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プテラノドン

すべては予定通り。金は作れたし、
車も用意できた、で、十五才の僕らは
隣町の反対車線を走って死にはぐった。
劇場の入口を抜けると重低音が体を震わせた。
謎を解明すべく
スポットライトを浴びたダンサーを見つめていた。
バトン、物静かな老人に
タンバリンやらマラカスが入っていた
段ボール箱をそっくりそのまま渡された。
僕らはJリーグの入場曲に合わせて
叩きまくった。そして胸にサッカーボールのペイントを描いた
ダンサーがホイッスルを吹き鳴らしながら
リフティングをするあいだ、客の何人かがトイレに消えて
事が済むと戻って来た。僕らも席を立った。
受付の男に締め出され、
軽トラックの中で待ちぼうけする羽目になった友人が
気になって。
Nはチンピラに「十年はえーよ」と
からかわれたと言った。そいつ等がいう十年が経ったら
興味なんてなくなるし、頭をからっぽにして
タンバリンやマラカスだって叩けなくなる。だから
「お前も来いよ」と友人が言った。けどやっぱり無理だった。
車内で、誰かがくすねてきたマラカスを皆で
代わる代わる振り続けた。
そして最後に、運転していたSが
それを窓から放り投げた。
フィニッシュ、その発音で、ふたたび死にはぐった。
クラクション、もしくはベル。
僕らは最初、自転車で
行くつもりだった。帰り道が裸でも。


自由詩 [:strip Copyright プテラノドン 2012-01-11 01:42:30
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