話を聞かずに、
女は紙飛行機を折っている。
無垢な翼だと今は思う

針路はどこへ向かっているのか知らない。
風はその都度
手のひらをかえすもの

冬の空は形容詞を求めない。なのに、
 ....
土曜日の夕方、近所のスーパに向かった。店では月曜に発売するはずの週刊誌が売られていた。時刻は5時を回ったところで、店内には小学生や部活帰りの中学生に交じって仕事を終えたばかりの会社員や作業服を着た男た .... 散乱した部屋の中で
テーブルは孤島と化す。
一体どうしたものか?
無傷のまま空き瓶に貯めこまれていた
コインを眺めながら男は考える。
数年後、交通事故に巻き込まれ
ストレッチャーで運ばれて ....
廊下に足だけ突き出して見張りをしている。
話し声はもちろん、足音だけでも誰だか分かったし、
名の知らぬ香水の匂いにも敏感になった。

もし、知らない奴が通ったら足をかけて転ばせてやりたい。
 ....
酔っ払って寝て起きると、警察か医者がペンライトで
照らすように、歯医者にビカッと浴びせられたみたいに
電気スタンドが見下ろすベットサイドで、顔を背ける
窓の外の街灯は、はた迷惑な灯台。夜霧漂う道 ....
マイクは入りっぱなし。他に誰もいなかった。
発車のベルのかわりに、ホームに、乗客たちの耳元に
駅員の下手くそな口笛が響き渡る。
眠ったふり。携帯電話をいじくるか、
外でタバコを吸う者もいる。( ....
 本当は隣にあったMONKEYを盗もうとした。けれども誰も
運転できなかった。車の運転はできるってのにお前は、
「使えねえな」と言って、ジョーイがサモンの尻を蹴った。
二人が唾のかけ合いをしてい ....
植木屋が去った後、残された枝葉に火をつける
冬の土曜の朝の
煙の向こうから現れた、

鎖をひきずる飼い犬、
地面に突き刺すと
すっぽ抜けてしまうスコップ。

長屋の奥で埃を被った段ボー ....
 デパートの屋上か、蜃気楼の摩天楼。
魂の旅路を終えたばかりの革靴は雄弁に語る。
朽ち果ててゆく外観よりもむしろ
室内のほうに目を向けなければならない。
取り残された額縁の裏には
「数に還元 ....
子どもの時分の悪ふざけがすぎたとはいえ、
障害者の脇を真似して歩いた友人はやりすぎた。
そして、注意するつもりで頭をひっぱたいたあのおじさんもやりすぎだ。
そっちが正真正銘の障害者だった。みんな ....
昨日の夜中も、
お前らみてえなガキが騒いでっから寝不足で
仕事休んじまったんだよ。と、
だから今日は、
日当分稼がねえと帰れねえんだよ。と、
錦糸町の場外馬券場で馬鹿騒ぎしていた僕らは、
 ....
 真実。ただそれだけのために
五万匹の言語が食い殺されるとはな。
舌先に残る言語の血や肉、その匂い。
地面に残る言語の骨、その固さ
小ささといったなら―インコの
チンコみたいだ。
それ以後、鉄塔に上ることは不可能
となった。首を吊ったコンビニ店長は、一晩中、
風に揺れていた。その姿を ビニールが
引っかかっているだけと、近所の人はやり過ごした。

壁を塗り直すだけでは ....
たまにはいい。
サービスも悪くないし、料金も良心的。
話で聞くのと経験するのじゃ大違い。
それでも友人は
ただの一度も、席を立ちトイレに行く間も
彼女らに酒を作らせなかったし、煙草の点火もセ ....
よかれといっても、
投票箱に硬貨を投げ入れる真似をしてはいけない。汗を流しながら
市民体育館の駐車場で議員ががなり立て、
夏は過ぎようとしているが、投票権を持たない子供らも
自転車にまたがった ....
 トラックから振り落とされた石柱が道路に転がる。
汗ばんだ灰色のTシャツに、色あせた濃紺のズボンをはいた運転手が、
ちぎれたワイヤーを手に空を仰いでいた。往来する車の窓は
ほとんど開いていて、視 ....
「クローゼットの中を見れば相手がどんな人かわかるものよ。」と、彼女は言った。

ビル屋上。隣に座るOLたちの話を、同僚らとともに聞いていた。
同僚らが彼女たちに声をかけるかかけまいか
決めあぐ ....
岸辺だ。鳥のとまった街灯は。飛び立つしかないのだ。
自転車に乗る作業着姿の若者たちのように、世界を無視して

