メインレースは悲惨な結末、突風に吹き荒れた
駐車場を後にした。
赤信号に変わろうかという時に友だちが言った、
大外からまくれるぞ。俺たちなら行ける。
僕はアクセルを踏み込んだ。行けるかもしれな ....
誰もいない校舎、
美術室のベランダに干されていた絵筆が
夜風に揺れている。そうして塗り重ねられた闇は
やがて夜となり、題名のないキャンバスの中で今夜、
風花が降るばかり。
               僕たちはレコードを回した
                握っていたハンドルも、
                  スパナも振り回した
              ....
家を出る前に昔聞いたことばを思い出す。
一週間に敬意をもつこと。だからといって
月曜の朝から仕事の依頼がくるなんてろくなもんじゃない、と
ひっきりなしに通勤車が行き交う国道脇のあぜ道に
バンを ....
去りゆく猫はどこで死ぬのか?ついていかなきゃ分かるまい。
 今日、川辺に打ち上げられた 死んだ猫の尻尾に、
蜻蛉がとまっていた。秋だな、と
僕は思った。
郵便局に車椅子に乗ったおばあちゃんがいて、
ガムテープで段ボールに蓋をするのをぼくは手伝った。
得意気な気持ちで車を走らせていると、警察に捕まった。
ぼくはシートベルトも切ってたみたい。はい、そ ....
開店前の7時、
スーパーマーケットの駐車場に車を止めて
日曜日のハンドルを握りながら友人を待っている。
自動販売機から戻ってくる友人に、
おはようのかわりに足かけをしたもう一人の友人は、
数 ....
スプーンみたいに丸い
タンクローリーの背中に夕日が映っている。
運転手は気づいているだろうか。
路上でヒッチハイクしている神の存在にも。
(中指を突き立てている奴がそいつだ)

捏造した交 ....
鳥の居場所はわかい、翼が生えているからなー

切符を握りしめたまま彼女は眠りについて、
相手の男は、洗濯機の中にまぼろしの車輪を見つけた。
ベットサイドに戻り床に転がるギターを眺めていた彼の、 ....
半世紀いきながらえた海猫の、オペラ調の鳴き声。
さっきまでベンチで泣き崩れていた詐欺師の男は、
両手じゃ抱え切れないほどの花束を手に、
明かりの灯る雑踏へと消えた。そして、
通り一本隔てた向こ ....
くちばしが作る青空がある
ストイックな
灰色の水たまりが震えていたな
もしかしてー、でも、
ミミズが鳴くといったのは誰だろう?
閉店間際のショッピングモールで、
世界で一番安く靴下が手に入ると友人は言っていたけれど、
生憎、今日は雨降りだから
せっかくの靴下が濡れてしまうね。

それはそうと今日、仕事帰りに駅で外人に ....
煙突の、
屋上へと続く螺旋階段。
登りきったおまえは
吹き出された
シャボンの中に飛び込む
弾けちった光の粒が降り注いで
町中、
石鹸の匂いがする
ホームに立つ鳩の群れ。
灰色の翼は、昨日拾った新聞エイト。○と×。
僕らは競馬新聞でしか世界を知ろうとしない。
先頭に立つ者、
靴ひものほどけた天使たちよ
転ぶなよ!
泡立てられたクリームはベッドで寝かしつけられた子供の夢そのもの
冷ややかな時の流れ身を任す私たちに、
つかの間にしては充分過ぎるほどの温もりを与えてくれるだろう。
そうして、客の大半は棺桶まで眠 ....
水飛沫が飛び、
小屋から突き出た銃口が火を吹く。
猟師は手ぶらで家路に着く。水鳥はゆっくりと
水面の夕日を濁す、夕方。
線路を走る列車が、陸橋をがたがた揺らし
ボルトが緩みつつある。壊れつつ ....
とはいうものの、
晴れ間はみじかい。
フレーズとフリーズの繰り返し。
真夜中の渋滞、
看板のむこう側に廻れば、延々と、
点々とひろがる迷わないための目印
である意義を放棄した豆つぶ大のそれ ....
頭をすりよせてくる野良猫でさえ驚く。
お値段約9万円、
「工場タンクの注意書き」「反射ガードレール」のそれらしく、
真夜中だろうと灰色の輝きを放つ
シェラックのスーツ。

