寮生に / 想い出す情景
beebee



五月十七日は土曜日でした。
窓から外を見るぼく。
向かい合うアパートの窓に、
立っているぼくの姿が映っている。
身体を揺すり、
ヘッドホンに独り慰め、
真夜中の二時。
ぼくは銀行員。
寮生はみんな寝静まり、
向かい合うアパートは暗い。
乗り物がV字型に放置され、
電信柱が白い腕を挙げている。
五月闇はガラスの内。
白いアルミの窓枠が三つ浮き上がって見える。
その中に、
立っているぼくの姿が映っている。
身体を揺するぼくと、
身体をゆする向こうのぼく。
二人してこうやって向かい合って
五月の闇を凝視めようよ。


自由詩 寮生に / 想い出す情景 Copyright beebee 2008-05-22 02:31:41
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