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いたずらな風にでも煽られたのか
薄桃色の世界が一瞬目の前にひろがった
※
男のひとは女性の下着に恋するものらしい
くしゃっとした
小さな布切れなのにね
でもそれは男の ....
<種類別> アイスクリーム(自称)
<体脂肪> 22.0 %以上
<内臓脂肪> そこそこ
<原材料名>
怠惰、臆病、猫背、妄想、未練
安定剤(貧乏ゆすり)、乳化剤(溜息)
....
ピリピリとした緊張感
ジリジリとした外気圧
タラタラと落ちる
粘度の高い汗
ズブズブ沈み込む
液状化したアスファルト
ユラユラと揺らめく
水蒸気の先の遠景は
妖怪の吐く息 蜃気楼
....
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陽炎のゆれる炎の一日
草は夏の息をかみしめ
熱く重たい目蓋を降ろす
紅い夕日よ
夏
それは陽炎のゆれる炎の一日の終わりの
時の流れの流 ....
息を押し殺して
手のひらでそっと囲んだら
金色の鱗粉を残して
忽然と消えた
紫色の残像は
一瞬だけ切なく薫った後
押し寄せる後悔の波に
さらわれていった
視界の端をくすぐる ....
出棺を待つ君は安らかな表情で
首筋にあるべき索状痕は目立たぬよう化粧を施され
凄惨な最期を遂げたようには見えなかった
呼びかければ目を覚ますのではとか
冗談が過ぎたかな
頭を掻きながら棺 ....
たばこ好きの女が
たばこ嫌いの人達に
よく言われる台詞
「生まれてくる子供に悪いよ」
そうか
そうだったのか
わたしの身体は未来の誰かの物でもあって
今こうしてだらだら生きている ....
俺達の言葉は
射程を持たぬ(山本太郎「行方不明の言葉」から)
詩は
言葉の意味が
無限定に使われて過ぎている。
しかし、
僕は詩を書く。仕事の合間
苦しみ楽しみある時は
....
昔々のその昔
葛城山の頂(いただき)に
崩落しそうな崖を臨み
奇形な巨岩(おおいわ)に注連縄(しめなわ)が
その巨岩(おおいわ)のその上に
みずらに勾玉(まがたま)
直刀を佩(は)く 弥生 ....
{画像=110709105543.jpg}
金魚鉢のそれのように、
一つの世界がそこで完結するとすると、
地球が再現され、
宇宙が再現され、
ついに発生する突然変異に、
ビオトープ ....
高層ビル群の彼方に
鮮やかな青と緑を
見ようとしてしまう旅
虫食いだらけの想い出を
あまりにも流暢に
語ろうとしてしまう旅
すれ違いざまに香った懐かしさに
誰かの後姿を
追 ....
私という人見知りは
背中にうっすらとした黄金の体毛と
頭部に後光が輝くよう
分け目の間に鏡を置いた
ギミックがすこぶる付きの生物なので
東京近郊の動物園から
引く手数多なのだけれども
....
遠い昔の縄文の
汚物の塚を保存する
歴史保存の尊さか
ヒマラヤ杉に隠された
世界規模の気候変動
遮光土器は本当に
差し込む闇が横一線
土塊(つちくれ)の中から捻り(ひねり)出 ....
港町の浜辺に面した食堂
浜辺の見える出窓に置かれた
古ボケた大きなラジオから
流れる昔のエレジィは
淋しく悲しい旋律で
波止場につながる道沿いを
黒いショールに包まれた
港のおカマの頭上 ....
そいつは僕の眼をじっと見つめ
/媚を売るでも無く
/何か一言言って僕の歩く先を
先回りしてしっぽを立ててステップを踏む
/石畳の路地は濡れて光っており
/黄色く彩色された建物の壁面に囲まれ、 ....
{画像=080802125241.jpg}
水たまりに空が映って
雲が動いていた
雨は上がったようだ
太陽は力を蓄えようとして
朝はこれからのエネルギーを予感している
陽炎がすでに
....
宇宙に開かれた水の滴の
泥の堆積
火の木っ端に
夢が沈む
雲の破片の沈殿物 また水の滴
屋敷の塀の高さに隠されていた
思い出のくす玉が
ロートルな部屋に輝く
ミラーボールの乱反射 ....
力を信じる人
仲間を信じる人
明日を信じる人
僕達は
大きな葉っぱの上に
偶然落ちてきた
震える水玉
金を信じる人
言葉を信じる人
目に見えないものを信じる人
風が ....
起きると二時
ああ、夜中に目が覚めてしもうた
と、思いきや、昼の二時である
よく寝たな
と、テレビをつけるとサスペンスドラマの再放送
うむ。
面白いではないか
と、それから寝転がってテレ ....
1
朝九時にニコライ堂を右手に見
下りる坂の街路樹は
銀杏のくせに輝く緑
2
靖国通が
花満開だなんて
だれが信じるものだろうか
でも事実なのだから
3
湿気の多いビル ....
歩いている。
あてもなく歩いている。
すっからかんの着のみ着のままで
歩いている。
足下には星屑が輝き
頭上には異様に大きな月が
幾つものクレーターを見せて
垂れ下がっている。
....
昨日の今頃は
熱帯魚の水槽の底で
揺れていた
赤色と紫色と肌色の
尾びれをひしゃげて
これ見よがしに泳ぎ去る魚達
置き場所に困った
僕の視線は水泡となって
溶けかけた空が浮 ....
ア
ワ
ブ
ク
ぷわりぽわり
ワキンの溜め息
見た目はすくいたがりの彼氏
見た目はすくわれぶりっこの彼女
ついでにすくわれた私
本 ....
標高二六〇〇のティエンブー
幸せの街、幸せの国
グロスナショナルハッピネス
GNHが世界一
何が幸せの基準なのか
GDPは156番目
民主主義には程遠い
民族衣装の着用義務
何をす ....
港町を
女の子と歩いていた
正直、
まったく楽しくない
第一、話がまったく噛み合わない
彼女は体育大学出の
ばりばりの体育会系で
本などほとんど読んだことがないという
その点、俺ときた ....
※婿島のアホウドリ 小笠原
羽毛採取の乱獲100年
個体数2000ほど
鳥島から雛を避難
海面に浮き上がった獲物を
風を味方にして
長駆滑空して捕らえる
海の女王
羽ばた ....
山奥の名所旧跡の傍ら
誇りを失ったゲージの中の鳶
胡乱な眼で見物人を眺める
その眷属と同じ記憶を追いながら
丘を越えて吹いてくるそよ風
丘を覆い尽くした向日葵は
風にそよいで小 ....
赤く開いた傷口に
橙の光をなすりつけ合って
黄ばんだ言葉を交わしながらも
緑葉であり続けようとした僕達は
....
川の流れは清冽
岩に激突した飛沫の中
一服の涼を見るが
飛翔する山鳥
容姿は狡猾で
空腹を満たそうと
水中の魚群を窺う
山猫もまた、
山鳥を捕獲しようと
首擡(もた)げ見上げ ....
あの日あなたは
この世からこぼれてしまって
涙が止まらないのはなぜだろう
瞳があって
涙腺があって
涙がこぼれて
そのことと悲しみにどんな関係があるんだろう
愛
あの夜
寒い ....
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