ぼくは車内から意識する。
隙あらば道路に飛び出してくるあいつらのように、かつては
 ....
今となっては小学生をおいて渡る者はいない
廃線となった国道の歩道橋の手すりを拳で叩いている。
三十を前にした男の行動としてはアホみたいだが、久々に
一緒に散歩していた妹を笑わすには上出来だった。 ....
余裕、
事物としてでなく
魂の電線、
ギター。

路上に仕掛けられた
木片ーその下で
丸い火薬粒が
出番をひかえている。

役者であると同時に
観客である 少年たちは
電信柱 ....
夕暮れ時、河川敷に沿って立ち並ぶマンションに灯された
幾何学的なライトを見ながら、「太古からの結晶」と、今朝ラジオで耳にした
CMの一節を反芻する。それから飢えた胃袋を黙らせるように煙を吸い込む。 ....
 執拗にケツを追い回すホモのパトカーを振り切るための
逃げ道としては最適だなと思った。
百足のように枝分かれする住宅地を抜けて 
僕は夜空を染める工場に立ち寄った。そこに
自転車に乗って見回り ....
夢が現実になることは、そうそうないのだから心配いらない。
何より、こうして今、喋っているのだから
「死んじゃいないよ」と僕は言った。二日続けて
僕が死んだ夢を見て電話をくれた友人に。三日目の晩に ....
授業中は豚小屋みたいに騒がしいが、放課後は静かだった。
皆がみな、もて余すことなく遊び呆けていて
部活をするような生徒は一人も!いなかった。
そして、数年間にわたりグランドを占拠し続ける雑草は昼 ....
かつて空き地だった道路を前にして、
置き石のようにガードレールに座った君よ!

軽トラックが、廃棄解体寸前のオーディオを
山ほど抱えて走っていく。死んだも同然。とはいえ、
車輪の音とともに虫 ....
路肩に沿って歩く野良犬の後をついていったなら
冬を終わらせずにすむと思ったー小春日和のためにも。

行けるだけ行って不意にひるがえしたコートも
二月と三月の境界線を行ったり来たりしたのちに ....
野良猫たちよ、死ぬ前に教えて欲しい。
お前たちが、何処で死ぬつもりなのか。

住宅地の陰から黒猫が姿を現す。多分、
その旅の、途中ではない。びっくりして逃げ出したから。ーあまりの僕の不幸さに。 ....
ハンドルを回して
開けたり閉めたりを繰り返す、水門の鉄扉の前で、
僕らは迫りくる波に何度も呑み込まれ、鼻につく臭いはともかく
時間は麻痺していた。真夏の昼間、水辺で遊ぶ僕らを
釣り人たちは河童 ....
ベッドタウンを目指した住宅地の一角が消えた。
僕らがまだ建設途中だったそこに 忍び込んだとき、
辺り一帯、今となっては恋人の到来を予測させるのに充分な
二階の窓は、透明なビニールシートが張られて ....
一体、これで何度目ー?

昼休み、カーテンの隙間から、
窓際に座る生徒がゴミを捨てるのをベランダから見ていた。
僕はそいつに近づいて、
「カーテンが揺れるだけだと思ったら大間違いだぞ!」
 ....
プテラノドン(335)
タイトル カテゴリ Point 日付
歩道にたまった枯葉が風に飛ばされていく自由詩410/1/30 12:23
変わってねーのは夕日だけ散文(批評 ...210/1/9 19:50
夜逃げ自由詩310/1/7 1:33
fate自由詩109/12/12 17:18
bishop自由詩009/12/6 17:11
切離し作業と、重み自由詩009/11/13 19:29
釣竿自由詩009/11/7 16:24
言訳自由詩1*09/10/31 2:49
図式自由詩2*09/10/3 17:24
ひきつり自由詩1*09/10/3 15:09
Born To Win [People]自由詩1*09/9/30 17:57
羊飼い自由詩109/9/11 22:04
耳に残る眺望自由詩2*09/9/6 16:55
Born To Win [Shangri-La]自由詩009/9/2 20:34
選挙自由詩1*09/8/30 12:30
サイレント自由詩109/8/28 14:01
ビアガーデン自由詩109/6/24 22:37
梁よりも真っ直ぐなその高みから恋をしろ自由詩209/6/9 20:33
Born To Win [ガードレールをくぐりし者たち]自由詩109/5/30 18:09
近所迷惑自由詩309/5/25 23:41
無縁自由詩009/5/22 22:48
Born To Win [ride]自由詩209/4/19 10:33
慰めの匂い自由詩1*09/4/8 18:07
継承すべきこと自由詩109/4/5 17:37
空いた土地自由詩109/3/20 8:21
コート自由詩1*09/2/28 16:18
ノラ猫自由詩209/2/17 19:59
水門自由詩209/2/12 22:48
ベッドタウンの見えざる窓自由詩209/2/1 22:30
カーテンによる間違い自由詩509/1/15 22:02

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