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10年と少し前まで走っていた真っ赤な電車
50年以上前にデザインされたとは思えない
斬新な色使いの電車は今でも地球の裏側で
タンゴのリズムを纏って走り続けている
メトロと言いながらそこここ ....
静かな木漏れ日の向こうに
やさしい香りに包まれた人がたたずむ
朽ちた古城を背景にその人はいた
それは昔々の神話のような
何と感傷的な横顔
アポロンかエンディミオンを思わせる
木漏れ日は宝石 ....
{画像=081001232707.jpg}
想う
無責任な放埒さを
道は幾つもあった
途中には
見えて来たものが色々あった
それはそれで良い
片意地を張り両手を拡げた ....
胸の想いは、
薔薇色の珊瑚だよ
だから貧乏だなんて
口が裂けても
絶対に、
言ってはいけないよ
こんなふうに、
今は。
志のある人なら誰でも
・・・・とても
苦しい、時代だ ....
「逃げる」を見つめてました
ある時は空腹から逃げました
耐えきれずに食べてしまったのです
あんパンは美味しかった
すぐに食べられることの幸せで
逃げていたことを気づかないふりをしまし ....
水のそばに
水の羽があり
四つの水を映している
ひとつだけ蒼い波が来る
ふいにひろがり すぐに消え
ふたたびふたたびをくりかえす
窓に打ち寄せ
つもる影
屋根のつら ....
うろこ雲の尻尾につかまって
東の空へ流れ去った君は
雨雲に紛れ込んで
細やかな涙を降らせた
柔らかな時の掌に撫でられて
色鮮やかに頬を染めた君は
頼りない指先に手折られて
夕餉の ....
実態がない
1ミリもない
あの子の必要としているのは俺じゃあ無くて
俺が必要としているのはなぜあの子なのか
そしてこのタイミングなのか
三本足の野良犬のびっこの足跡をたどる ....
憂鬱な金融機関に預金してあげる
木曜の昼休みに窓口でスマイル
ATMの顔色うかがってもしゃーない
ランチ後の視線で女子行員を読む
眠いのは きっと僕だけじゃない
寝溜めた時間に利子が ....
遠い、
遠い稲光。
何度も、
何度も光。
とりあえずは、
世界の点滅。
点滅、点滅、
点滅。
電池切れ。
でも待っていたい ....
今迄に
幸せのボールを取り損ね
ベンチ裏で独り、涙を手で拭い
辛酸を{ルビ嘗=な}め尽くしてきた
君よ
思い切り
空振り三振すればいい
被ったヘルメットが
吹っ飛ぶ ....
・
一か月が
余りに速く過ぎ去るような気がして
どうしようもない
服を着替える間もなく
あっという間に秋である
外ではまるで軍隊のように
流行なのか
同じ型の服を身につけた女子が
勇 ....
ビルは氷柱(つらら)のようであって
交差点に、滴る微笑の鋭角が
夜はひときわ映える
空は無限の海にはあらず
月のマンホールに、僕らは吐き捨てる
ばらけた感情語
それを生 ....
080927
真夜中のコンピューターは
パソコンと呼ばれることを嫌う
計算機と呼ばれた頃が
懐かしくて
居心地の良い
専用のルームに
専任の管 ....
(一)
明治通りと靖国通りの交差する
新宿五丁目交差点から
ABCマートの軒先に並ぶスニーカーでも品定め
数メートル歩いたところに
スターバックス新宿三丁目店はあって
いつものように通 ....
空中庭園の夜で
零れそうな月が
溶けて朧に霞む
夜は秋みたいに
更けてゆくよね
いつの間にやら
緑が赤に変わり
枝から剥がれて
足元に転がって
粉々に消えても
何も変わらず ....
夏の雨が帰ってきた日
電車の行き交う河川敷で
嵐が運んできた枝で
薪には困らないなあ…って
ぼんやり過ぎ行く時間に蓋をして
現状のあまりのかなしさに
涙の雨も降らなかった日
写真にはやぎ ....
正直今日の日はえぐれるような1日だった
いろんな意味で
あたしはもっと強くなっていかねばならない
昨日よりももっとぐるぐるめまいがした
あたしはもっと強くならなければならない
....
ラピスラズリは、青い。
惑星に似た丸い石は、原石のまま磨かれずにいて、
濡れてもいないのにいつも冷たい。
時々、水脈を聞く。
明かりを知らない水の奏でる音楽を。
明かりの届かない ....
書いて逆らうことを止め
暫く闇に流されてみる
空白は私を包んで
静かに冷える
蓄光時計は
カウントする
ゼロ−ワン、
光や熱の胎内で
確かに私たちは始まったが
彼 ....
太陽だけを愛していたい
眩い その輝きを
自らの鼓動に閉じ込めて
紫陽花のように
陽射しを抱きしめて
明日を信じていられるように
月の輝きに頬ずりしたいのは
さびしくなったから
す ....
どうやら僕は
今迄の思い出を
大事にしすぎたようだ
部屋の中は
まだ終えてない宿題みたいな
山積みの本
ポケットの中は
札は無くともささやかな記念日の ....
世界中にできた闇の部分がすごいスピードでずれて
くちぶえが遠ざかり
輪郭線が地平線とまじわりながらかたちをかえて
あたしたちはまだうっすらと汗をかいて
雲の裏側にのびていく光の筋が不意 ....
もうベビーじゃないこびとをのせて
ベビーカーを押している
愛しい生活にまみれた周辺を
いっぱいに抱えながら
秋は日に日に落ちてきて
車輪がとらえる枯れ葉の音が
肌の乾きを知らせてくれる ....
(一)
「ぴーちゃん、ぴーちゃん
トイレってどこなのぉ」
河原の石をひっくり返しては
何やら探していた
まーちゃんが突然立ち上がったと思ったら
おいらの元へ駆け寄ってきた
こ ....
水は柔らかく伸びて
青いさかなとなり
耳にふれてとけてゆく
鳥は低く弾けて
白いはねとなり
肌にぬれてしみこむ
きみの産卵する文字たちは
見たこともないのに
なつかしい、ゆらぎ ....
海のきぬ擦れが耳を攫う
だれかに名前を呼ばれた気がしたから
水の色が碧から黒に変わるころに
海豚のやさしい瞳を胸に抱えて
こっそりと{ルビ宙=そら}に顔を出してみた
鳥の嘴が白の甲羅を遠 ....
左手の
見えなくなり始めた傷
手首の辺り
親指の辺り
よく探さないと見つけられないほどの傷
もちろん痛みはない
この手を噛んだ犬は
今頃どうしているだろうか
人間に飼わ ....
灰皿の中には
口紅のついた吸殻が三本と
長いままへし折られた
断末魔が一本転がっている
口をつけなかった
ウィスキーグラスの氷は溶けて
意気地がない表面張力が
テーブルを濡らして ....
ゆっくりと赤ん坊に返る
その人をわたしは知っている
夫の祖父だ
わたしを、「大きな女だ」と言った、祖父だ
いつも戦争の話をする、祖父だ
布団の上でお絵かきをしていた、祖父だ
初めて ....
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