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帰宅したら
水槽の中で人魚が
ぷかりと煙草を
吸っていた
煙草は健康に良くないよ
と声をかければ
貴方だって煙草を吸ってるじゃないの
と返して水槽の中に潜る
風呂を沸かす
ゆ ....
白につづく銀と鈍
黄につづく金と土
線は繭にくるまれていて
まるくなり まるくなり
連なりのなか震えている
海と川の鳥たちが
街の橋を
曇の朝を越えてゆく
ふたつの ....
満月の空
循環、円を歩きます
振り返れば影がゆがむので
進むことを
渡されています
街道の名前は不明
集まる人達は群れ
大きな坂道と階段
鐘の音が、ひとつ
進んでみる、今日に ....
無造作に取り出した音楽が
存在しうる一番短い時間よりも短い時間で
私の気分を ほんの少し前の私の理想へ導く
なつかしい誰かと昔話をしたいと思ったけれど
はめをはずしやすいから 気分が高揚しすぎ ....
夕暮れになると
ばくは星間に漂いはじめるのだった。
追いつめられてすきとおっていた
声なき声は銀河の構造
肉体を失って誘いを待つあなたは光の粒子
粒子は崩れぼくは光速で見えないあなたを通 ....
娘は将来アイス屋になりたいと言う
好物のアイスを好きなだけ食べられるから
ではなくて
沢山の人を幸せにしたいからだそうだ
いっしょにお風呂に入ると必ずその話題になって
バニラ ....
古池がある
池は苔が生えている
月が出ている
満月だ
池に満月が映っている
静かだ
生き物の気配がしない
そんな時
ちいさな岩の上か ....
〔3月の風〕
風上に向い口を開ける
口の中を短い鼓動で回流する風は
粘膜を乾かすことをやめようとしない
〔幼少の頃、〕
「この子は他の子より唾液が多いみたいで」
母は決まっ ....
腹が泣く
腹が泣く
簡単すぎる
いのち
小さすぎる
いのち
未熟すぎた
わたし
生かせてもらえた
この命
生まれて
泣けた
....
空のくちびるのまわりを
たくさんの魚が泳いでいる
曇の奥の曇に染まり
行方は次々とひらいてゆく
涸れ井戸を囲む湖に
金属の破片が降りてきて
細い道のあつまる道に
....
交差点で白いす・うどんに呪いをかけている
たくさんのうどん屋の店主
ただひたすらに紙を排出する事務機器の前
笑いすぎて釣り合いがとれなくなった僕の右と左側は
吸い込まれていく 具の ....
手をひらき
髪の葉に触れる
手をひらき
道の葉に触れる
手をひらき
手をひらき
離れゆく光の手に触れる
巣にかかった糸くずを
蜘蛛がじっと見つめている
....
目をつぶって あくびをひとつ
その間
涙目で見る世界は
何度 生まれ変わったんだろう
初めと終わりがくっついた輪の中で
到達点を探した吐息 が
寒空の夕焼けを 彷 ....
安定という呼吸その永遠性について
と言った感情論を口先から歌い続ける僕はなかなか
世の中を楽しめているようで見えないものも見えて
いるという様相を呈している
真っ直ぐに育とうというエネルギ ....
水族館の水槽の
分厚いガラスのような
向こう側で十一月は
無色に捕らえられていた
人々は皆
無色のパントマイムで
街を往く
色という色は
呼び寄せられた十二月のマンホー ....
少なくある
真剣なまなざしに
ゆるやかに
目を向けたい
何か距離をとって
ぼくらのやさしさが
いかに否定的なものであるか
何か距離をとって
夜の光をみる
堤の上で風を ....
幸せな思いはまるで「たいやき」みたい
尻尾まであんこの詰まっている「たいやき」は幸せだ。
愛に満たされてるから。
だから私は君に送る。幸せのつまった「たいやき」を。
愛のいっぱい詰まった「たい ....
Computer chip looks like a city.
people moving like a machine.
no one look each other anymore.
....
名刺を裏返すと虫がいるように
人の裏側にも虫はいる*
母は書道の師範だが
いまはグレゴール・ザムザのように
変身している
虫は口が効けない
母はいも虫のように這ってくる ....
ここは螺旋の国なので
なにもかもが螺旋状にねじれています
太陽の光も風も雨もすべて
螺旋を描いているので
草花も木も螺旋の形に育ちます
国内で生産される物はどれも
螺旋の形をしています ....
深層
少年が詩を書いている
ピカデリーサーカスのストリップ小屋で
メモにボールペンで
少年はだれにも詩を読ませない
詩を書くことは脱ぐことだ といった詩人 ....
ドアが開くような音がすると
誰かが勢いよく飛び出していく
真っ直ぐに見せている道は
静かに湾曲していて
遠くの方で反射して、光が
不透明な景色を作っている
霧に浮かんでいる街で
探し ....
桝目をひとつひとつ埋めていく
あなたはまだ
自分が花びらであることに気づいていない
窓の外は想像を絶する想像に包まれ
僕はそれを夕焼けと呼ぶこともできる
かつて靴下をはかない男の子がいた ....
空にきらきらと輝く秘密
カランカランとかき集めて
まるい地球に閉じ込めた
そっと闇に隠れては覗き込む
太陽には言えない秘密
こまったことばかり
おこる
自分の身の丈がわからなくなってしまった
それで窓を空けて
手帳ももたずに
スキ間があき加減の
スケジュールやりくりする
東の空に火の手があがる ....
新しい雨合羽を買うという
同じ色で良いだろうという父に
母はピンクがいいと言った
野良着は 弟のお古でも いい母であった
農作業の汚れは しつこい
捨ててもいいような服を 着ては ....
雨を吸った土の匂いの中に
小さな足音は染み込んで消え
痩せた川の澱みで回転する
小枝に自身を重ねている
どこでもないその場所で
世界はゆっくりと
瞬きをしていた
見上 ....
空はふたつ
互いを追いかけ
雲はひとつ
高みへのぼる
たからもの
たからもの ふりくる
誰のなかにも
物のなかにもあるものが
聞こえくる
聞こえくる ....
紅く熟れた石榴の実を一粒
与えられ渡る虹の橋
暗い坂道這い降りて
辿り着くのは夜の国
たまご
霊の子
河を流れて
七色に光る砂礫の粒に
照らされて積むは
骨の破片よ
三百五十の ....
とても淋しい人と会って
とても淋しい話をした
とても淋しい店でした食事は
そこそこに美味しかった
それからとても淋しい歌を歌って
とても淋しいさよならをした
目の高さで手を振ると
そ ....
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