日曜の朝
一人の娘が固まっている
俺の妻だ。
枕元に携帯電話が二つある
電池パックを入れ替え
その機種でしか出来ないゲームをするらしい
いまはモンスターハンターというのをしている。
雨が ....
かつてここには。
かわなめしがすんでいたという。
やぼようのときだけあしばやに。
よそものたちがとおりすがり。
うすぎたないしゅうきょうとほこりにまみれたまち。
ごうごうとうなりをたて。 ....
曇天の沖から軟らかく
水の予感を含んだ風
割れそうに痛む頬を包み込む
声は白々しく掠れて
雲が低く海を押すように
閉じ込められた玉砂利が
剥き出しの道に拡がる
窒息を誘う膜
....
ここには居場所がないけれど、
実はどこへ行っても居場所はなくて、
探して見つけられるようなものならいいけれど、
そんなんじゃなくって、
田舎の土の匂いがしない砂利道で、
掘っても掘っても ....
つよくドアを開けた
勢い込んで歩き出した私を
なまぬるい夜が迎えた
予告なんて
してくれやしない
自然も人も
昨日までの冬が
過ぎ去っていたのに
日中は太陽がいるから
冬も偽 ....
ほら
今日もまた
隣のきれいなおねえさんが
税金を納めたよ
もう
モバイトしてワークしている
場合じゃないんじゃない
ほら
いつまでも
決心がつかないでいるから
きれいなおねえ ....
と君は
言いかけて
黙ってしまった
桜の花びらが散って
一枚が肩に落ちたんだね
手に取って真近に見たら
とても薄くて白くて ....
ここさ、庭広いでしょ。
全部芝生だしさ、小川まであるしね。
水が綺麗かどうか知らないけどね。
夏はお前、入るんだろうね。
目の前の大学にはもっと広い芝生の庭があるよ。
お前、 ....
あんみつの
甘さにまけない
君恋し
みつに絡まる
いくばくの豆
なみなみと
注いだ水が
溢れ逝く
別れた白湯が
私の重さ
気が付いたってもう遅いよ
無知なあなたが夢中で見つけてきたことはもう他の誰かがやってたよ
一番最初に気づいてないと意味がないんだよ
あなたはかわいい白痴の子供
あなたはかわ ....
たくさんの花を枯らした
サボテンやアロエも枯らしたし
ケフィアやカスピ海ヨーグルトも駄目にした
それでも命は大切にしなければならないからと
小さな虫はその形や色が嫌いでも
なるべく殺さず ....
昔むかし
たんたんたぬきというテレビドラマがあって
主演は森光子で
ドラマのラストには
料亭たぬきに集う大人たちが
毎回かならず
たんたんたぬき を大合唱した
たんたんたぬきのキ ....
巨大な隕石が地球に降ってきて
リヒテンシュタインの石油工場が大爆発した
轟炎が吹き荒れ 火柱が無数に乱立する
人々は逃げ惑い 地上からは消防車が空からはヘリで消火活動を行う
ニカラグ ....
ある日の夜 家の前で僕は丸々と太った黒猫と出会った
黒猫と僕は目が合ってふっと立ち止まった
僕はそのまま無視をして立ち去ろうと思った
けど黒猫は僕から視線を外さず 鋭い眼光で僕を睨んでき ....
いい天気だね
一人の紳士が尋ねます
低気圧が男の足にすがりつく愛人のように
いつまでも停滞している空を見ながら
紳士が言います
私にも
なんだい?
私に ....
ちくり
と痛む
その光景を
僕の二つの眼球は
とらえて
脳へと
送信した後
心という
厄介なものにまで
伝えてしまった
ものだから
また
ちくり
と痛んだ
そのとき
閉じ ....
晴天の空間に
眩暈を誘いながら在る 誰
敷石の上に薄い影投げる日が
暮れる 薄刃の風が
私やお前を切るのだろう
誰 曝して満ちた
静か 冷えてゆく
夜か 息か
2007/03/23
起死回生の4回転
唸りを立てて
水音を立てて
スクリューが猛烈に空回りして
釣り人達の
悔しそうな顔を
あざ笑う
今年生まれの
オボコと ....
きょうはもう
まんぷく中枢があれだから
おなかはいっぱいだけれど
あとちふれ
あとちふれだけほしい
できればつもりちさとも。
あれから
いくつ春を
数えたかしら
わたしの中に眠るあなたは
春ごとに目覚める
黒と白の斑尾模様の猫が
出迎えてくれた細い路地
人の気配が消え
静まり返った石畳
入り組んだ奥 ....
俺が詩を書いているときに
子どもが何してるの?って聞いてきたら
俺は何してると言おうか
メモしているというのが一番ちかい気がする
毎日一時間はメモしている-
....
畠に居る吾れに遠くより手を振りて
かたみに呼びて吾子等帰りくる
(塩田のお宮さんあたりから)
稲木立ち視線さえぎられし彼方より
ハミングしつ吾娘帰りくる
幾年か経てば少女 ....
その人の瞳の内に
永久の春が在り
遥かな昔から
桜の木が立っている
冬の冷気を越え
降りそそぐ春の日射し
今にも開こうとする無数の蕾に
こころは{ルビ軋=きし}む
....
ねぼけ まなこの アトリエ
いっぱいに 陽光は 満ちて
画布には 旋律から 対話への
やがて ひとつに 見える 道が 伸びる
( それは きつねの なの? うさぎの ....
気になる人がいる。
彼に恋をしているわけではない、私の好きな人は常に1人だけだ。彼は私が本気で恋に堕ちたところで、ちゃんと振ってくれもしないような人だ。とんでもなく優しく、そして勝手な人だ。 ....
表と裏は
本当は裏と表かも知れないって話を
当たり前の事だけど
生き物は羽だとか羽根だとか
落としたりはするけどいきなり生えたりはしないって話を
引力に掴まえられて
土に還 ....
二日遅れのホワイトデーの
白いリボンを髪にのせて
ふわりと回ってみせる君は
大きくなったら
メイドになりたい
という
人様に奉仕したいとは
見あげた心がけだ
と
解釈は準備してお ....
膝小僧よ
なんだか久しぶりだね
そんなにきれいな顔をして
おまえもすっかり
年をとったか
崖の上や
崖の下や
いたるところ
赤い実をさがして
赤い血を流した
傷をなぞる ....
地球上の酸素を
30秒だけ
消してみたい
きっと、みんな
エアコンを使わなくなる
地球上の愛を
1日だけ
消してみたい
きっと、みんな
空っぽになる
....
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