いつも前をみなさひと叱つてくれた母/あでやかに彩(いろ)めきわたし生涯初のだいびんぐ/息をみたし瞼をとぢて“さよなら”のかたちで関節をのばす

すでに顔をそむけ唇を噛みしめ/母のしおからひ指先をは ....
なまぬるい風に
ウエルニッケ野原はがらんどう
すずめを いちわ
ちからまかせに
にぎり もだえる
臨月まぢかの手(うで)をひろった

縄をまわし
大地に丸太をいくつもしいて
石油コン ....
   うれひを小脇にかかへ
  不眠の患者の眼のうへ ありく
 うすひ壁なぞすすす あへなし

やる気もうせたこのカラだ
サイレントピアノを百年たたく 人真似よろしく
肺病む少女をゆうれひ ....
ドモ、ロボトデス
ヒト、スキ
モノ、スキ
コトバ、スキ

キセツ、ハ、メグッテ、ハナヤグ、コロニ
トリヤ、ムシラモ、カナデル、コロニ
プレリドッグノ、デアタ、コロニー
・・・ボク、コユ ....
たびたびおとずれる
手をのばさずにはいられない衝動と
どこかで燃えつきるはずの悠久の紳士が
消えずに残るわたしの瞼をゆきすぎていく
それはまるで
ひびきを吸いとる
木綿をまとった異国の旅人 ....
 とぎすまされたナイフのように
 口元にはいつも
 ふっきれたような不敵な笑み
 藤木くんはそういうひとだ

二十歳すぎ
鼻と耳にピアス、眉毛なく黄金色の長髪をふりみだす姿はライオンのよう ....
かなしみの夜に
貝殻の雨が降る
わたしのように繊細では
とても生きていけないとおもっていたのに

ちゃんと生きてこれて
今日も生きています
いろいろなことに感謝しています
かなしいこと ....
ずっと寄りかかっていた
揺るぎない背もたれとして安心しきって
あなたが感じている重たさも
慈愛で受け入れて
融かしてくれているのだと思っていた


いま、青に導かれて去ろうとしている
 ....
「仕事に貴賎なし」で渡りあるく


暗証とID
待機室はいくつものセキュリティチェックをくぐった先にある
「夢のバイト。ジャンボ機ですよね」
マニアは聞けばいろいろ教えてくれるが
夜の羽 ....
わたしへん
ものに執着しても
ちっともものと思っていないんです
はだかにしてとうめいにして
ギリギリの「アル」になるまで
投げて、こわして、きずつけて、ためします

それにくらべて
こ ....
宴もたけなわをぬけだした
ネオン、信号さんも律儀だね
女子のきらびやかで背中を見せるファッション多し
なんてまやかしな

挨拶もそこそこ
引き出物は右手
キマってみえるだろ

あなた ....
レモン色のチューリップが
それは雨天のせせらぎであって
顔は飛沫(しぶき)をはじいていたのです

あなたは最初の花ですか
植物図鑑のはじめですか
あなたは「赤」のはずなのに
あなたの夢み ....
カキコ
ゆかりの詩人の指を一本拝借して詩を書いていたのですが
その指が痒いというのでクリップの先で擦ってやると
流れる血がまた詩の風貌に滲んできたので 調子にのって
ためしにインスタント珈琲を ....
その日の美術の科目は
自分の
もう片方の腕のデッサン

 写実主義の鉛筆は
 大気の成分のようにすみきっている
 大陸棚から
 波紋のようにそそりでた喜望峰にゆきつけば
 五指しめす照 ....
鹿沼公園 梶ヶ谷第一公園 あさやら公園 じゅん菜池緑地
こうえんらはその下で ゆるく手をにぎってつながっているという

きょうも
ひとりの女(ひと)がだまってベンチに座ったままだ
こうえんは ....
もう見慣れたものさ
のんだくれの青空ベッドなんて

誰も起こしたりしないよ
シャツの下ボタン肌けて仰向けに
観音菩薩の表情(かお)はいまも石川さゆりの膝枕なんだろうけど
酒やけで毛穴全開サ ....
「はい、二五十円ね」
安さ(そこそこうまい)が自慢の弁当や
座って食べれる気さくなところ

小さな厨房は午前二時から真夏の修羅場で
汗と油と大さじ少々がフライパンのような熱でうたって踊る
 ....
ほんとうは
レンジであたためなんてとんでもない
だーくな箱の中にとじこめて
ボタンを何回かピッピピッピ押して
なにかされるんです
ひきつって声も出ないたぶん食べものが狂い死んで
あたためら ....
せめて はいさぎよい
悔いにのみこまれてもその上に震えたつ
涙もかれた花のいろをしている

