君の相棒が16年着た
体を脱いで、天に昇った。

あまりにも静かに消える
湯気の後に――消えぬもの。

透き通ったビー玉の瞳
あの日のままの鳴き声

呼んでいる
いくども、いくども ....
どっかーん…!

太陽の砕けた花火の如く 
あの日、きみと出逢った歌舞伎町の夜。

厚化粧のきみは
難聴のハンディをもろともせず
くらしっくをBGMにくるくる
地下の舞台で乱舞しなが ....
久しく忘れた地上の園を
人々が想い出すように
この世には
時折、虹があらわれる  
府中の霊園の芝生に、僕は坐る
目の前の ✝遠藤家 の墓前に
炎と燃えるポインセチアの植木鉢と
グラスに日の射すワインを、置いて

初めて訪れた十五年前の夕暮れ
左右に生けた紅白の薔薇は
 ....
毎朝みる、幾人かの顔が
通り過ぎる朝の道の向こうから
杖をつき、背を丸め…近づいてくる
95歳のトメさんと、目が合う。

――あら、今週も会ったわねぇ

毎週火曜は、通院らしい。
毎週 ....
恋は昇ったり降りたりで、草臥れる。
恋は遠のいてゆくほどに、懐かしい。
太陽は、今も僕の胸に燃え盛り
{ルビ永遠=とわ}に手の届かない――幻  
あの日、出逢いの風は吹き
互いの杯を交わしてから
ひとり…ふたり…銀河は渦巻いて
空白の{ルビ頁=ページ}に――僕等の明日はあらわれる
古びたティーポットの、口先から
白いゆげはしゅるるるる…
ぼくの唇からも
凍える誰かを暖める言葉が、たち昇るといい  
病と闘うあなたが
自らの動機を…気にしながら
病院の廊下を歩く時
――一体どんな思いだったろう?

ボイスレコーダーを手に
同じ病院に入院した
恩師に贈る歌が…息切れした時
――どんな ....
万国旗は青い風にはたはた…揺れ
園児等が駆け回り、賑わう
秋の運動会。

染色体が人より一本多く
まだ歩かない周と、並んで坐る
パパの胸中を{ルビ過=よ}ぎる、問い。

――僕等はあわ ....
天に昇った恩師が好きだった
白のグラスワインを
向かいの空席に、置く。

あまたの想い出を巡らせ、僕は
白いゆげを昇らせる
珈琲カップを手許に、置く。

――そうして夢の対話は、始まっ ....
赤い羽根の天使はリュートを抱き
ふくやかな指を、無数の弦に滑らせる
世にも美しい音楽を探るように  
誰もいない秋の浜辺に、立ち
吸いこまれそうな
青空
に手をのばす、僕の
頬を ぶおう! と
{ルビ嬲=なぶ}る――一陣の風

沖の方から
幾重もの波は打ち寄せ
波飛沫の散る、ひと時の ....
朝起きて、のびをして
飯を食い、厠に入り
玄関のドアを蹴っ飛ばし、
彼の一日は始まる。

日は昇り、やがて暮れゆく迄の間を働いて
単調なる繰り返しの、気怠さの…
口をへの字の忍耐の(時折 ....
前方の、遥かな明日へ――突き刺さる
線路の彼方に、富士は{ルビ聳=そび}えり  
修善寺の源泉で
足湯に浸した
両足は
鬼の如く真っ赤に染め上がり
旅人は心に決める。

