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年をとることはそんなに恐ろしくない。死ぬこともたぶん今は。生きていくことそのものはとてもこわい。この線のどこがねじれているんだろう、なぞっていくと、なめらかな一本であるのに、と思いながら味噌を溶い ....
窓際に 答えが 貼ってあった
コーヒーを飲み ビールを飲み ウイスキーを飲み
夜が来て 朝が枯れ またべつの夜が降りてきた
雨で濡れた道路が乾き あたらしい線が引かれた
見ようともしな ....
スプレーばら、ひまわり、とるこききょうとガーベラで大きな花束を作った。それにあわせて百合やアルストロメリアを足したアレンジメントも。体が半分かくれるくらい大きな花束。作ったら足元に水をあたえて、こ ....
ときどき乖離する。それが何によって引き起こされるのかわからない。
このあいだはっと気が付いたときわたしが持っていたのは、膝のよこのかすり傷と、きらきら光る星形のシール、くまの形のグミ二袋、ド ....
はっきりと覚えていることがある。
むすめを連れてはじめて産院をでたとき、すこし肌寒かったこと。うちについたら宝籤が神妙な面持ちで尻尾をおろして出迎えたくれたこと。毎年見事に咲くモッコウバラが、もうほ ....
私はあなたに
泥のような愛を浴びせ続けている
いまも それでも
ものともせず 輝いて
あなたが 愛を
ものともせず
立ってもいない
泳いでもいない
ふらふらと揺蕩っている
....
自由詩のお墓参り(10年ぶりの)、
黄色い花を想像しながら。
そこに何を見ましたか?
水仙、菜花、ミモザたち。
爪にもピアスをした、
耳にも、めにも、内側にも。
だから自由詩にも穴をあ ....
抱き合う日々の中庭に花を育て
枯れるばかりの木を持った
あなただけが擦り減って行くから
あなたに弱さを望んだ
それは醜い愛だったが
産まれたものを捨てるわけにはいかなかったのだ
....
街を
どうして
忘れたんだろう
崩れるほど抱いた
うるさい春のかわいい匂い
どうして愛を
君に見たんだろう
忘れるほど抱いたのに
ひとつも
どうして
忘れないん ....
封筒のなかで
街をそだてる
来る日も来る日も
細かくしたえさを与えて
ある春に
耐えがたい眠気に襲われるまま
5年も、6年も
あるいは500年も眠ってしまった
春は何度もや ....
友人のうちの前に咲いてる沈丁花を嗅いだ。これは終わりの方の春だね。
そしてそのうちのなかには猫が一匹いて(黒い猫だった)、あくびしたり、のびたり縮んだりして可愛かった。
お酒をあけて、ケー ....
ふくらみは春の夢
はたまた、やさしい躓き。
うなずいて、みとめるのも、生活のふくらみ。
ちいさなふくらみ、よろこび
ふくらんでいくふくらみの、ちょっとした悲しみ
しぼんでいくふくらみ ....
詩を書きやめたひとはなぜだろう、書き終わってしまったのかな、それとも、長く書いている途中なのかな。
愉快な詩を書きたいと思うけど私の心根は割と暗く、精々熊が転がったりナッツ・ケーキが焼きあがった ....
もうそこにある愛を押しとどめて
まだ愛していませんと言う
台所では蛤が体を閉ざし
海を放つのを拒んでいる
日差しのなかに愛がある
それはわかっている
ただ、その影で眠るのが ....
蓋をしたままにしておくというのもひとつの手ですけどね、と医者は言う。でもしめられないです、開いてしまって、それらを解決したいと思ってます。わたしは言う。この指の細い医者と、やっと会話ができるようになっ ....
もういちど言ってください
とあなたたちが言う
わたしは爪を剥きながら
それはできない と思う
思いながら それさえも言えないでいる
もういちど言ってください
とあなたたちが言う
....
しってさあ、さいごが5文字でおわらなきゃいけないんでしょ?
それは唐突ななぞなぞ、幸福な問いかけ、伸びゆく枝が掴むあおぞら。
俳句のことかな?それか川柳?
うーん、そうじゃなくてふつうの ....
たべることが少し難しい。家にいると眠ってしまう。座っていても立っていても眠ってしまう。いもうとが、きれいなゼリーをたくさんくれた。それはおいしくてたくさん食べた。
それなのに、わたしの体は透 ....
いつか許せる、と言った口を蹴り上げる。いつも時間がこまかい刃を持っていてちりちり削っていく、形がかわっていく。たしかにわたしはいくつもの呪いをかけたと思う。うすべったくて温かい呪いだ。それはとっくにわ ....
あれからまた百年がたち
わたしたちは まだ無知だった
岩とか、波とか
空とか
そういうもののほうが
まだ世界をよく知っていた
まえの百年にしてきたことを
ひとつずつなぞって
....
扉のようなものを押して
外のようなところに出る
人のようなものに当たり
痛みのようなものを得る
そのようにして日を過し
泡のような疲れのなかで
死のようなものを思っている
死のような ....
ここいらへんでは氷柱はみられない。駅前のマンションの前に、水のあがらない噴水(池でもないし、あれってどういうつもりだろう)があって、冬のいちばん底になるとようやく薄く氷が張るくらいだ。
部屋のな ....
夕暮れの折 裂いた柘榴から
流れる血を見ている
けれど本当に
私がここにいるのか
判然としない
ビルを倒し 空を割り
海を干上がらせる
気持の強さに反して
指先ひとつも
動か ....
冬の澱
蝶ちょは部屋で凍えてて
あなたの指は光を集める
辞書を捲る指が
陽をうけて透けている
あなたの顔を忘れ 声を忘れ 名を忘れ
それでも愛を覚えている
星のような脆さで光っていた
鳥達が言葉を持ち
海を渡っていく
変わっていくことが分かっていた
愛だっていつか干上がるだろう
けれども僕たちの生活は
今のところまだ
星のような脆さで光 ....
朝の迫る 小屋の中で
瞼のない鶏が 夢を見ている
句点の間に
翔び 落ちて
読点の染みになる
それは
憧れ 贖い
取るに足らない
それでいて
代えのきかない
祈り
....
去年よりはだいぶましな10月と11月を過ごしたと思う。
たくさん捨てたし、いろいろなものをたべた。ベランダに出していた観葉植物を部屋のなかにいれてやると、とたんに空気がしめっぽくなる。
色 ....
私たちは夜を刻んだ
傷ついて迎える朝は冷たくて
端々に夢のにおいがした
うまく歌えたらいいのに
はやく走れたら、高く飛べたら。
詩が書けたらいいのに。
なんにもできないで笑って ....
何が自分にとって悪いのかわからないです、と言った、何が起こるのかわからないから、物事が起こってから対処するしかないんです、とも。カウンセラーは、少し考えて、あなたの中で何が起こっているのかを検証す ....
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