せめて はもとめない
とうめいになったからだで小さなものたちを拾う
どんなにこぼれても心のあ ....
いかりをうちあげてもそら ゆっくり
ゆっくり廻ってはいるが
いくつもの次元を孕んでは吐く

ぷいと吐かれたものたちは
孕んだ種子をふりかえってみるが
そのうしろでひろがる樹海にたちすくむ
透明なスプーンのようにへ ....
男はリカバリされたパソコンをみながら
バックアップの大事さを思い知るはずだったが
じわじわと不機嫌になったあとは
海のとおくに浮かんでいるきもちになった

記憶は記録とおなじなのだが

 ....
それは忽然と現れた。
スパニッシュブルーの空を突き刺してそびえ建つ、
研ぎ澄まされた円錐形のオブジェ。
傾斜角75度の強い意志が天を貫いている。
指し示す先はどこまでも高く
その先端から曖昧 ....
おばあちゃんの手は
ごつごつしてるしきたない
でも働きものの手だ
今だって仕事を忘れてない
くるくると
はきはきと

わたしのことを誰か知らない人の名前で呼ぶけれど
働きものの手は
 ....
タオル地のゾウさんは、ボタンの瞳

故郷のばっちゃんの瞳

とりあえず、ごめんなさい、ありがとう
あたしのしあわせは、どこにあるかな



今日はよく晴れていて

干したふとんはいいにおい

かすむ空はそれだけで優しくて 目を細める


どこかでちいさなこどもたちの笑い声 ....
教科書に書かれた詩に
しぶきを浴びせられたような気がして
気持ちがよいなあと感じた
あれは 小学三年生の頃
理屈なんかない
パシャっと水しぶきがかかったようで
ひとりで なんだか笑ってた
 ....
捨て猫に飼われている


私は 捨て猫に飼われている

飼われているから『捨て人』ではない

飼われ人なので
そのしるしに首輪をつけている
鈴もついてるので歩くたびに
リンリンと鳴 ....
夏の夜空はアンタレス 赤く輝いてる
思い出すのは あんたです さそり座の一等星

浴衣姿のべっぴんさんが金魚バチを眺めてる
部屋の隅では黒猫が泳ぐ金魚を狙 ....
木原東子さんのおすすめリスト(877)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
おちば- 乾 加津 ...自由詩9*10-11-10
がらんどう- 乾 加津 ...自由詩10*10-11-8
ゆうれひ- 乾 加津 ...自由詩4*10-11-5
ロボト- 乾 加津 ...自由詩5*10-11-2
まどろみ- 乾 加津 ...自由詩7*10-10-30
ライオンの爪あと- 乾 加津 ...自由詩8*10-10-27
かなしみの夜- 瀬崎 虎 ...自由詩310-10-14
GRADUATION- 渡 ひろ ...自由詩18*10-10-12
そこに笑顔はあるか- 乾 加津 ...自由詩14*10-10-12
構造- 乾 加津 ...自由詩8+*10-10-9
コンビニで値踏み- 乾 加津 ...自由詩6*10-10-2
レモン色のチューリップが- 乾 加津 ...自由詩14*10-9-22
バッタ_(ご利用は計画的に)- 乾 加津 ...自由詩6*10-9-18
腕から先のゆめ- 乾 加津 ...自由詩5*10-9-11
公園の手- 乾 加津 ...自由詩10*10-8-30
追いかける声- 乾 加津 ...自由詩6*10-8-28
弁当やの麦茶- 乾 加津 ...自由詩4*10-8-18
レンジ電子_(想起させるものに、忠実に)- 乾 加津 ...自由詩8*10-8-11
わたしと__せめて- 乾 加津 ...自由詩16*10-8-5
無窮- 乾 加津 ...俳句2*10-8-2
回転扉- 乾 加津 ...自由詩3*10-7-31
リカバリ- 乾 加津 ...自由詩3*10-7-30
renovation- 渡 ひろ ...自由詩20*10-6-29
- 森未自由詩3*10-3-23
ボタンの瞳- 殿上 童自由詩9*10-3-16
あたしは、しあわせ- 森未自由詩4*09-3-22
正気- 砂木自由詩3+*08-12-14
捨て猫に飼われている- 北大路京 ...自由詩14*07-9-14
夏の幻- 北大路京 ...自由詩20*07-5-27

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