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音楽のせせらぎ
跳ねまろぶ輝き
クスクス笑いを隠すように
去っていった
あの永い一瞬
瞼の裏にホチキスで留めたまま
耳をふさぐ風
風のふところ
雲のにおい
クジャクチョウは目を覚まし ....
柳がゆれていた
小さな氷の粒が
各々太陽を抱いて踊っていた

卵をひとつ割るように
今日という日は生まれた
宇宙がそうだったように

ヒヨドリの声で問う
己とは
欠片ばかりで像を結 ....
冬のささやきに染まる頬
たぶらかされる唇もまた
つめたい 
熾火のよう 
ことばは
今朝の淡雪すら溶かしはしない
樹々を渡るすずめらの
目くばせほどのぬくもりも
変わらない距離で深まっ ....
{引用=直視できない静物}
しっとりした朝だ
一夜で山の色味はずいぶん変わり
黄ばんだ光の川底
紫陽花は
くすんだ化粧の下
よく肥えた死を匂わせる

寡黙な季節の形象を前に
ついこと ....
ずっと夜に引っかかっていたい
蜘蛛の巣の落ち葉みたいに
まさぐる闇に身をまかせ
ふるえながら黙ったまま
水中に咲く花のよう
静かに息を
ひらいてとじて
やがて夜光虫が模様を描き出し
嘯 ....
秋は遠い
肩にこうべをあずけて眠る
ひとりの女のように

一匹のトンボがくぐりぬける
それ以外なにもない
綿の花をあしらった
青くくすんだヴェールの下

静かな死者の息づかい
遠く ....
いまは夏休みということだ
同じアパートの一年生がアサガオを持ち帰り
朝晩水をやっている
ここ数日の暑さも少しやわらいで
きょう風はさかんに木漏れ日をゆらしている
濃い影から飛び立った 一羽の ....
ふたり分の沈黙を乗せて
笹舟は遠ざかる
意識を過去へ葬るための
ひとつの光の繭となって

むかし使っていた腕時計が
どこかで針を揺らしている
重ねた手が夜の魚のよう
夏の体温に静かに跳 ....
海は薄く
曇り空
祖父の白目のよう

  *

憂鬱 ぬれたシャツ
窓ガラス 溺れる目
切れた唇から飛び降りた
ことばが膝に刺さって赤く咲いている

クジラがしゃべったみたい
 ....
生はうたた寝の夢
死は深い眠りに落ちること
起床ラッパで墓から出でる
そうでないならそれもまたよし


 辻に立つ風
  霧雨をまとい

 枝をくぐった
  ツグミの声に

  ....
わたしは曇ったガラス窓
指先で書く文字の向こう
許容できない現実が冬の仮面をつける

ひとつの痛点が真空を真中から押し潰す
円く膨らむ響きの肢体 震えの侵食を
包む衣としてまなざしは海
 ....
{引用=鬱蒼}
鉈で枝をはらう
雑木林に入口をつくる
入ったからといってなにもない
暗く鬱蒼としたそこに
誰を招くわけでもないが
時おりもの好きな通行人が
ちょっと覗いては去ってゆく
 ....
{引用=空白葬}
空白を肥やそうか
みかんを剥くみたいに
あの赤裸々な寡黙
仰け反って天を食む
ことばの幼虫
インクのように膨らんでゆく影
化石は顔を残せないから
ハンマーで殴っても
 ....
{引用=献盃}
あそび心にこだわるあまり
一生をあそびで終えたあなた
ごらん菩薩のドーナッツ
はち切れんばかり空の空





{引用=一色}
砂粒飲んで顔色も変えず
空き地の ....
{引用=季節は詩作と飲酒を奨励する}
ナナカマドの実を髪に飾って
わたしの夢と現実を行き来する
顔のない女のようなものが
縫い付けたり解いたりして
季節の匂いを囁いている
雨上がりのしどけ ....
{引用=*}
溺れそうな空
まつわる光はまつ毛に重く
秋桜に迎えられ
坂の上まで送られて

いつも喪服を着た
踏む者もいない影が
ことばを忘れたものたちの
風とまぐわう声を聞く

 ....
きみの猫をデッサンする
きみに興味はないけれど
液化する時間
揮発した時間
猫を追いかけた
自ら曾祖父の手をとってジルバを踊る
ああ激しいアクロバット
でも着地点はわきまえた
よもやま ....
二人の会話も水没して遺跡へ還る
時の流れは表層にすぎず
ましてや真っ暗闇
マッチ一本擦って消えるまでの
意識といのちの混同なんて

またすぐ誰かに発見されて
再定義される
そうやって繰 ....
{引用=水に溶ける道化師}
 あの尻に開いた窓との間に
雨の幕
 ブロック塀を上手から下手へ
  一羽のスズメ 
   踊る小娘
米を撒く
   無礼千万
豆も撒く
   満員御礼
 ....
言葉の仮面をつけて
詩のようななにかが四肢を点滅させる
素足の子供らが光と影をくぐり抜けて
遠い落日へ吸い込まれてゆく
記憶の感光 夏に燃やされる手紙の束

