[:amen
プテラノドン

団地の三階から友人の父親が、不可知を投げ捨てるように
叫んだ。「お前ら二度と戻って来るなよ!」

ベランダで干されていた傘が、二月の光を
すくい取っていた。雨が降ったのは―

三日前か後にしろ、予報も太陽も求めちゃいない。
それは僕ら自身が、空であり雨であり、夜にほかならない。

ほっつき歩いた街の 有線のJAZZが流れるビリヤード場で
制服を着たまま僕らは、キューにチョークを擦りつける。

会計の際に女店員の前で 友人はポケットから
ピンクチラシを落とした。

それは本来、仕舞いこんだままであるはずの代価、
僕が彼女に支払うべき紙幣だった。

写真の女より店員の方が可愛かったから?
ゲームで勝ったたことなんて忘れてしまうくらいに?

でもそれって説明のしようがない、口にすんなよ。
情念を抱えて黙って帰宅する、その室内が

別の人生で
溢れかえっていてもそうだ。


自由詩 [:amen Copyright プテラノドン 2013-03-06 02:41:29
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