実家に帰り、午睡をする。
窓外で
うらかな陽に照らされたポストが
かたっと音をたてる。
配達夫のバイクの音は遠ざかる。

そんな風に僕はいつも
待っている
昨日も、今日も、これからも
 ....
鎌倉の朝は、なぜか散歩がしたくなる。
低い緑の山間から
燦々と顔を出す陽をあびようと
玄関のドアを、開く。

日頃住む街よりも
澄んだ風を吸いこみ
図書館の庭に足を踏み入れ
ベンチに腰 ....
鉛筆の芯を、削る。
何処までも鋭く、削る。
(誰かを傷つけるのではなく)
{ルビ褪=あ}せた現実に、風穴を空ける為に。  
CDのジャケットから取り出した
ブックレットのモノクロ写真は
だだっ広い空の下を
何処までも伸びゆくハイウェイ

目的地へとひた走る、旅の車
ハンドルを握る、目線の先
一瞬
黄色い蝶が ....
今より少々ケツの青かった頃
とあるスタジオでラジオのADだった
僕の耳に飛びこんできた
「ボヘミアン ブルー」

躍動する無数の音符等は
瞬く間に僕のハートの入口に吸いこまれ
自らの生の ....
海岸沿いを走る車は、山道に入り
坂を上る、木々の葉群の隙間に
一瞬、輝く太陽の顔は覗き

夜の列車のドアに凭れた窓から
ふいに見た、夜空に浮かぶ
ましろい盆の月は夜を照らし

――昼も ....
君の存在の只中にある
方位磁針は
すでに示している。
カルマの暗闇を越えた、この世の桃源郷を。

――first inspiration――

それは未知への世界に
わなわな震える・・ ....
人は問う「あなたの師は誰ですか?」と。
私は黙ってひとさし指を――立てる。  
北風の只中を防寒靴で歩いた、僕は
あの日の旅路を手にしたペンで、筆記する

   *

――記憶に蘇る、海の匂い
遠くに見える、断崖に近づくほど
潮の香りを鼻腔に…吸いこみ

断崖の ....
「禅ヒッピー」という本の中で
遥かな山並みに目を細めつつ
なだらかな麓の道を、二人は往く

――何だか最高の気分さ、ジャフィー
――日々の道と同じ空の下だよ、スミス

「比較とはおぞまし ....
二十年前、富山に嫁いだ姉の結婚披露宴で
お約束通り、親父はウェディングドレスの
裾を踏んだ。十代だった僕は、ポケットに
手を突っこんで「贈る言葉」を歌った。

最後の挨拶で新郎のお兄さんは、 ....
真夏の{ルビ陽炎=かげろう}揺れる
アスファルトの、先に
琥珀に輝く円い岩が
ひとつ、置かれている。

額の汗を拭って、歩く
旅人の姿は段々…近づき
数歩前で、立ち止まる。  ....
君は今日も、渋谷ハチ公前の
路上でギターを掻き鳴らし
スクランブル交差点を行き交う
無数の靴音の、彼方には
紫色の夕空と…ひとすじの雲があり

警察に止められ、君の路上の歌声は
3曲で終 ....
遠い旅先の、見知らぬ街で
風に震える…痩せっぽちで
牙を向く、狼の哀しみ

暗雲に覆われた空を仰いでは
見知らぬ人々の靴音、行き交う  
孤独な雑踏の
只中で
今日も独り、立ち尽くす
 ....
「死」というものは、笑えぬもの。

五年前の冬
八十九年の生涯を、閉じた
婆ちゃんについては、笑えるもの。

在りし日の婆ちゃんの
面影が今も座る食卓の席に
遺影を置き
孫の僕は冗談 ....
生きていれば
心配の種の、一つや二つ
指折り数えりゃ、きりがない

もくもく…不安の煙は募り
揺れ動く心を
丸ごと!
天に投げ入れよう

まことの生の劇場は
ゆっくりと、幕を開き
 ....
今、私が{ルビ綴=つづ}っている
この詩の中の、不思議な井戸

   〇

水を汲み
試しに、飲んでみてください  
人々の行き交う、東京駅の構内。

黒く髪を染めた
赤い靴の、ちっこいお婆ちゃんが
赤い傘を、杖にしながら
白い化粧の頬を、ゆるませ
何ごとかを唱和しながら
ゆるり…ゆるり…進んで行く
 ....
え~、今回ゲストでお呼びした町田さんが
中也さんのことを書いて、朗読して
僕等も5人で、中也さんの詩を、朗読して
会場のみなさんも!聞いて下さり
どうやらこの会場に訪れた
空気中に漂う中也さ ....
目線の先に、踏み台は置かれ
ゆっくりと腰を沈めて
砂に指先を、ふれる。

――僕は、何処まで翔べるだろう?