――この足で、日々を切り裂こう

娑婆の世を生きるには
時に…鬼と化さねばならぬ
が、赤い仮 ....
修善寺の蕎麦屋の座敷にて
{ルビ熱燗=あつかん}を啜り

天せいろを食した後の
油が浮いた器のつゆに
喰い千切られた、桜海老の顔

白い光の小さく宿る
黒い目玉

{ルビ茹=ゆ}で ....
酔い醒めに
冷えた徳利頬にあて
せせらぎに揺る、竹林の笹  
朝の川原の岩に、腰かけ
せせらぎに耳を澄ます。

{ルビ水面=みなも}には嬉々として
乱反射する、日のひかり。

一度きりであろう人生を
この流れに…まかせようか

――旅人は岩から ....
にょきにょきと…背丈がのびる
パキラの樹は、天井にふれ
窮屈そうに
緑の背骨を曲げている  

――私ハモット大キク…ノビタイ

音の無いパキラの声は、不思議なほど
対面する私に内蔵さ ....
目の前の、岐路は分かれ
右の標識も、左の標識も
〇い空白のまま、立っている。

  *

私は想いを巡らせ…夜道を{ルビ漫=そぞ}ろ歩く。
立ち止まり…深夜に囁く星々に、目を凝らす。
 ....
実家に帰り、午睡をする。
窓外で
うらかな陽に照らされたポストが
かたっと音をたてる。
配達夫のバイクの音は遠ざかる。

そんな風に僕はいつも
待っている
昨日も、今日も、これからも
 ....
鎌倉の朝は、なぜか散歩がしたくなる。
低い緑の山間から
燦々と顔を出す陽をあびようと
玄関のドアを、開く。

日頃住む街よりも
澄んだ風を吸いこみ
図書館の庭に足を踏み入れ
ベンチに腰 ....
鉛筆の芯を、削る。
何処までも鋭く、削る。
(誰かを傷つけるのではなく)
{ルビ褪=あ}せた現実に、風穴を空ける為に。  
CDのジャケットから取り出した
ブックレットのモノクロ写真は
だだっ広い空の下を
何処までも伸びゆくハイウェイ

目的地へとひた走る、旅の車
ハンドルを握る、目線の先
一瞬
黄色い蝶が ....
今より少々ケツの青かった頃
とあるスタジオでラジオのADだった
僕の耳に飛びこんできた
「ボヘミアン ブルー」

躍動する無数の音符等は
瞬く間に僕のハートの入口に吸いこまれ
自らの生の ....
海岸沿いを走る車は、山道に入り
坂を上る、木々の葉群の隙間に
一瞬、輝く太陽の顔は覗き

夜の列車のドアに凭れた窓から
ふいに見た、夜空に浮かぶ
ましろい盆の月は夜を照らし

――昼も ....
君の存在の只中にある
方位磁針は
すでに示している。
カルマの暗闇を越えた、この世の桃源郷を。

――first inspiration――

それは未知への世界に
わなわな震える・・ ....
人は問う「あなたの師は誰ですか?」と。
私は黙ってひとさし指を――立てる。  
北風の只中を防寒靴で歩いた、僕は
あの日の旅路を手にしたペンで、筆記する

   *

――記憶に蘇る、海の匂い
遠くに見える、断崖に近づくほど
潮の香りを鼻腔に…吸いこみ

断崖の ....
服部 剛(1977)
タイトル カテゴリ Point 日付
愛し仔を送った、君へ自由詩515/12/27 23:59
赤い糸―結婚の祝辞―自由詩515/12/13 0:41
楽園   自由詩715/12/9 23:37
日溜りの墓   自由詩715/11/24 19:57
丸い背中   自由詩215/11/22 23:59
自由詩215/11/22 23:58
空白の頁自由詩215/11/22 23:57
言葉のゆげ   自由詩415/11/21 0:00
歌姫の墓前にて     自由詩615/11/6 23:42
秋の運動会自由詩1015/11/3 22:43
机上の対話自由詩015/11/3 22:27
無題自由詩415/11/2 20:49
潮騒ノ唄   自由詩215/11/1 23:04
シネマの日々自由詩415/11/1 22:53
旅の車窓より短歌1+15/11/1 22:17
鬼ノ涙   自由詩615/10/27 20:13
海老の目自由詩315/10/27 20:05
修善寺の蕎麦屋にて短歌1+15/10/27 19:55
せせらぎの唄自由詩215/10/23 21:50
樹ノ声   自由詩115/10/23 21:43
宇宙の信号   自由詩315/10/23 21:30
日々の歓び   自由詩515/10/13 23:33
鎌倉の朝   自由詩115/10/13 23:25
色鉛筆   自由詩615/10/7 22:02
旅の車     自由詩315/10/5 23:59
流星の唄     自由詩215/10/5 23:42
聖画ノ声   自由詩415/9/14 0:00
コーラス・1―門―     自由詩215/9/8 23:57
自由詩115/9/8 23:38
冬の釣人   自由詩515/9/8 23:33

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