「○○○みたいで ....
山の上から若い霧が
街におりてくる
(それは若さ特有のかたまりとなって)
涙、汗、いや、
朝露
歩道橋の手すりは濡れて、
神社の境内のベンチも、通勤前の車も
新鮮さそのものとなって
工 ....
煙がのぼるー、先に燃えたのは、僕。  空席と指定席の区別はなかった。真夜中だった。
列車の座席の上を
紋白蝶が、泊まり歩いていた。
誰かが置き忘れた携帯電話が、
蒼冷めたシートに語りかけていた。
沈黙が発光していた。それから消 ....
都会のエレキな夜に
吸い込まれるように
まっすぐ飛ぶ
黒い、の

公園ベンチの下
ぼやけた地面に
腑抜けのゴミ共が
寄せ集められる

「それは違うだろ」
「いいや、違わない」
 ....
川辺に仕掛けられた網という網が、
鱗眼の兄弟に荒らされている。そして、
二人が念願かなって鯰をバケツに入れていた頃、
廃材置き場の亭主が首を吊って死んだ。
集積車が行き交うだけの、さびしい葬式 ....
さあ、さあ、
炊飯器のように
頭を
空っぽにしましょう

ベランダに
引っかけてある
傘だけ
濡れているのは、

降っているのは

じゃなく、
洗い立てのお米です

雨 ....
今夜も、
工場員たちは勇猛果敢に酒を飲み、
車を運転して帰るだろう。彼らは警察に捕まらない、それって本当?
ー壁にぶつかるだけさ。
街中で、
衝突して瓦礫のように崩れた
社会に立ち現れるそ ....
「今度またやったら、燃やすわよ。」と、
彼女は言った。
彼はその言いいつけを守らなかった。
燃えることはなかったが、ただ
想像以上に、
彼女の胸は温かいと彼は思った。
そんな事を言ったって、絶対無理。
デブの店員は、
床に腹をこすりつけるようにして懇願した。
しかし、
私はフォークまで食べた。客の残りものを平らげることを生業としていた彼は、いよいよ声を上げて ....
いっそ窓を開けて、
ほったらかしにした方がいいのだ
窓の外には
トラックが作った轍が何本もあって
昼間、そこで
鳥が水浴びをしているのを
ぼくは見ている
ストーブにのせた
タライの熱気 ....
 真夏の夜だ。
蛙の鳴声。その、むせ返るような自由さ。或いは、
青春の悪徳を手に―体育倉庫から盗んだバレーボールを片手に、
的外れなコートの上に、田んぼの中にぼくらは突っ立っていた。
「試合よ ....
 真珠湾のパレットー煙突のように長い、
長い筆先には、豆電球みたいで笑える一隻の船。
 その船はみずから魚をとって食った。
つまり、自給自足でまかなわせていた。
画家自身も眠っているあいだに。 ....
プテラノドン(335)
タイトル カテゴリ Point 日付
十年の、事実自由詩109/1/15 21:37
風花自由詩209/1/12 6:59
Born To WIn [カラスパナ]自由詩3*08/10/4 12:58
Born To Win [time]自由詩108/9/15 15:58
この川、自由詩108/9/8 1:09
粘着テープと薄っぺらな切符と自由詩408/8/23 0:24
履歴書に対しできること自由詩2*08/8/19 4:52
エンプティ自由詩208/7/30 14:13
居場所自由詩308/7/11 23:16
ウミネコ自由詩608/6/14 22:36
ヒバリ自由詩308/6/7 14:24
駅ロータリー周辺に降る雨は止まずに自由詩508/6/1 1:43
シャボン自由詩208/5/21 18:38
酔漢自由詩108/5/8 15:18
そして、クリームの中で血が滲む自由詩308/5/1 18:53
陸橋、棄てられた車自由詩108/5/1 12:31
「止まない雨はない」自由詩208/4/11 3:02
詩的スーツ自由詩108/4/9 0:42
桜/to the sea自由詩108/4/3 0:45
「お先に!」と、悲しみは言って自由詩0*08/3/29 17:34
彼女は言った、現実ってそんなんじゃない自由詩2*08/3/26 1:09
黒い、の自由詩2*08/3/14 19:15
なまず自由詩2*08/3/12 23:23
用意周到自由詩0*08/3/10 13:20
出口自由詩2*08/3/9 19:28
約束自由詩208/3/5 7:14
「ランチタイム」自由詩108/2/22 13:47
教室にあるストーブが、虚しくて仕方ないから自由詩308/2/20 23:15
ホースで水をかけてくれ自由詩3*08/2/17 3:40
蜃気楼は眠り、潮風に乗って自由詩008/2/13 20:19

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