自らの心音に、少し震えながら
あの笛の鳴り響く時を、待つ。

前方に、顔 ....
扉を開いた、棚の中
いつのまにやらトイレットペーパーは
残り数個になっていた。

棚に、空洞のあいた分だけ
僕は日々の栄養を、摂り
少しは成長したろうか――?  
黒いしるくはっとの彼は
遠い過去から訪れた
謎の旅人

呆けたように、宙を見る
彼の目線のその先は――
昔々のサーカス小屋

観客席を埋め尽くす
鰯の面した人々は
小さい口をぽかん ....
僕は、今から四十年前
{ルビ勾玉=まがたま}のような白い種として
母の胎に宿りました。

それがこうしていつのまにやら
大人になって、独歩して
思考しては、言葉を発し
地上の日々を営んで ....
囲碁には(天元)の一手があるという。

運命の場所をそっと探るように
シナリオの無い未来を読むように
白と黒の石は…互いに音を立て
碁盤の升目を、埋めてゆく。

――碁石とは、天の星々の ....
もし――凸凹な
パズルのピースである、僕等が
舞台の上でスクラムを組んだら

明日へ光を放射する
一枚の絵画になるだろう  
久々に一人で実家に帰る、晩
何処か名残り惜しく
幼い息子の肩を抱きつつ
嫁さんに少々草臥れた足裏を揉んでもらう。

  *

久々におふくろの味で腹を満たした、朝
何処か名残り惜しく
 ....
これから幕を開ける
旅の予感を胸に
玄関のドアを開き
月夜の散歩に繰り出す

路面に照らされた
我が影は
我であり
我で無い…誰かのような

いずれにせよ――宇宙に只一人の僕
で ....
私は、白波。
晴天の大海で、一人
遠くから呼ぶ
あの太陽
の熱い眼差しを身に受けて、踊り上がる
私は、白波。

瞬時に見渡す、海面、あちらこちら
それぞれの、個性の、白波等
それぞれ ....
横浜・野毛の老舗「村田屋」の座敷にて
鰯丼の傍らに、置いた
味噌汁の真ん中に
豆腐がひとつ、浮いている

(天井のらんぷを、小さく映し)

澱んだ味噌汁の、只中に
くっきりと、立体的に ....
遠い異国のサクラダファミリア
風変りな教会・巨大な{ルビ獣=けもの}
ガウディの亡き後――今も尚
残された人々の手で創られているという

建物は、ひとりの生きものかもしれぬ
一人ひとりの人 ....
服部 剛(1986)
タイトル カテゴリ Point 日付
日々の歓び   自由詩515/10/13 23:33
鎌倉の朝   自由詩115/10/13 23:25
色鉛筆   自由詩615/10/7 22:02
旅の車     自由詩315/10/5 23:59
流星の唄     自由詩215/10/5 23:42
聖画ノ声   自由詩415/9/14 0:00
コーラス・1―門―     自由詩215/9/8 23:57
自由詩115/9/8 23:38
冬の釣人   自由詩515/9/8 23:33
日々の山路   自由詩415/8/30 23:22
夏の夜風自由詩415/8/28 18:52
夏の夢自由詩815/7/16 19:55
路上の歌人   自由詩315/7/13 23:58
夢の地図自由詩615/6/26 20:22
椛の手自由詩615/6/21 23:30
日々の劇場自由詩515/6/17 21:09
井戸ノ水自由詩215/6/17 20:53
赤い靴のお婆ちゃん     自由詩415/6/8 21:53
日本の詩祭・朗読ステージ―町田康氏とのかけあいより―自由詩415/6/8 20:33
笛の音自由詩315/6/8 20:03
棚の空洞自由詩215/6/5 22:49
空中ブランコの夢自由詩315/6/5 22:42
夕暮れの丘自由詩715/5/19 19:39
石を打つ自由詩615/5/19 19:19
Vision 自由詩515/4/29 2:24
名残り・・・について自由詩415/4/20 23:59
月夜自由詩7*15/4/20 23:38
海の合唱自由詩515/4/20 23:20
夕餉の匂い自由詩515/4/5 21:13
自由詩315/4/5 20:54

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