見知らぬ、春
たりぽん(大理 奔)
見知らぬ小鳥が
甲高い声で
空にむかって告げたので
今日は見知らぬ春
葡萄の一粒が、私の中の
行ったこともない場所で
裂けて、流れ出す
見知らぬ季節
もう二度と会わない風が
だからこそ
素知らぬふりでいつも
ひとりぼっち
季節を新しくするものが
いつも季節を古くする
春に降るものは
そっと舞い落ちては
吹かれていくだけで
雪のようには積もらない
そして
見知らぬ私が
空にむかって告げたので
今日から見知らぬ
懐かしい声
自由詩
見知らぬ、春
Copyright
たりぽん(大理 奔)
2006-03-25 23:31:42
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