誰か窓を開けろ
プテラノドン

声帯とは何だったか、ドリス。
それは最初、産声のように
孤独を置き去りにして、
ひび割れた食器に投げ入れられた
硬貨のように
丸くはなく、
無数に穴があいている。

「見ろよ、血しぶき上げてるみたいだぞ。」
首を振るパトカーを見て男が言った。
それから男たちは一人残らず
そいつの、ひんやりした胃袋にすっぽり納まる。

「そういや今日、俺の誕生日だ。」男は車の中で
「生年月日」の記入欄にペンを走らせながら言った。
「じゃあ俺も」そう言った、そいつの目は
死んでんじゃねえのってくらいに
夜霧に馴染んでいたので、
見ているこっちは、当然むせちまう。

唇と舌で穴をあけようったって無理。


自由詩 誰か窓を開けろ Copyright プテラノドン 2013-03-06 00:04:08
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