すべてのおすすめ
捨て猫に飼われている
私は 捨て猫に飼われている
飼われているから『捨て人』ではない
飼われ人なので
そのしるしに首輪をつけている
鈴もついてるので歩くたびに
リンリンと鳴 ....
光が透けて眼覚める朝
風に名前を呼ばれる昼
花に孤独を癒される夜
月のしずくにうたれて
わたしは眠る
増水の ために
すっかり 荒れはてて しまった
堤の かよって ゆく なかを
猫じゃらしを 噛み ながら
草ひばりの 音が ほそぼそと つづく
すすき野原を ....
キミの母親の姉さんの娘と
手錠で繋がれて
カラ海に沈んだ
阪急電車に乗って
梅田へ向かうたびに
「哀愁って、どんな感じ?」 と
誰かに尋ねたくなる
錯覚を捕らえてごらん
....
比べたくなるものがある
幸せの度合いとか
それぞれの人生のありようとか
ひとと比べることで見いだせるものとは
柱に刻まれた幾筋かの古傷は
生を授かった証であり
輝ける未来への歓声で ....
これからも少しずつ 君は綺麗になっていくだろう
そして いつかを境に 年老いてくだろう
そんな君を追いかけることに 全てを捧げる
うれしかったこと
悲しかったこと
楽しかったこと
辛かったこと
今日の箱を
棚の奥にしまい込んでくれる
夜の暗闇
どこに置いたかなんて
明日になれば
きっと
....
ナイチンゲールの鳴く夜に
私はひとり詩を綴る
月明かりの射す窓辺で
せつなく悲しい恋の{ルビ詩=うた}を
ナイチンゲールの鳴く夜に
薔薇は色を赤く染め
残酷な結末を知らずに
今宵も甘 ....
君との想い出を抱いて 死んでいけることを誇りに思うよ
追いかけるのはいつかの夢
{ルビ揺蕩=たゆた}うのは幸福だったころの記憶
抱きしめるのはあのひとの気配
口づけるのは囁かれた愛のことば
燦燦たる陽のしたで赤く爛れるのは向日葵の花
瞬きの ....
悪魔さえも棄てた地を目指しては歩く 一つ目の兎
月の代わりに道化師の髑髏を抱え 赤茶けた朽木を踏みつける
こうも詭弁に塗れた世界では 死に追いつかれないだけでも
目の奥が燃える
サーカス ....
安美錦
アミニズム
あれはクビライ・ハンの来襲だったのか
心技体
やおろずの神々に祈りを捧げ
丸い土俵の上にあるものを
観音菩薩。弁天様。
ご利益いかばかりであったとしても
女人禁制
....
夏だというのに
窓も開けられず
あの密やかな 夜風も楽しめない
相変わらず 締め切った部屋
クーラーをきかせて
嘘のような 蛍光灯の下
仮想の君に読んでもらう為
キーボードを操作 ....
僕らは ずっと 現在進行形で
色褪せることなく 愛を重ね合っていけたら良いね
わたしのたいせつな彼氏
ちょっと太めで
なんだか見た目はイマイチだけど
ひたむきって感じの横顔が
とても好きなんだ
でもね
困っちゃうんだよね
おんなの子はこうあるべきだという信念
....
ぼくには声はないよ
さけんで さけんで
声はきこえなくなってしまったよ
ぼくは、うたえないよ
ただ、卑屈な笑みしかつくれないよ
正直、今日も死にたいと思っているよ
病気と言って ....
わたしがもし
きみを思い出して
泣いていたら
優しいきみは
困った顔して
頭でも
撫でてくれるかな
ねぇ三日月
どこに隠したの
裏側に
居るのかい
教えて
見つから ....
ニコニコと笑う君も 好きだけど
口とがらせて怒る君も 好きなんだよ
怒った顔も可愛いから
ついつい怒らせちゃう
僕を信じてる君も 好きだけど
僕を疑ってる君も 好きなんだよ
安 ....
カルムは眼を疑った
森の小川で水を汲む少女の姿は
自分たちの部族の女と変わらぬ人間に見えた
いや、より美しく見えた
乳房を隠すように上半身に布を巻いていたが
そこにまた魅力を感じた
( ....
青や緑の絵の具を
うすくのばして
あの透明をあらわそうとして
さっきから
なんども失敗している
{引用=
手をひいて
石を渡る
ぬらりとした光沢に滑らせた足を
からだごと、ぐいと引き ....
雨音が
逝く夏を囁くと
水に包まれた九月
通り過ぎた喧騒は
もう暫くやって来ないだろう
踏みしめた熱い砂や
翡翠いろに泡立つ波も
日ごと冷まされて
さみ ....
良くできたうめぼしは
故郷の懐かしい味がする
すっぱさのなかから
忘れかけていたものが顔をのぞかせて
こんなんだったよね
と問いかけてくれるような
ほどよく皺くちゃで
秋アカネの ....
そ だ あ 照 声
ば か な ら が
に ら た さ 聞
居 が れ こ
て 笑 る え
く え と る
だ ば と
さ あ
い 嬉 た 優
....
月の瞳に
海が映るのか
海の鏡に
月が潤むのか
旅立ちはいつだって
こんな夜の、ブルー
マストを背にした
ひとつひとつの心に
青はなにを
語りかけるのだろう
....
なにかが欠けていたのだろう
あなたに伝えること
いま
全裸を隠そうとしている
この月のように
僕があなたを
少しずつ愛していった
はずなのに
あなたは
不信で覆われていく ....
・
家を出ると
道端に
無数の舌が落ちていた
赤信号が
誰ひとり停められなくて
途方に暮れているような真夜中だった
舌たちは
うすべにいろの花のように
可愛らしく揺れなが ....
花屋の娘に恋をして 妻に花束を買って帰った
なにも言葉を 落とせそうにない口を ありがとうの唇で塞いだ
愛人が旅行へ行きたいと言い 出張を装って出かけた
「早く仕事が 終われば日帰り ....
机を叩く音が
緩やかに
固さを帯びていくための、
そのプロセスの一環として
私の右手の中には
シャープペンシルが
握られている
ランドセルの隅で
眠りについた幼さの欠 ....
夏の終わり
りんりんと鳴く虫の音の響く夜の淵
なまあたたかいぬめり気が
頬をなでる
セックスを終えてアパートを出た後の
このにおい
夏のにおい、のような
記憶のか ....
器の
壊し方を知っている
けれどもわたしは
外側にいない
器の
壊れ方をおぼえている
けれどもあなたは
内側にいない
朝と呼ばれるものや
愛と呼ばれるもの
....
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