すべてのおすすめ
クリープ現象で
夜をすべる
アクセルを踏みそこなった右足で
有明ランプをまたぐと
すこし遅れて
あした が きょう になる
うしろへと流れる景色を手がかりに
恋人だったはずの
....
まちぜんたいをみおろせる、
たかいやまにすむ くまは
だれにもばかにされないくらい
おおきなくまになりたくて
やまのものをつぎからつぎへ
たべつづけていきました。
....
高校生だった僕は
泣いて
泣いて
チンピラに憧れて
チンピラになりたくて
夜の街を歩いていたのです
高校生だった僕は
お金も無くて
遠くに行けずに
ただ地元の真っ暗な商店街を
....
否定的眼で見る
どれも好きになれず
すべてが嫌い
肯定的眼で見る
どれもが素晴らしく
すべてが好き
否定的眼で見る
誰もが罪を隠しているようで
誰もが罪人
....
実家の部屋の掃除をしたら
引き出しから、アルトリコーダー
袋は底が破けていて
ちくわみたいだと笑われた事を思い出した
ほんのすこし掃除は休んで
エーデルワイスでも吹いてみようか
....
心臓を 下さい
何処かに置き忘れたのです
シナプスを飛ばして 過去の駅
遺失物預かりの四角い顔は
どうして揺れることがないのでしょう
同情して下さい なんて
云えないのだけれど
....
紙ひこうきが空を舞う
非常階段の手すりにあごをのせて
僕達はそれを見てた
やっぱりあの屋根の向こう側までは飛ばないよ
そんな君は大人びた子供で
僕は子供じみた大人な ....
毎日公園の小さな池で
私は探す 飛ぶ宝石を
濁った水の上を鳴きながら
あの空のかなたに飛んでいったきり。
随分長いこと会ってない気がする
もう一度会えたら
きっと幸せになれる
....
こうそうまんしょんの
さいじょうかいにすむおんなのこは
よるになると まどから
かならずつきをみます。
つきをずっとみていると
からだごとすいこまれそうになります。
....
やはらかな ひかりの かけら
あつめて はなつ かほり
かぜの おびを ほどき
めざめよ
とほき ゆめの かなたより
はなは あさに ひらき
とりは ひ ....
座ル女の像
大平原
岩国の米軍基地の事で
自由自在
草を踏み固めた道は続く
葦は三本
脳幹と運と
無粋に今日も無粋に今日も
昭和五十三年
裏庭の櫟の下で
拗ねた節を聞いた
....
こぼれる夕暮れの赤
そのにじみの跡を
窓ガラス越し、指で混ぜれば
ばらけていく赤
カケラになったり
粉になったり
くびれた小瓶に入って
....
もちには もちもちしたもち米を炊いてつぶした もち質というものがあって
それがむちむちしていたら まだうち足りないので ちょっともち質は居辛くて
早めに打ってさしあげてください そうしましたら
....
さなぎの、笹食べているのを見て
いると暗澹とする。ささ、さあ、
こちらにおいで、さなぎ。どうせ
おまえは動けないのだから、せめ
て、こんな年寄りのところまで、
這いずり回って、混沌のようにや ....
朝の音がきこえる
新しい今日を祝福する歓びのうた
優しいひかりが応えるように射して
静寂に包まれた世界を そっと 彩る
僕は、その感触をたしかめるように
ゆっくりと目を閉じ
祈 ....
こすもすもくもく
ゆけむりもくもく
おはなむずむず
おなかゆるゆる
よかぜぶるるん
こすもすゆらゆら
あかトタンやね
くずれておちた
いつかわらった
こすもすころころ
みづ ....
風は曇り
硝子のひと欠け
わずか わずか
と つぶやかれ はじまる
蝶の生まれやすい午後
葉と葉のあいだ
やぶにらみの空から
静かな土から
さらに高く さらに低 ....
しずまりかえった夜
の浸透圧で
ゆるやかににじむ
染まりゆく夜
染まりきるころには
わたしたち 空っぽ
恋は死ぬ
愛は死ぬだろうか
輪郭は想う
幻色で、つめたく卵
うすく微 ....
寝室の時計をさがしてる
秒針は、一様に母の心音よりも
はやい
ねむれない
ねむれないの
ぼくを抱いた鼓動は
たん、 たん、 たん、
寝室の ....
その愛しい指が
わたしの名を綴ったからといって
距離は変わらずなのだけど
無機質なディスプレイに
時折運ばれる便りの
密やかなときめき
それは
一群れのシロツ ....
落書きは消さない
向かい風にむかって
ときおり模様を懐かしむ
みあげた空がいとおしいなら
転べ、青い獅子
記憶にとどめたい
最後の絵を抱えて
知らない鳥がさえずる日々
それはまったく猥雑に響き
混雑する津軽の店内に
どうでもよい配置をさらしていた。
昼間、
どんぶりを積んで厨房へ持って行くときに
滑って転んだ。
白いどんぶ ....
いくどめの夏の陽を
やわらかな肌に射し
花と笑い
鳥と歌う
口もとから
こぼれるものが
微笑みであるように
眼から
あふれるものが
光とな ....
火の粉は
陽の寝そべる雪原に降りそそぎ
炎に弾ける冬毛の音が
なにもない空を跳ねてゆく
うさぎは
しおれた耳の先を焦がす
遠い朝に添えられた指先を
食んでいた ....
うつむく おもてをしろくして
みだれ黒髪 風へすき
雨のくる のをそぞろまつ
かすみのころもを まとう月
かごとゆられて {ルビ何所=どこ}へやら
{引用=個 ....
脳裏にやきつくのは 掴んだ手の感触。
繋いだんじゃない。握ったんじゃない。掴んだんだ。
そして電車に乗った。流れ込む電車。
君の手の感触は僕の体を各駅停車へと導く。
はにかんでもっと ....
ガラス窓の外にはすでに
手の届かない場所に{ルビ向日葵=ひまわり}が
ほほえみを 風にくずして ゆれている
若き日のひとすじな愛の光を
遠い昔へ葬った者の
{ルビ濁=にご}った瞳に消える ....
フットサル
足元で猿
ボールを蹴りながら
猿回しの猿に
回されてますよ俺
舞わされてますよ俺
華麗なステップ
素敵なトラップ
フィット
チーネの味は
忘れました
あなたがいな ....
「もも」のような人だった
夏の始まり
胃のあたりにひどい痛みを訴えて
青白くやつれていった
食べものの好みが変わって
「ガン」かもしれないと感じた
不意に 人生の何分の一かを失う と思った ....
その日の夕方
妻は花束を抱えて帰ってきた
赤 青 黄 白
色とりどりの花の群れ
寝室の棚の上に花瓶を置いて
妻は花をその中に挿した
赤 青 黄 白
色とりどりの花の群れ
部屋の中は美し ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30