航海記。鼻息を荒げた 鉄仮面をかぶる男が 
捕まえた猿達に首輪をつけている。

サーカスの夜、団長は無邪気な子供たちだけを
テントに招き入れた。

その中から 笑い声よりも大きな
足を踏 ....
街は、宣伝する車の謳い文句と、気にも止めない通行人を生贄にして
せり上がる暑さよりも、乾いた空虚さを従えていたので
僕等は、長い橋の上からきらめく水面を眺めている。
そこにありもしない目印を探し ....
それを少女は 
みなに内緒にして
草むらのなかを
さがしていたんだ

川につらなる
あたらしい蜘蛛たちは
糸に針とえさをつけて
釣りをしていたり

雲のなかでは 
ニンジンをぶら ....
 廃墟で美しい女が窓を拭いている。
手にしていたのはハンカチか、雑巾か、どちらにしろ
窓のガラスは全部割れていた。
柱の陰から鼠が、いつかいつかと
女を驚かす機会を伺っていた。が、それは無駄だ ....
「樹になっていたのは、英知の実か、生まれたての赤子の眼か?」 
と思っている ねまき姿の女が、砂浜の段丘に坐り
紅いリンゴを齧っていた。夜だった。海面には
たくさんの耳が浮いている。なかには
 ....
月が鳴る。蛙や虫も鳴きだして
演奏は合奏へ

坂の上から トロッコが転がってくる
思いの他 スピードが はやかったが
私はパレード 道をゆずるのではない 
!!と、目の前で曲がって消えた
 ....
最初で最後の崖は
未知というより 
無知な土が育んだ。
時々、崖の下の海へ
化石をペッペと吐き捨てる。
海は化石を食うと
ゲップをしたり
腹をこわして泡を吐く。
化石のなかには一万年
 ....
屋台では、
キンタマが売られている
夕方、あぜ道を通ると
牛はがたがた震えた。
そのあとで
顔も上げずにえさを食べる。
濃厚なアフロヘアで口髭ともみあげを尖らせていた男は
行く先も告げずに、これから映画でも見るかのように
ビスケットを食べている。運転手は問いかけに応えない男の表情を、
男の口からこぼれ落ちるビスケ ....
樫の木の下で眺める
フェンスの向こう 霞ヶ浦で
クルーザーが揺れている

その遠く 建物の明かりが
夜の中に沈殿する様
ぼんやりと灯っている

広い駐車場には 数台の車
一台のセダン ....
自転車のかごに乗っていた子供の瞳はこうだ。―見てはいないが、映している。
映されていた、天使は、大人になるための訓練をしていた。それというのも
見過ごす事で、無疵のまんま成長したがる人間がたくさん ....
工場地帯の駐車場に捨てられていた吸殻から
男女のひそやかな絆が曝される。互いにひかれ合う、
男と女の意欲と表象、一度出ると伸び広がりつづける地平線に
偽りの太陽や月が、沈まずに居座っている。何個 ....
いまだキルトを綴るという
針の動き、
広がる愛を不安と呼んだ彼女よ!
違う!僕はそう思わないよ

歓楽通りを歩いていると、
後をつけてくるとかいう例の老人がやって来て、
不眠症の男に地図 ....
養豚場から柵を跳び越え豚が逃げ出した。
ラジオを首からぶら下げて。
 田んぼの稲は真っ青。そこを豚は一直線に突っ切って
町の市場へと向かう。ラジオは大音量で、
「豚肉が高騰中!」と報じている。 ....
改札口の前で美しい女がお辞儀をしている。
おでこをこすりつけているようにも見えた
その せまい額には切手が貼られている。
それに気づいた駅員は、彼女の額に
キスするように!判子を押した
もち ....
世界一小さい公衆トイレ(それはおれんちの、そして君んちのトイレ)
で、ギャルソンが生まれた。趣味の悪い蝶ネクタイをしていて
手に乗せた皿の上には、ご主人様どうですか?といわんばかりに
蛙の死骸が ....
このようにして―、騎士の道筋は見出された。
薄闇のなかで待ち構えていた一人の騎士は、空からの天啓を受けると
跨る馬に鞭を入れ、手にした槍を高々に上げる。そして、
頭部めがけた突撃が、正体不明の敵 ....
六月のつかの間に澄んだ夜更けの丘から大勢の骸骨が這い出ててくる
そのどれもが出来損ないで、ところどころ豚や犬の骨も混じっていた。
実際彼等は見世物小屋へ身売りしようと考えていたが
現れて二ヶ月、 ....
夜明けの風にほどかれた
雲の帯をたぐるように
よぶように手を伸ばす
朝日 そのへりにそって歩くぼくを
路地の無音のスピーカーが振り向かせる
民家の中 ただひとり
あのひとが嘲っている
日 ....
 見上げてみたところ、誰もが手を取り合ってる様子。「やあ」とか、
「またね」とか、迎え入れる言葉はまだまだ尽きない。
とあるレストラン。ナプキンの上に置かれたままのナイフとフォークは
スプーンに ....
 仕事人は夜、
瞼のうらで明日の仕事をしている
 目をこすると
  蛙が鳴いているような
   胸がすく音がして
ただ、流れる雫は軟らかい
五月雨ー、それは光沢のある色。
「まな板給夫のいる」は高架線下の天使と賭けをする。
手札の伏せてあるカウンターが震える。頭上に
ぶら下がっていた彼女の戦利品の数々。
その一つ、オレゴンの絵には
黄色のテント内、
突き出した ....
 街は停電していた。僕等は街外れのバッティングセンターへ向かっていた。
夜だというのに「竜巻が渦巻いているせいだ」という友人はヤンキーで
彼が走らせる車は、真っ暗な交差点に渦巻くいくつかのそれをか ....
人工熱性がてらしている。
青っ白い心臓は、

