ふるえて、空 見上げて
たりぽん(大理 奔)

ゆくえをさえぎる雲は
散っていきました
春です

昨日までの私はふるえていました

波に洗われる消波ブロックのように
、ふるえていました

風に吹かれる朽ちて傾いた電柱のように
、ふるえていました

ふとん、と書かれたトタンの看板のように
、ふるえていました

踏み割られた瓦のように
、ふるえていました

月を見ない獣のように
ふるえて

ゆくえをさえぎる雲は
散っていきました
春です

昨日までの私はふるえていました

なにかをたくらむ桜のように
鈍色の空を見上げて

ふるえて






未詩・独白 ふるえて、空 見上げて Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-03-28 22:26:20
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