歩道をのんびり歩く 
背後から 
チェーンの廻る音がして 
端に避けた僕の傍らを 


  SAKAMOTO 

      6


というジャイアンツのTシャツを着て 
後ろ ....
2本のギターが 
壁に寄りかかり 
ひとつは背後に隠れ
倒れぬように、支えている 

もうひとつは 
傾きながら、立っている 
自分の力であるかのように 
背後の支えに、気づかずに 
 ....
電気を消した暗い部屋で 
月明かりの射す窓に向かって 
扇風機よ 
お前はやけに 
凛とまっすぐ立ってるなぁ 

夜風にふくらむカーテンと 
何かを話しているようだ 
深夜、スタンドの灯りの下で 
古書を開き、ふと顔を上げれば 
暗がりから、祖母の遺影が微笑み 

隣には、先月三途の川を渡って逝った 
富山の伯父の葬儀に行った 
お礼に贈られた 
金箔 ....
決して口にはしなくとも 
(愛を生きる)と呟いて 
今日という日を過ごしたら 

目に映る周囲の人々が 
いつも以上に潤わしい 
家族の空気を帯びていた 

そんな時は決まって 
棒 ....
たとえば身に覚えの無いことで 
誰かに文句を言われたならば 
(すみません)とたった一言呟けば 
事物は流れてゆくのです 

流れるものは 
流れるままに放っておいて 
この世のことには ....
玩具銀行の赤い判子を押した 
福沢諭吉の万札を短冊代わりに 
笹の葉群に吊るします 

夏の涼しい夜風が吹いて 
はたはたはたはた 
数え切れない諭吉さんが
笑います 

時折ちらり ....
 この世の者ならぬ 
 あの(瞳)が 
 私の心の暗闇を 
 覗き込む時 

 空に薄っすら浮かぶ 
 あの(瞳)を 
 私もじっと 
 視るだろう 

 目の前に立つ 
 あな ....
 6月の「ぽえとりー劇場」のオープニングでは、Ben’sCafeに集まる人にとって言葉の味わいの深まるような有意義な詩の夜となるよう願いをこめて、宮沢賢治の「注文の多い料理店」の序文を朗読しました。  .... まことの自分である時は 
背後に透きとおる
あのまなざしが 
黙って微笑を浮かべます 

まことの自分である時は 
色褪せていた日常に 
肩を並べた花々が
次々口を開いてゆきます 
 ....
{ルビ若布=わかめ}の{ルビ疎=まば}らに干し上がる 
六月の浜辺を振り返れば 
今迄歩いて来た僕の 
たどたどしい足跡が 
霞がかった岬の方まで 
延々と続いていた 

あの岬の幻は  ....
あなたが地上から旅立って間も無い今 
こうして語るのは月並みだが 

友達でもないのに僕は言う 
マイケル、 
あなたが音楽の神様に選ばれた 
天使のように 
あふれる歓びを踊りながら歌 ....
ふいに手にした{ルビ銀匙=スプーン}を 
見下ろすと 
逆さの僕が 
こちらを見上げてゐる 

銀匙に映る小さい僕と 
銀匙を持つ大きい僕の 
瞳と瞳の間を 
結ぶ 
透きとほった時 ....
聖堂の扉を開いて 
真中の道を進み 
祭壇の前に跪き 
両手を、合わせる 

ふと見下ろした花瓶には 
親しい家族の顔を並べる 
色とりどりの紫陽花達 

ステンドグラスから降りそそ ....
白い壁に掛けられた 
金の額縁には 
名も知らぬ画家の描いた 
淡い水彩画の少女 

朝の光に透けながら 
すきま風に膨らむ
カーテンの窓辺に佇む
黒い瞳の少女 

日々多くの人と ....
このCafeの机の木目は 
人の指紋に似ている 

この机は今も時折 
森にいた頃の懐かしい記憶を 
思い出している 

  * 

自らの枝に留まって 
朝の唄を森に響かせる 
 ....
 今日は休みなので、町田の国際版画美術館でやっている「ルオー展」に行きました。近所のバス停から11時前のバスに乗り、藤沢で久しぶりにダイヤモンドビル内にある有隣堂に寄りました。お目当ての本は「蕪村句集 .... 旅人は{ルビ叢=くさむら}に埋れて 
横たわり  
いちめんの空に 
浮雲の群を見ていた 

それぞれに{ルビ流離=さすら}う雲は 
違った形の膨らみで 
西から東へ流れゆく 

自 ....
ベビーカーに寝かされて 
泣いている赤ちゃんを 
若い母が覗きこみ 
「痛いの痛い飛んでいけ」と囁けば 
不思議と笑みが浮かびます 

産声を上げた誕生の日から 
幾十年の月日は流れ 
 ....
「コチラハ廃品回収車デス 
 御家庭デ不用ニナリマシタ 
 テレビ・エアコン・冷蔵庫等 
 壊レテイテモ、構イマセン 」 