{引用=*}
夜を転がるビー ....
皇女は嵐を飼っていた
嵐は乳房に纏わっていた

どこからか瑠璃色のヤンマが静かに
目交いにとどまっている

まやかしのような口元が匂う

大路を抜けて山へと折れる道
狂わす水がいざな ....
ひとつの声が磔にされた
影が七つ震えていた
見つめるだけで魚の群れを孕み
蒼いシーツをまとって巻貝を奥へと遡るひと
血を流す鍾乳石
鏡自身の顔 
その微笑み
宝石箱に喰われた指
そのク ....
{引用=鳥たちよ}
ヒヨドリが鳴いた
喉を裂くような声で
天のどこかを引っ掻いた
それでも皺ひとつ寄らず
風の布は青くたゆたい
樹々の新芽を愛撫するが
ささやき返す葉はまだない

公 ....
{引用=カラスのギャロップ}
北国の春は犬連れでやって来る
ぬかるんだ地の上を
着物の裾を汚しながら遅れてやって来る
太陽は雌鶏
ぬかるみが半分乾いたころ目覚ましが鳴って
あとは忙しく吹い ....
{引用=冬の髪の匂い}
雪の横顔には陰影がある
鳥は光の罠に気付かずに
恐れつつ魅せられる
歌声はとけて微かな塵
雪はいつも瞑ったまま
推し測れない沈黙は沈黙のまま
やがてとけ
かつて ....
{引用=衝突}
虚空をただひたすら遠く
時の道を踏み外すところまで
それとも落下
全ての存在の至るところ
深淵の 
真中の
針先で穿たれたような一点へ
そんな慣性のみの
生の旅路であ ....
{引用=ヨナクニサン}
大地の振り上げた鞭が三日月に絡んだ朝
重さを失くした新雪をふるい分けて這い出した
ヨナクニサンの群れ
マイナス8℃の空気をふるわせて厚い翅はゆらめく
縄文の焔 畏怖と ....
寒さがやさしく悪さして
濃い霧がおおっていた

蜂のくびれにも似た時の斜交い
あの見えざる空ろへ
生は 一連の真砂のきらめきか

四つの季節ではなく
四つの変貌の頂きを有する女神の
 ....
{引用=習作たちによる野辺送り}
鏡の森から匂うもの
一生を天秤にのせて
つり合うだけの一瞬
混じり合い響き合う
ただ一行の葬列のため

 *

軒の影は広く敷かれ
植込みの小菊は ....
泣きぬらしたガラス
とり乱す樹木
細く引きよせて
下着の中へ誘いこむ
風とむつみ合い
あお向けに沈んでゆく
せせらぎも微かな
時の河底
陰影に食まれながら


缶ビールを開けて
 ....
七さんのただのみきやさんおすすめリスト(73)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
春偏愛- ただのみ ...自由詩5*24-3-31
非在の姉弟- ただのみ ...自由詩4*24-1-13
冬の裸歩き- ただのみ ...自由詩8*23-12-3
美しい灰- ただのみ ...自由詩8*23-10-21
夢魔の膝枕- ただのみ ...自由詩9*23-10-8
孤独なポーン- ただのみ ...自由詩5*23-9-30
百鬼百景- ただのみ ...自由詩5*23-8-5
怪異のはだえ- ただのみ ...自由詩6*23-7-30
影の居場所- ただのみ ...自由詩4*23-4-9
白痴美返し- ただのみ ...自由詩4*23-3-12
逃避ではなく殺害- ただのみ ...自由詩6*23-2-4
冬の禁断症状- ただのみ ...自由詩4*22-12-10
歓喜の歌から逃げだして- ただのみ ...自由詩6*22-11-19
湿潤- ただのみ ...自由詩3*22-11-6
火星人は見た「そんな雰囲気」の嵐を- ただのみ ...自由詩4*22-10-9
快楽からの追放者- ただのみ ...自由詩3*22-9-19
きみの猫をデッサンする- ただのみ ...自由詩1*22-8-28
球体の幽霊- ただのみ ...自由詩3*22-8-14
遊泳禁止- ただのみ ...自由詩3*22-7-17
ふるえる秒針- ただのみ ...自由詩2*22-6-26
鬼女遠景/石と花- ただのみ ...自由詩4*22-6-11
鼓笛隊は反旗をひるがえす- ただのみ ...自由詩4*22-5-15
不憫な子_そう呼ばれたかった大人たち- ただのみ ...自由詩5*22-4-17
言葉の煽情的ボディライン- ただのみ ...自由詩8*22-3-20
ポケットには丸めた鼻紙だけのくせに- ただのみ ...自由詩5*22-2-5
泥棒する青空- ただのみ ...自由詩5*22-1-30
まずは釘で傷をつけてから- ただのみ ...自由詩4*22-1-9
いのちの湿度- ただのみ ...自由詩8*21-11-13
知らずにもとめて- ただのみ ...自由詩8*21-10-31
ユーラシアの埃壜- ただのみ ...自由詩3*21-8-28

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