老人の悪意
……とある蛙

キャンバスにぶちまけられた
黒い染みは
ロールシャッハテストの染みではなく
怒りの沸点を超えた悪意の染み出たものです

俯瞰して眺める自分の視点は
この惑星の遙か三萬キロ上空にある
季節外れの黄色いハイビスカスの雌蕊の上にあり
自分のリアルな肉体の頭上には薄い春の雲が視界を遮っています

心なしか揺れる頭蓋骨の中身は
髄膜との隙間に悪意が充満しています
脊椎も同様で
髄膜と脊椎との間に悪意が充満しています

そして
その悪意のため網膜の裏側に
あの黒い染みが
悪意の染み出た
ロールシャッハテストの染みが裏返しに映じています

呼気が臭い
老人の意気地無さよ
はるか遠方の夕空に鳴き叫ぶ
恐竜の子孫の黒い飛翔体は
悪意そのまま体現します
いたずら者のヘッケルジャッケル

そのように生きることができれば
死ぬ間際 
おんの字とウインクができる
と今から準備をしている始末です
かっかっ哄笑


自由詩 老人の悪意 Copyright ……とある蛙 2015-10-07 10:52:17
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