すべてのおすすめ
マダムヤーンは綺麗な人で
いつも小さな
花柄のブラウスを着ていた
ほんのり香る花の香水をして
静かに笑う人だった
ある日マダムヤーンのもとに
小さな蝶々がやってきた
蝶々は羽根を休め ....
同級生はドラッグストアで働いていた
名前はみらいちゃん と云った
休みの日には呼び出されて
公園を匍匐前進させられたり
炎天下の坂道を延々往復させられたり
首を革紐で縛られたり
草を食 ....
轟々とひらめく光に立ち
剥がれ落ちる痛みを聴く
壁の上で
ひとつはひとつに終わりなくつながる
こころみではなく
そのままを受け入れ
羽は生まれつづけている
火は ....
みんな大好き!
と叫んだアイドルがいた
その場の誰もが
「みんな」には自分も含まれている
と信じようとして
アイドルの名前を大声で叫んでみたりする
「みんな」
そして「わたしたち ....
たとえばそれは力
真夏の様な
太陽の力
たとえばそれは優しさ
潮騒の様な
海の力
たとえばそれは喜び
金の稲穂の様な
大地の力
裸足で地面に立ち
両手に海をすくい
肌 ....
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私は自分が泣くとは思わなかった
同僚と酒を飲み
語り合い
別れた時
涙が出た
酒を飲んで居ても友に言えなかった
卑しい自分 ....
女が信号待ちをしていた
幼い息子と立っていた
いっしゅんのことだった
粗雑なかなしみを
気恥ずかしく思い出す
この親子ふたりに
俺はなにをしたのだろう
深い 森の青 遠い山々
押し寄せる 驟雨の匂い
夏が海を抱いて
また再び
貴方と恋に落ちるのか
自己憐憫
自己嫌悪
隣り合わせの理想国・・・燃えて・・・
語りつくせぬ思いを
....
080709
新装開店のお店の前
チラシを配る男の子
チラシを受け取る男たち
木登りが上手だねと
褒められたことがありますか
危ないから木に登 ....
三日後にわたしは
三十三年間着ていたわたしを脱いで
風の衣を着るだろう
その時世界の何処かに響く
あの産声が
聞こえて来る
その時空から降る
透けた掌と差しのべるこ ....
雨が笑ったら
それは春の始まり
雨が色付いたら
それは夏の始まり
雨が美味しくなったら
それは秋の始まり
雨が意志を持ち始めたら
それは冬の始まり
....
鳥の声 泡の音
鳥の声 泡の音
水のなかで
鳴いているのか
目をつむり
そこに居るものに会う
半分にし 半分を使い
残り半分が雨になる
わからないものを ....
「口さけ女」
{引用=
耳元まで、口が裂けて広がっている女性噂妖怪。
幅の広いマスクで口を隠しており、道行く男性に、「私、綺麗?」 と尋ねる。
答えた男性には、マスクをはずし、口を見せ付け ....
スナックで知り合えば
たわいもない話をして
エレベーターで送られて
手でも振ればさよならできる
夜の屋上できみと話せば
ケンカでもしなければ
おたがい立ち去れないよ ....
向日葵畑で飛び交う笑顔には
スイカの玉が よく似合う
夏を詠む右手に 夢から抜け出た指輪
七夕に見つめ合う男女に 嫉妬して 花枯らしても意味ないし
数多のホタルを 天の川に放つ
真っ ....
{画像=080523225735.jpg}
大丈夫?
そう言って母はいつも
額に手をやった
そう言えば額の熱は
手で繋がっている
39度の熱を出した
娘の額は汗ばんで
手を ....
朝が月を殺す頃
その細い首をきゅっと絞めあげて
太陽がごうんごうんと鳴りはじめ
白い光は
精液みたいにとろりと落ちて
ぼくは生まれてこなければよかった、
と思うのです
....
実験的に無駄を省いたら
風も 木も 波も 空も 木霊も
みんな みんな 同じリズムで
繰り返している
少しずつズレていくのは
それが少しだけ違う音になって
だんだん 少しずつ変っていく ....
燃えるごみを
ごみ捨て場へ持って行こうと
外へ出たら雨であった
透明のビニール傘を差して
そのままぼんやり空を見上げる
水滴の降ってくるさまが見えるのが
大変おもしろい
周囲でく ....
12階のベランダから地上を見る
得体の知れないものが
あたしたちの体の中にある
欲望
空気の中にみえない
何かが飛び交っている
愛
悪意
諦め
執着
春を
夏を
秋を
冬を
....
080703
カワガラス
オレンジ色を
四角に染めて
生きる渇きに
備えてる
(保有期間が過ぎたので
(補修用性能部品を
(絶対に
....
まっすぐ投げてくる君の言葉では
あまりにも強すぎて受け取れないんだ
気持ちを言葉にすればするほど
一つずつ嘘つきに消えていくから
なぜ、なに、どうして
言葉が花に出来るなら
君の口 ....
身体の中で潮騒を飼っている
辞書はそれを焦燥や憂鬱や歓喜などというが
潮騒はそんなにもシュハリ、と
姿を変えるものだろうか。
生まれて初めての始発に乗った。
どうしてだろうかとは考え ....
月は満ち夜が来て
花の傍に居たはずの何かは
綺麗に溶けて夜に闇をたしました
いくら伸ばしても届かない何かに
綺麗に溶けてしまった闇に
それでも腕を揺らしながら考えます
闇の中に自分 ....
掴む
あなたをしることは
太陽をつかむよう
刻んだ空の破片を
脇に抱えて
あなたを見つめると
丘の上の鐘の音が七色に飛び散っている
あなたはいつもそこで
わたしはいつもここ ....
心地よい大気に
二酸化炭素の灰は
静かに降り積もり
街路樹がしめやかに光合成を始めて
朝の街は足早に行き交う ひと ひと
流れる河の勢いが増す
何も語らずに
そこに建つ ビル ....
チリチリ、
チリチリ、
私ヲ通ッテイッタモノ、
出掛ケニ魔除ケノ鈴ヲツケ、
帰レバオ清メノ塩ヲ撒キ、
ソンナ日々ガしばらくハ
続イテ
チリチリ、
チリチリ、
遠ザカル ....
摂氏36.5℃で凍てつく切なさは、雪降る夜の電熱灯の明かりに似ている
欲した物は手にした瞬間色褪せていって、わたしをその都度落胆させた
言葉でさえくちびるを離れたときからこの肉体を棺桶にして死んで ....
輪郭のゆがんだ
{ルビ朧=おぼろ}月の見守る
灰色の夜の家々
屋根に置かれた
{ルビ梯子=はしご}の頂に危うく腰かけ
{ルビ襤褸=ぼろ}着を纏う煙突掃除の少年
ほっぺた ....
(1)
あなたにはじめて出逢ったのは
この廃屋が未だ駅舎として機能していた頃のこと
夏草の浸食に怯える赤錆びた鉄路と
剥がれかけた青森ねぶた祭りのポスターが一枚
この駅を訪れるひとと ....
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