神栖の大会のことはよく覚えてねーよ。
一回戦負けした後、風車見ながら
遊んだ思い出しかねーわ。

あの音、
すごかったよな。

あん時に防波堤の上で撮った写真、
まだフォルダにある?
 ....
その夜も、公園に集まる子供たちは
ベンチに座る男を取り囲む。
男は慣れた様子で、握った両手のこぶしを
くるくる回して踊ってみせる。
そして最後のひとりまでも催眠にかけると、
ぱっと手のひらを ....
八月、東武動物公園。
駐車場に着いた時には
花火大会は終わりそうだった
君に浴衣を着させようとした僕のせい
これで終わりかな?
君は歩きながら言った。
「まだ終わらないはずだよ。」
でも ....
生徒にアイドルになったことを
伝えてもらえたのは、巡り合わせによる
一つの幸運。
おかげで僕らは何度も
ライブ会場に足を運んだ。

一緒に歩く生徒には何でも好きなものを
食べさせて、僕は ....
摂氏零度。麓の畑のビニールハウス。
その脇に放置された時代物のセダン。
「使い古しでも、役に立つことを証明せよ。」
すべてが命ぜられるがまま。
俺らは車体を、割れた窓まで銀色文字に塗りかえ、
 ....
月の光で発電しないなんて
それも嘘
プレパラートと実験室
ハサミの形をしたコウモリが
逃げ出した。
そいつは
闇に馴染みながら、
すいすいと夜を裂いた。
研究者たちは
議論するばかりで
探し出そうとは
しなかった。
 ....
Sと二人、町外れの森の前まで自転車で来た。
昼間、遠くで立ち上る煙を見つけたあいつに持ちかけられて、
ここまで来たのだ。
アイツは自転車から降りると
取り憑かれたように煙が浮かぶ方角、
藪の ....
何本目かのシャグを巻き、
乾いた舌を潤すボトル
が、散乱する床
まるで海に浮かぶブイみたいだ

空っぽの正午。ソファに沈ませた
頭上をかすめていく8小節の波。
試しに、溺れていたクジラを ....
だいたい、そういうものは
ティッシュボックスの中に隠しておけば
見つけられないはずだった。
でも、部屋の真ん中に放置してしまった。
慣れってやつはまじで怖い。
それに気づいたならば、どんな格 ....
と壁の隙間から真っ白な腕が伸びて
画鋲を全部引き抜こうとしている。
顔を出さないのが唯一の救い。
輪郭は憎しみの対象になる。その様子を

ソファに腰掛けながら僕ら二人は眺めていた。
そして ....
車両で目覚めると自分一人。
一体、あいつらはどこで降りたのか?
今までにどれくらいの数をこなしたのか?
盗まれた僕の財布は
公衆のゴミ箱か、そこらの物陰で
息を引き取る―。運良く誰かが拾い上 ....
柔らかい声、ユニットバスの中で
名前を呼び合う時間は感涙モノ。
ただ、君が昨日の夜に打ち明けた
昔の男との胸糞悪い過去の話は、
棺桶まで
持って行くべきだった。
流れ出したものは戻って来る ....
 きみは夏の間、シルバーワークの老人にまぎれて土手の
草刈りをしている。日当七千円なら妥当かもしれない。
こんな夏でなかったら。
もしくは、橋の上を走るトラックから投げ捨てられた
小便入りのペ ....
鉄条網の針を越え、
肉体の中へ世界が群がりやってくる
便所の鏡に向かって
拳銃を向けるポーズをとった老人にひっかかり
おれは両手を上げ、
挨拶する。
違う衣装を纏っていても白い花がよく似合う。
場所がどこであれ、香りが君の輪郭を形作る。
その傍、墓標のようにボトルが並び―
行き来するヒールの群れに
何万回も踏んづけられた吸殻を敷きつめること ....
団地の三階から友人の父親が、不可知を投げ捨てるように
叫んだ。「お前ら二度と戻って来るなよ!」

ベランダで干されていた傘が、二月の光を
すくい取っていた。雨が降ったのは―

三日前か後に ....
声帯とは何だったか、ドリス。
それは最初、産声のように
孤独を置き去りにして、
ひび割れた食器に投げ入れられた
硬貨のように
丸くはなく、
無数に穴があいている。

