは、肉に飢えている。わたしの肉を、欲している。わたしはかれらを ....
熱風吹く光の午後、
女の子が木に登って
何かを夢中で取っている

何を取っているの?

思わず私がそう問い掛けると
女の子は秘密を見られた顔をして
突然姿を消してしまう

木の下に ....
タイムループのあなたは

何度も私に会いにきてくれた

いつも結末は違ったけれど

その度に、私は

あなたのいない6月28日の朝を迎えた




「なぜ記憶は遺伝し ....
〇一日目
お盆には帰ってくる? と聞けば
コロナ次第かな、と答える息子
じゃあね、と手を振る
新幹線の改札口
人はこんなにもさみしくなれる
胃袋までさみしさでいっぱい

白薔薇
花言 ....
午前四時と五時の間で世界は更新されている

深夜帯を泳ぐ
腹の膨れた子供たちの
ざわめきが 液晶越しに
蜃気楼のように 揺れている

更新ボタンをクリックしても
残像はどんどん ....
あなむにしす αναμνήσεις


 すべて無くしてしまった
 その記憶だけが積もって
 ふたりはひとつになって
 ひとつはみんなになって
 そんな頃のあなむにしす

 ....
まいにち鉛筆を削る
一本でいいんだ無心に削る

まいにち本を読む
一頁でもよくてジャンルも問わない

カレンダーがひとつづつ塗りつぶされてゆく
でも鉛筆を削らないと本を読まないと墜ちてゆ ....
 祖父の無線アンテナが世界中から不幸を手繰り寄せていた
朝はもう昔だ。ツユクサやイヌノフグリに覆われたあの土の
盛り上がった一角、あそこが祖父を埋めた場所だと、誰から
教えられた訳でもなくずっと ....
夜明けの太ももは
物事を知りすぎて
動く気配もない
左よ、流れろ

真夜中のフラッシュバックに
首筋が次々と
反応したからなのか

カーテンの隙間に殺菌される
右脚が
あきらめ半 ....
その蜜をかけて
わたしのすきなバニラの
エッセルスーパーカップに
全部にかけたいけれど
大きいので
内の蓋を少し開けて
半分ね


地面を舐めている
落とした自分のを
命にな ....
今日高曇りの空の下、
肉を引き摺り歩いていた
春という大切を
明るみながら覚えていく
妙に浮わついた魂を
押し留めながら、押し留めながら

離れていかないように
剥がれていかないように ....
木曜日
オーブンからだされた
スフレが
しぼんでくのを
みてました

色色な声のするのを
きいたり
きかなかったり
している
木曜日が
金曜日になろうと
している
幼 ....
名を与える。
それは魔法。
そのもののかたちをあらわし、いつでも呼び出すことができるようになる。
ひとに伝えることができるようになる。
口から口へ、文字から文字へ
なにもかも、どこまでも伝播 ....
空間に
手を差し出し
ゆっくりと
上下左右にかき混ぜる 
けれども
存在する
はずのグラスは
見つからない
空間は
次第に重く澱んでいき
だらんと開いた手のひらに
粘りつくように ....
イタドリ
への呼び掛け
イタドリ
からの応答

脳内に再現を試みる
すると現れる
囚われる
熟語
観念

繁茂
群生
侵攻
旺盛な生命力
厄介者

文字を消去して ....
君は正座をしながら
アイロンをかけている
脂っこいものや甘いものを
食べ過ぎてはだめ
そうやってしわを伸ばしていく
部屋を出るときは
必ず鍵をかけてね
そうやって生地を裏返す
平積みに ....
手のひらに乗るような今日
ニュース垂れ流し
季節はずれの雪
できなかったお花見
デリートキーが消耗
立ち止まれない、
色とりどりのマスク
冬物十割引
道ゆく手荒れ
傷のないランド ....
家に帰ってきたお父ちゃんが
おまんこしか言わなくなった
昨日まで真面目な人だったのに
でもそういうこともあるのかなと思った
人間いろんな面があるし
急に別の面が顔を出してもおかしくはない
 ....
花が咲いていた
透明な花だった
不安げに 宙を見つめて
静かに淡く咲いていた


その花を殺すために
私は今も生き続けている
毎日を 拾い集めて
私は今も生き続けている


音 ....
話して 話しつづけて
話しても仕方の無いことを
病院の屋上から見えるもの
遊ぶ犬たちのことや
食べられてしまった飼い兎のこと
売薬の無駄遣いで喧嘩しても すぐにほぐれて
直らない足の痛痺れ ....
じっと海中を見つめ
掴み上げるその指先から
海があふれ
魚が泳いでいく

じっと海中を見つめ
掴みかかるその魚の輪郭に
無数の影が拡がる
走っていく
指先が輪郭に触れ ....
    *

芝生の上で
むっくり起き上がる
一枚の落ち葉

長い間のしかかっていた重しが消え
身体も乾いた

深呼吸すると
葉脈の透けた胸にも
風が流れ込んでくる

もう一 ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ノート(57Y,6・21)- 木立 悟自由詩120-7-3
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- Lucy自由詩13*20-6-27
母親の変態についての手記- ゆるこ自由詩12*20-6-25
隣のワタナベくんと焼きそばパン- かんな自由詩720-6-24
空を切る、斜め上からの投下- ゆるこ自由詩9*20-6-18
リカキング- ガト自由詩6*20-6-18
海鳴り- 羽衣なつ ...自由詩12*20-6-18
木の実(改訂)- ひだかた ...自由詩720-6-17
to_you_(to_me)- mizunomadoka自由詩220-6-17
花言葉ダイアリー- そらの珊 ...自由詩15*20-6-15
明け方のフォルテ- ゆるこ自由詩520-6-9
あとごふいおん- AB(な ...自由詩520-6-7
間伐- 梅昆布茶自由詩1020-6-2
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代謝- 木葉 揺自由詩820-5-25
グッバイ、バニラ- 唐草フウ自由詩9*20-5-25
春の意志- ひだかた ...自由詩720-5-22
スフレ- はるな自由詩320-5-2
名を与える- 凍湖(と ...自由詩320-5-1
空と盲目- ひだかた ...自由詩920-4-25
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雪が解けて・・- Lucy自由詩5+*20-3-28

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