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誰もいない
誰もいない
病室 間接照明 真夜中の廊下 スリッポンの平たい音
刻まれるあなたの心音
怖くない
怖くない
携帯には父親からの祈りが届いて
振り幅が広くなると 私は息を吐いて
....
冬の風が
冷たく街を冷やしていく
人けのない夜の風俗街
ぽん引きたちは
厚いコートの襟を立て
北風から身を守りながら
ポケットに突っ込んだ手で
何をつかもうとしているのだろう ....
天使の絵が描かれたキャラメルの箱に おれは
さそりを仕込んで男の子に渡す
男の子はキャラメルの箱の天使にそっくりで
おじさん、ありがとうとおれに礼を言った おれは
立てた人差し指を左右に三度振 ....
東京ドームのまんなかで腰をふったよ、わたし
観客5万4千人 全世界同時ナマ中継
相手は神さまだったから わたしもすごく真剣だった
わたしは処女でもなんでもなかったから
前に寝た男たちは全員、シ ....
ステンドガラスを通り抜けた
やわらかいひかりは
賛美歌によって
七色に彩られた
今、若い男女が
永遠の契りを
結ぼうとしている
その奥では
マリアの像が
首をかしげて
不安げに ....
大きな風が
ブナの木を揺らすとき
人は
何事が起きたのだと
ハッとする
でも
小さな風には
見向きもしない
なぜなら
人は
自分が
大きな風を
吹かすことばかり
考えてい ....
きらきら
点滅する
イルミネーション
黒く浮かびあがる
恋人たちの影
街はクリスマス
きらきら
点滅する
彼らの時間のなかで
もう
どのくらい
経 ....
ぼくの誕生は白だった
白は何事にも弱く
ちょっとした埃でも
すぐに汚れてしまい
“まぶしい純白 ”と言われたのは
ほんの一瞬だった
ぼくは
成長とともに
すぐに
泥水をかけられた ....
新雪が積もっている
よく見ると
小さな穴が
点々と続いている
それは
子供が通った足跡
ぼくは外へ出て
子供の足跡を
上から踏んでみた
ざく
冷たい空間を
ざく
....
僕は
子供の頃
父と母を見て
はやく
はやく
大人になりたかった
なのに
大人になると
一年
一年
と
何年、歳を重ねても ....
今日の仕事を終え
一歩会社の外へ出ると
じっと我慢していたものが
じわり じわり
からだから溶け始めた
都会の空は赤く染まり
ビルの頭のうしろへ
夕日が落ちていく
時のふりこは
....
追いかけても
追いかけても
つかまえられなくて
すぐそこに
あるように見えたので
ちょっと
手を伸ばしてみたけど
ちっとも届かなくて
とても
遠くにあるんだ
ということに
....
友よ、
すでに日の光を受けている君の震える足で
「初めの一歩」を踏み出そう
まだ描かれてはいない、空白の明日に向けて
深夜の闇の部屋の中で
耳を澄ますと聞こえて来る
胸 ....
100円の森であなたを捜す
あなたは私の5cm上で
森と遊ぶ
母さん
私は5歳です
あなたを見つけられなくて
今にも泣き出しそうなんです
今は大人の身体に居るから
平気なふりで立っ ....
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