君の固く閉ざした唇が
すこし緩んだから
僕の眉間も緩んだ
緩んだ口元から
笑みがこぼれたから
僕の目尻も下がった
こぼれた笑みが
そこら中に溢れ始め
眩しさに笑った
....
春の木々に手を当て
温かい日差しに眼を細め、
太陽の白さを受けた肌を
青の色鉛筆で写し取る
フロッタージュ。
色あせた紙と鉛の衝突音も
柔かい春風が傍を通る音も
失われた世界に、 ....
あなたへ届かぬ手紙の行方をたずね
風の舞う街へと旅立つ
(緑色のインクで書いた
(お別れの手紙なのに
幾艘もの小舟を乗り継ぐのは
わたくしの至らなさと諦めてみても
何故にあなた ....
私、空を飛ぶ
海の青さ、空の青さ
イコールで繋いで
逆さまになっても
怖くないでしょう
陽の光、あの笑顔
イコールで繋いで
おちても
痛くないでしょう
....
在る
始まって以来続いてきて
この枝の伸びやかな道道に
茂る葉の呼吸は瑞瑞しい
それも
小雪のちらつく昨夜の雲上の月も
陽炎のゆらめく送り火も
私を育ててくれる花娘
季節の ....
ゆくえをさえぎる雲は
散っていきました
春です
昨日までの私はふるえていました
波に洗われる消波ブロックのように
、ふるえていました
風に吹かれる朽ちて傾いた電柱のように
、 ....
この、聞こえない左耳で
この耳で聴いてみたい音
それは、世界に
あふれる音ではないのです
時間を追い抜いていく時計の刻む
バンアレン帯に太陽風が吹き付ける
海溝の暗闇で深海魚のため息
....
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=69564&from=listdoc.php%3Fstart%3D0%26cat%3D5
>「自分にとって詩とは何か」 ....
空は 晴れて
緑が 萌えて
鳥は 唄う
どうしようもなく
春で
朝で
まぶしくて
どうしようもなく
私は
女で
せつなくて
風が「る」のような ....
鍵のかかった時計の針から
音だけしている
止める事で
生かされるものに
従った
まざらない光だと
闇に ゆだねた
けれど 痛みは
あなたの
手におえないだけの
窓まで ....
君は頭でっかちな赤と白のブチ。ぶくぶくと
揺れるコカナダモに身を委ね、退屈そうな気
配で天を見上げる目玉に映るのはどこまでも
青い空に気まぐれな白い雲のブチ。
自慢の ....
見知らぬ小鳥が
甲高い声で
空にむかって告げたので
今日は見知らぬ春
葡萄の一粒が、私の中の
行ったこともない場所で
裂けて、流れ出す
見知らぬ季節
もう二度と会わない風が
....
天上から
光の粒がおりて
みち満ちてゆく
ときは、春
天から与えられたのは
生きる力と活かす知恵
朝露を唇に
目に触れない透明な息
両の手で
肌に感じる柔らかな息
目ざ ....
春風にそよぐ{ルビ枝垂桜=しだれざくら}
青空に響く{ルビ鶯=うぐいす}の唄
{ルビ我等=われら}は{ルビ童=わらべ}
肩を並べてさくらを唄う
* 第一詩集「 ....
私には孤独がない
あなたが
孤独と呼ぶものは
ただ
声を求めてる
くちびる 重ねても
あなたの孤独は変わらない
私には孤独がない
私はもう
ここにはいない
あなたが ....
たかがでは済まされない地平線に
ひとり佇み
夢は夢のままで
あるべきことを求められ
目覚めのときは何時も
偶然を装っては
ありのままの姿を
目の前に突きつけてくる
くる ....
光と暗黒の中間点には
雨の差し込む隙間もない
密閉された空間があって
そこから
たった一本の セイタカアワダチソウが
吹いてもいない風に
反応、それを折り取ろうとしている
いっぽんの 手 ....
春を待ちきれず
同棲を始めたと喜んでいた貴女は
近頃、思い悩んで
すっかり痩せてしまっていたという
(僕が、よう怒れへんかったからかなぁ
お父さん、つぶやいて
肩を震わせる
一週間前 ....
きっと白に近くあり
霧雨を含んだ夜のなかに
咲き急いだ桜がひとつ
白く闇を破る
陽射しを浴びて
咲き競うのは
きみ
きらいですか
こんな湿った濃紺の中で
意表を突いて ....
窓辺に置いた花が
枯れてしまって
悲しむわたしのもとへ
風が
山の裾野を渡り
あなたの窓を
こつんとひとつして
わたしの窓にも
こつんとひとつして
風の
通り道が出来たことを
知 ....
(割れ落ちた心の軋みより流れ出す)
せせらぎの音に我身を任せ
消え入りそうな意識の果てに
あなたの額より滴る汗の熱さを慕う
さよならってどこまでも悲しいのね
狂おしさは許されぬ愛 ....
「詩遊人たち」とは、詩人交流サイト「詩遊会」の有志によって出版された、若々しく、みづみづしい詩集である。
これは未熟といふ意味ではない。
たとふれば、こんこんと湧き出づる泉のやうな・・・。
さう ....
あなたは曲線で出来ていて
髪の毛
しなる腕も
無駄のないポオズ
その
なだらかな曲線を
ていねいに
なぞって
あなたの
曲線とは裏腹に
こころには
ちいさなささくれが
いっ ....
あなたと
彼との
星の質量が違うから
その差に寂しくなるとしても
ここから見れば
満点の星たち
キラキラ同じ
暗闇の道しるべ
それでもあなたの道を行け
信じるという引力が
互いの距 ....
幼い頃知っていた
時間を巻き戻す
不思議な眠り
思い出せないままの
まっ赤な空がいつまでも続く
{ルビ夕餉=ゆうげ}の前の過ごし方
秒針も知らず
時計も持たず
生きていけた
....
私鉄沿線のダイヤに則り
急行列車が次々と駅を飛ばして先を急く
通路を挟んだ窓を
横に流れるフィルムに見立て
過ぎた日を思えば
思わぬ駅で乗り降りをしたわたしが映る
網棚に上着を ....
となりに君をのせて
海沿いの夜をゆく
波は
そこにあるのに気づかない
君はたぶん
空気で出来ていて
誰の目からも見えないけれど
見失いそうになるとき
君をのせて夜をゆく
ボク ....
名残雪が、責めるように頬を撫でる日に。
母が倒れたとき。
自分の愚かさを知り、奇麗事の容易さを悟った
この唇の内側から溢れるのは
偽善者の小さな自尊心、その欠片ばかりで。
吐き気がす ....
「わたしたちのからだ ここに入るのね
その言葉は 墓前に供えた白い花より麗しく
遠くに 在るもの いつか 訪れる
その日を見据えては 永久 に さすらい
「わたしたちの心 あの雲に ....
はしっこの村にはな
働きもんのじさまと
ばさまが住んでいた
お日さまよりも早起きで
毎日、一汁一菜の粗食
いろり端にはやかんが
チンチンと湯気を上げ
窓辺には四季折々の彩 ....
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