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夜の始まりは
もうそこまで来ている
この夕刻の佇まいに
街よ 街よ
幾千人の人が
整備された
君の歩道を歩む時
街路の樹木も色づき
寂しげに 落ち葉も 舞う
この風に
....
「 誕生 」という地点から
「 死 」へと結ばれる
一本の糸の上を
わたしは歩いている
頼りなく両腕をひろげ
ひとりきりのサーカス小屋の舞台上を
よろよろつなわたる道化とし ....
跳んでみろ
ちゃりんちゃりん
持ってるな
最近のかつあげは
小銭じゃないらしい
もしもの対策に
ポケットにグロッシェン
いっぱい用意していたのに
グロッシェン
公園のゴミ箱に ....
今年こそ
サンタさんの お手伝い
したいと思ってたんだけど
まだまだ力不足
家にいるよ
雪の結晶
光
三次元の万華鏡
夜空のスクリーンに映し出す装置があるんだよ
....
「比べてみよっか」と
あなたは笑って手を広げた
重なった五本指の向こう
あなたの笑顔がまぶしい
*
丁度指先三本分
ふたりの距離を
一気に埋めてしまいたいような
もう少 ....
自慢話うまいひとって羨ましいな
自分のこと話したくても
つい口ごもったりして
自信が無いだけなのかな
たとえばカラオケに行っても
わたしの番になると
他のひと達世間話なんかはじめた ....
大好きな人の肌に唇を押し当てるのが好きで、
その熱と、鼓動を。
生きていることに感謝する。
生きていたことに感謝する。
熱と鼓動を確かめる。
余計なことをすべて省いてしまえば、生きるとは ....
途切れた旋律
耳を塞ぐ
暗闇の中
声もなく君を呼ぶ
反響する残像
離された手は
鮮血を欲す
あてがわれた切っ先
鈍色に光る月
反射する斜面
饒舌な沈黙
額に飾 ....
月が銀青色に染まる時
ユニコーンが目を覚ます
冷たく輝く月の光に
象牙色の角が光り
キーンコーン
青白い星は夜を彩る
のっそり起き上がったユニコーンは
青い瞳を輝かせ
暗い森の中を ....
晴れやかな
子午線の午後
東経はユーラシアに
張り巡らされ
北緯は赤道を北上して
ナイロンの投網
透ける青の糸
この空に張り巡らされている
地の湿った所
窪地の巣穴に
....
目配せを!
広く 薄い
鈍く沈んだ
充血した目で
この曇天から
見つめ続けた
梵天の瞳
遠くまばたきをしている
曇りの灰降る 夕に
大きく息をして
大気に散る 闇 ....
黒板の粉が
午後の日差しの中で踊ってた
あたしもその消された文字の一粒で
キラキラと笑っていたんだ
ブラウスの隙間から
風がこぼれないように
37℃の痛みを飾って
眼鏡越しに見える世 ....
冷たいアクアリウムの床は濡れていないのに濡れた色をして
あたしたちの足音を消してゆく
透明な嘘の輪郭に包まれた
透明に眠る魚たちの呼吸は泡となり嘘の空へと昇る
あたしたちはぴ、ぴとその輪郭を辿 ....
煙草ふかしながら 流れる人の顔を見る
今夜は誰と飲もうかと ぼんやり考える
ブルースマニアの公務員は 最近付き合いが悪い
オンナができたと噂があったが どうやらホンマみたい
不景気の風 ....
空はいつからか
うそをつくことを忘れたようだ
また 冬に近づいた
寄せ集めた言葉で
とりあえず冬を迎える準備をした
....
溢れる私を
指先で小さな歌にして
空に、伝えようとしたら
途端に青く
それは多分
あの人形の瞳くらいに
青く、なってしまったから
私は未だ
その時溢れていた歌を
伝えられないままだ
....
めまいがするほどに単純な設問の数々
「はい」か「いいえ」のいずれかで答えよと記されていた
簡単な筆記試験だからと
人事部のひとはわたしを残し出て行った
小一時間もあれば出来るよね
何だかなあ ....
白い浄化を溢れさせて
黒澄みの空
甘く 冷たい
雨を滴らせて
カーテンの先
闇の深みから
雨音は ほてった一日を
冷却して眠らせる
人は明るい蛍光灯の下
深い息を溢れさせ ....
猫のながぐつ、なっちゃんは
アヒルのくちびるで
せんべいをコリリ
よくきたね
あくしゅ、あっしゅ
星のくつした、さくらんぼ
唄いながらお絵かき
なっちゃんは、ようせい
(たんぷ ....
ランチのあとについてきた
小さなニューヨークチーズケーキに
君は幸せそうな顔をしてた
コーヒーの苦みを
よりいっそう素晴らしく思うのは
君が喜んでいるからかな
鏡の中 はしゃいで ....
図書館の本は
公務員みたいに黙って
読まれる、という役目を
少し怠そうに待っている
田舎の図書館は
どうも品揃えが悪くて
本にも覇気が無い
手に取ってみても
抵抗はしないけれど ....
昨日のゴミ置き場で
幸せそうに日向ぼっこしていた
白い便器の蓋が
今日は無い
腰を痛めて十日間
介護の仕事を休んでいたら
先月の誕生会で
目尻の皺を下げていた
....
液化燃料が
静かに燃えて
街に灰が積もり
鋼鉄の箱を疾走させ
アスファルトは
平行に立ち上がる 蛇
どこまでも続き
ゴムのわだちが軋む
騒音の車道を折れると
路地が佇み
生 ....
who
おまえは誰だって問われても
わたしって誰なのかな
今のわたしがわたしなのか
ほんとうのわたしは他にいるのか
自分探しの旅路
だなんて聞き飽きた科白だけど
わたしってやつは
....
君と私が会うと
言葉を 眼差しを交わすと
りんどう色の深淵が しずかに生まれてゆく
言葉を 眼差しを交わすほどに
それはしずかに 深まってゆく
二人して覗き込む
そのなかば透きとおった ....
正しい 陽光が見える
肌に心地よく
暖かな圧をともなう
今日を確信させる
無色・透明の公正な陽射し
なんぴとも
この太陽を正しく享受して
あまねく
全人的に正しく暮らさねば
....
ピアノのあしは楽器を支えているのか
それとも音楽を支えているのか
ギターをかき鳴らす仕草は
そのあしに似て、共鳴する独り言
マイクを持って空を指したとき
ひとはただのマイクスタンドでしか ....
僕らが待ち合わせるのは
いつも駅前のCD屋で
僕が 君より早く着くと
たいして好きでもないんだけど
難しそうな JAZZを視聴して待つ
*
....
優しい国のふもとでは、
テレビのなかで、パソコンのなかで、
夥しいテントが並べられている。
積み木のような高層ビルの森の透き間を埋めて、
資本家の設計した本土総力戦を生きた、
こころに赤い傷 ....
いっそ 四季を消してしまおうか
心地よい日に 均してしまおうか
曇天の雲 垂れ込め
視界は暗く
雨の混じる 歩道に足音
涼しげな日
空も街も
僕の好きな
灰色に沈んでいる
....
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