桜に
銀猫

きっと白に近くあり


霧雨を含んだ夜のなかに
咲き急いだ桜がひとつ
白く闇を破る

陽射しを浴びて
咲き競うのは
きみ
きらいですか

こんな湿った濃紺の中で
意表を突いて開いたのは
紛れも無いきみだけを
誰に向かって咲きたかったのですか


足並みを揃え繚乱すれば
だれもが酔うてくれること
承知で咲くのは潔さ

群れて薄紅さしもせず
五つに願った春の羽根
早く落とすを悲しみもせず
ひとり咲くのは
きみ
誇りですか


きっときみ
こころ
白に近く




自由詩 桜に Copyright 銀猫 2006-03-24 13:29:53
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