葉脈のそれというより

喪服に貼りついたギザギザの切手のようだ。
自由とは一種の平和さがある






「うお座の運勢が悪いから、今日はいて座だよ、僕。」
ハナタレ小僧が言っていたのを真似して
「うお座の運勢がいいから、今日はうお座だよ、僕。 ....
「だって、WAXをかけた車の雨粒をはじく姿が好きなんだ。」

 ふってくる五月雨は その他 いくつかの言語を残した。
けれど歌いはしなかった。
 夜の映画館、「一つの思い 一つの歴史」と宣伝さ ....
そこの住人!三人の男達
長いトンネルの横にある窓は
巣箱に似ている すみっこで
愉快に話すクリーム色の猿達!
天井知らずの笑い声(床のような壁へ)
火星人の髪が抜け落ちたらだの
話をしてい ....
 まるで音符が吸い込まれるように―。事実、その場末の酒場で
 指を走らすピアニストの鍵盤からは、音符が飛び出して
 少年が手にしていた小さな壜、砂時計の形をしたそれに閉じ込められる。
 テーブル ....
シャツにアイロンをかけていた女は
突然の事態に吃驚している
ドラマチックに 目の前に 立っていたのが
髭の 生えてる コロンビア人で
彼は ナイフを ぺろりと舐めながら
金を要求してきたのだ ....
音符のように奏でられなければならない
文字もまた、語らなければ―。

夜になると その影の形から
お城の森と呼ばれた森のむこうで
チェコスロバキアの国旗ははためいている
文字を読む原住民の ....
プテラノドン(335)
タイトル カテゴリ Point 日付
五万とある航海、その一つの—自由詩3*05/7/23 0:03
訪れない、その手前で自由詩11*05/7/20 5:49
「トレードマーク」自由詩9*05/7/18 12:19
「マジシャン」自由詩6*05/7/15 22:19
独りの浜辺自由詩4*05/7/15 3:20
「トロッコ」自由詩4*05/7/14 1:59
「崖」自由詩3*05/7/14 1:40
屋台自由詩6*05/7/14 1:31
TAXIに乗った男は…自由詩2*05/7/12 4:26
一つの距離自由詩3*05/7/11 21:51
狂った夕立自由詩4*05/7/8 4:22
偏頭痛自由詩5*05/7/7 1:38
キルトに綴る、その鍵と自由詩2*05/6/29 14:00
ブタラジオ自由詩5*05/6/26 18:25
あるいは、駅の前で自由詩2*05/6/26 17:34
ギャルソン自由詩3*05/6/24 0:40
突撃する騎士よ!自由詩2*05/6/20 7:45
六月の羽根飾り自由詩4*05/6/18 5:52
夜明け自由詩6*05/6/9 4:51
マナー違反自由詩5*05/6/6 7:16
離れられない雨自由詩2*05/6/2 2:34
まな板給夫のいる風景自由詩7*05/6/1 14:39
yankee自由詩6*05/5/31 14:09
向かい風良好携帯写真+ ...205/5/18 22:45
うそつき入道、塩をまく自由詩1*05/5/17 7:33
W自由詩5*05/5/17 4:28
アパート自由詩2*05/5/13 3:56
 音時計自由詩4*05/5/3 17:58
強盗かい?自由詩1*05/4/14 5:59
森のむこうで自由詩4*05/4/14 3:28

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 
0.11sec.