不自由な健常者
るるりら

かあさんに あかりをあげたい

めくらになってしまう かあさんに

あかりが そこにあるかないか だけは しっている

盲人になってしまう かあさんに



わたしは

かあさんに あかりがあげたい



あかりの下に なにがあるかなんて とうに 目では わからない かあさんは

なにがそこにあるかは しずかにして さぐる

みんなが さりげに とおりすぎても さがす

そして ゆっくり じぶんの足で あるく


かあさんに あかりをあげたい


いずれ めくらになってしまう かあさんは

いろんなものを うしなって はぎとるように うしなって

うしないたくない 大切な事 愛している順番どおりに うしなって

さっさと うしなう予定だった ひかりだけは うしなっていない



光よ。嘘ばかりつく 光よ。わたしに いろんなものを 記憶させた光よ。

いえ、お約束は お約束。その ひかりは いずれ しずかに かあさんから去るのでしょうね。



そんな かあさんに あかりを あげたい

あかりなんて たよりにしてない かあさんが、

すっかり ほんとうに すべての ひかりを感じることができなくなった日がきても


わたしは かあさんには あかりをあげたい



ひかりの下でしか なにもできない 悲しい わたしが

かあさんを 見失わないように



あかりをあげたい


自由詩 不自由な健常者 Copyright るるりら 2008-05-27 22:13:48
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