すべてのおすすめ
すべてが終わると
その町にも銃を担いだ人たちがやってきた
彼らはこの国の言葉や
この国の言葉ではない言葉で話すものだから
町の人々はますます無口になった
少年は喧騒と沈黙でごったがえ ....
はっぱをめくればなめくじ
みんなにきらわれて
しおをまかれたりする
おまえなめくじ
うまれてからずっと
からだじゅうでないている
おれだっておなじ
みんなにきらわれて ....
それは
いまにもきえいりそうに
ふわふわと
ぼくらのまえにあらわれ
ながれにおち
みずいろにひかりながら
ながされていったけれど
あのひ
だれにしられることもなく
ひ ....
玉ねぎが自分で自分の皮をむいている
オレハ ドコニイルノダロウ
いくらむいても自分は出てこない
それでも玉ねぎは自分をむき続ける
オレハ イッタイ ドコニイルンダ
その間 ....
酔っぱらった僕は
フライパンの真似をして
空に羽ばたいた
一番高いところで
激しく嘔吐したけど
よく見ると
それは言葉だったので
ますます気持ち悪くなった
肩に触れていたなだらかな重さが
消えていることにふと気づくとき
部屋のなかを見わたす視線は
ほんの少しだけ傾いている
今日も夕空を見忘れて
蒼い窓を通りすぎ
破りとられ ....
あっけなく飛び込んでいった
プールに飛び込むみたいに嬉しそうに
星を見上げるのは星になろうとするためか
弾け飛ぶ後悔と切望のように核融合によって放出されるエネルギー波 フォトン
....
ひどい青さの落果
そんなに思い出を失くしてどうするの?
夢をみてるのね
ゆるい傾斜の果樹園で
ひとつひとつの木には
実がふくらんでいて
それいぜんには
花が咲いていて
遠い
息が ....
からだの曲線にそって
あなたは
かんたんなじゅもんなのだと指を折った
てのひらをそっとひらいて
りゆうもなさそうにわらった時
すこしだけ
えんえんとつづいてゆく
朝の風景を おもいだして ....
硝子細工の
幾つかの重なりは
小さな風の溜まり場をくるくるとかき混ぜて扉を揺らし
丘に続く小道を夢見るのです
夏が降り
気まぐれな模様を織りなして
あのひとの指に留まった雨粒が私の
....
あたりまえの、キスを、ください
追いかけるたびに
春はもう
ふりむきざまの、目くばせ
早足にからまるイヌフグリの、青
追いつかないのは
季節のせいなんかじゃ、ない、と
....
沈む夕日を見ていると
今日もまた唇が淋しい
姉さん
そうつぶやく僕には
生まれてこの方
兄さんしかいなかった
中心へ向って途絶えない無数の
緑の中に駈け寄って
眼の後ろで呼ばれた光は
しだいに
向かい合わせた最後の場所で
塵に変わりゆく扉に刻まれても
痛みのオウトツを識らない
薄まら ....
僕らは 一列に並んで
少しずつ 進んでゆく
かぎりなく長く思える柱廊を
誰も 一言も発さないまま
僕らは 白い衣を着て
白い布で覆われた銀の皿を両手に捧げ
少しずつ 進んでゆく
....
ぼくにできることは
ほんのすこしのこと
だけどそのすこしが
ぼくやだれかをほんのすこし
うれしくさせられたらいいな
ぼくにみえるものは
ほんのすこしのもの
だけどそのすこ ....
山肌に
かすれて
張り付いた
涸れた
田んぼの
あぜ道を
白い
自転しゃで
駆けおりる
がしゃがしゃごしゃごしゃ
うたうじてんしゃ
目線の先はあかいとんぼさ
....
の苺の花を見つけたのは
僕よりも犬のほうがきっと先
しろい花はきれい
咲いているのは僕と犬の家のすぐそば
あの山までは二時間と少し
僕のままでかえってくるから
犬のままでいえ ....
初夏の夜、首が痛くなるほどに
高い空を見上げて、
あれがかんむり座だよと、
いつかそう教えたのに、
あなたは忘れてしまった。
七つの星でできた王冠を、
あっさりと投げて捨て ....
ささやきをのいずからひろって
ささやきであたまのなかをみたして
ちょっとしたふわふわかん
ちょっとしたゆらゆらかん
ささやきはのいずになって
ささやきはかがやきになって
ちょっ ....
あ、
ああ、
陽光が、
陽光が、
私を、
する、
陽光で、
飽和してゆく、
ひとつのわたしの肺胞、
ひとつひとつのわたしの肺胞が、
春を、
春を、吹き ....
ねむりなさい
夜空の星の輝きを忘れて
冷たく甘いゆるやかな夜の時を忘れて
コーヒーは大人の語らいとけだるさに必要なの
あたたかな布団
心地よい闇に抱かれ目を閉じて
耳に届ける夜たちの声
....
でんしんばしらのよこにすてられた
さんびきのこねこが
じりきでそだつ
あなたが夜中に電球を交換したから
母子手帳にないものを確認したわたしです
今朝は自然に目が覚めました
これが普通だったのかな
なんだか病気のようで
そう思ってしまって
それでも反省する気に ....
妹はいろいろなものに形を変えることができる
うらやむ人もいるけど
はたしてそれっていいこと?
そして最後は文句も言わずに
また四角い箱の中に四角く収まる
それっていいこと?
....
眩しすぎた歌をうたえずに
鳥は地面に落ちました
時に捕まえられた腕の中に
忘れられた机と色彩で
画家の言葉が揺れました
....
物干し竿に吊したシャツが
風を孕んでくるりくるり
くる くる
掴んでる洗濯バサミは
一生懸命!!
※ 洗濯バサミは今日も健気 ....
食材よ今すぐ宙に飛び上がり
世界に全て均等に降れ
天動説の子どもが増えてるらしいのですが
それはまったく自然なことです
地球が回っているのだとしても朝が来るのは退屈なのですから
僕はお布団で魚になって
箱舟に乗ったかあさんとはなしをします ....
妻と二人で梅干を漬ける
台風が近づいている
空はまだ晴れているけれど
窓から入る風は生暖かく蒸し暑い
梅の実の良い匂いがする
水洗いした梅の実をタオルで一つ一つ拭き
ヘタを楊枝でほ ....
指先であそぶ旋律がピアノの鍵盤の上を流れて
部屋に溢れるやさしい音階のすきまに
天球図は青くひろがってゆく
東のかなたの
さそりの心臓は自ら発火し
そのきらめきは引き出しの奥で眠るルビー
....
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