「見ろよ、血しぶき ....
この前の台風で吹き飛ばされた
標識とバス停。それと
信号機を見失うと最後。
立ち尽くすだけの我々
十万人の願いが
流れ星の残したその穴に
新たな光を生み出すまで
闇がつきまとう。
それ ....
歩道橋から
ひとりでに降りてきた
自転車の荷台には
期限切れの缶詰の山。

パイプ老人は痰を吐き出し
話題に上がるのは
幾ら値切ったとか、
踏み倒した事故処理と

レジの前で立ち往 ....
プロペラは淡くめぐり
煙を追い出す、雑木林に目をやると
(野良犬にこじ開けられた)
トタン塀の隙間から人影のような雑草が
生えていて
風が吹くと意味もなく揺れる。くすんだ
ビニールのコルセ ....
空港で飛ぶコウモリ、
背中にはりつく電波は一級品で
然るべきナビを覆う

真っ白な暗号
際限のない街の灯り
日本だとはいえ、
どこだか分らない。

HUKUOKA
HUKUOKA
 ....
白けきった月にベッドが一つ、
そんな腕で枕になりきるのは
楽じゃない。
わたしたちが会っていた時間は短かった。
日焼けした太腿をさすりながら眠る彼を見ながら
わたしはビールを飲んでいた。
夢の中で私の頭を撫でているかどうか
確かめられたらいいのに
一人きりで ....
それでも困るやつはいない。
ビルの踊り場にモップが散乱しているくらいじゃ。
そのかわりに、掃除用具のロッカーの中を
想像していただきたい。ガムテープでぐるぐる巻きの警備員か、
同僚たちのつ ....
ドアノブ

座間キャンプ、ベンチに座っている。
手続きは済んでアルコールでもあおりたいくらいだ。
アメリカに来た気分。でもそんな恰好で働いている
友人たちを考えているとどこでも一緒なのかもし ....
彼女は父親の浮気を知ると
ホテルの駐車場での捜索を始め
理不尽に僕は運転させられた。
彼女はサイドミラーをへし折るとか
ライトを叩き割るとか物騒なことに関心はなく
自分の名前を書いた紙きれを ....
ケースというよりステップ。
蜘蛛の巣は破壊され、
空に放り出される。
定義と調和は相反するもの―
「鳥たちは気に入っているようだった。
滅ぼすという、その語感を。」
すべては予定通り。金は作れたし、
車も用意できた、で、十五才の僕らは
隣町の反対車線を走って死にはぐった。
劇場の入口を抜けると重低音が体を震わせた。
謎を解明すべく
スポットライトを浴びた ....
プテラノドン(335)
タイトル カテゴリ Point 日付
[:dialog自由詩021/9/1 6:50
[:talon自由詩020/7/31 16:00
[:waltz自由詩020/4/16 18:06
[:fortune自由詩120/4/14 14:23
[:slow up自由詩120/2/13 4:44
[:blue moon自由詩020/2/13 3:47
[:urban legend自由詩420/1/21 7:09
[:Modern Jesus自由詩019/5/15 18:22
[:The reason for waiting自由詩219/3/22 0:19
[:From自由詩316/12/8 20:08
[:poster自由詩215/11/24 0:12
[:jostler自由詩214/2/2 0:04
[: house自由詩113/11/10 23:31
[:probability自由詩113/8/27 1:35
[:object自由詩213/5/28 23:55
[:chain自由詩213/4/22 1:33
[:amen自由詩013/3/6 2:41
誰か窓を開けろ自由詩113/3/6 0:04
車が来ないのを見計らって自由詩213/1/21 0:20
[:other自由詩112/11/24 3:12
:detour自由詩712/11/18 23:46
:earphone自由詩412/11/15 0:32
[:business自由詩312/9/19 0:41
:level自由詩312/8/25 3:15
驚き自由詩112/7/19 23:08
[:door自由詩012/7/18 23:15
雌豚自由詩212/3/29 15:56
追及自由詩112/2/6 3:14
言及自由詩212/2/1 0:43
[:strip自由詩212/1/11 1:42

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