夕暮れ時に
2階の窓から眺めると 
我家の前の川沿いの道を  ....
もし99%の暗闇に 
世界が覆われていても 

たった1%の光の原石を 
この掌に握りしめ 
深夜の淵に、独り立つ 
 今から30年以上前に高田馬場で朗読会を
していた上手宰さんは僕が尊敬する詩人で、
4月の「ぽえとりー劇場」は世代を越えて詩
を共有する雰囲気になったのが、とても嬉し
いことだった。そして、長 ....
 昨夜は新しい詩集「Familia」の出
版記念の詩の夜であった。何人もの詩の仲間
がこの本を手に取り、休憩時間にメッセージ
と名前を書いて、一人ひとりに手渡せた時、 
僕は詩を書く者の幸せを ....
工場には 
一つの巨きい機械が常に作動し 
ベルトの上に運ばれる 
「商品」は次々に仕上がり 

( 巨きい機械を組織する 
( 無数の小さい歯車達は 
( 涙を流す、暇も無い・・・ 
 ....
「世界」という名のパズルから 
はみ出した1ピースの「私」は 
いつまでも 
自らの存在に、飢えている

風に揺られる野の百合や 
空に翼を広げる鳥は 
「世界」という名のパズルに入り  ....
私が幸福を 
忘れてしまうのは 
きっと「私」を
握り締めてしまうから 

もしも「私」を手放せば 
空っぽの透けた体に 
(風ノ人)が入って来る 

そして両手を組み合わせ 
私 ....
休日はらんぷの灯の下に 
古書店街で買った 
古びた本の、頁を開く 

少し引っ張れば 
すぐに千切れてしまいそうな 
薄茶けた頁に並ぶ無数の黒字は 
遠い過去から語りかける 
音の無 ....
亡き祖母の和室を書斎にして 
らんぷ灯の下に 
古書を開く 

この和室で 
祖母が永遠に眠った 
あの日から 
部屋の隅に置かれた受話器は 
お辞儀をしたまま黙っている 

背後 ....
カウンターに 
二つ並んだ 
赤と白のワイングラス 

君は言う 
「はっとりさんは、孤独なの・・・?」 

僕は言う 
「詩人は皆、寂しがり屋なのかなぁ・・・」 

君は言う 
 ....
誰もがきっと探してる 
心の穴を埋める 
たった一粒の薬を 

誰もがきっと求めてる 
この世の果ての薬局にいる 
あの不思議な薬剤師を 

群衆に紛れた君が 
ビル風に飛ばされそう ....
服部 剛(2150)
タイトル カテゴリ Point 日付
野球少年のうた 自由詩209/7/15 18:21
ギター 自由詩409/7/11 9:06
扇風機 自由詩509/7/11 9:00
( もうひとつの世界 ) 自由詩4*09/7/9 21:36
露のひかり 自由詩2*09/7/9 20:43
へのへのもへじノ胃袋 自由詩3*09/7/9 20:19
ましろい短冊 自由詩509/7/8 0:55
望遠ノ瞳 自由詩209/7/5 19:47
宮沢賢治からのメッセージ 〜言葉というたべものに就いて〜 散文(批評 ...2*09/7/3 21:12
花の合唱団 自由詩409/7/3 19:38
明日の海 自由詩909/7/3 18:41
アメリカの英雄に捧ぐ自由詩309/7/1 19:41
銀匙の鏡 自由詩409/6/22 23:44
歓びの花 自由詩109/6/22 23:32
窓辺の少女 自由詩16*09/6/17 20:04
Cafeの机 自由詩009/6/17 19:39
静かなる夕暮れの道・ルオー展にて〜町田探訪記〜 散文(批評 ...209/6/7 22:53
ペネタの雲 自由詩909/6/5 22:18
ベビーカーの青空 自由詩409/5/31 20:26
デクノボウの詩 自由詩609/5/31 19:52
光の石自由詩309/5/29 21:26
愛の詩人・上手宰と「冊」の詩人からの伝言散文(批評 ...209/5/29 21:22
詩集「Familia」に込めた想い 〜(もう一つの世界)に尽 ...散文(批評 ...509/5/19 0:54
イデアの国 自由詩809/5/15 18:17
「 世界のパズル 」 自由詩309/5/14 21:40
風ノ人 自由詩109/5/14 21:10
「 古書ノ声 」 自由詩809/5/11 19:41
石ノ顔 自由詩309/5/11 19:24
孤独ノ方程式 自由詩209/5/11 19:13
「 猫ノ薬 」 自由詩709/5/9 20:57

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