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ささやかな我が家は
海風を松林がさえぎる
小さなキャンプ場に
僕と君の子供の手で建てた

細引きはしっかり引っ張ってとか
ペグは斜めに打ち込んでとか
入り口の向きの決め方とか
寝心地の ....
体温は
ひとつになるアルビレオ
今日からは
遠心力で結ばれる

意志が
それを果てるまでと誓うだろう
ある時は照らされる者の影であり
そしてお互いだけが
救える日々の

満ち ....
はじめて
こころのなかに
さいた
たんぽぽのはな

かぜにからだを
ばらまいて
ぶんしのように
げんしのように
そりゅうしのように

たびにでるたび
 ....
夜が季節の名前ならば
今夜は惜春
雷雨が迫る黒雲
まだらに明るい空を映して
海が水銀のように揺れる
指先の温度が融点の
あなたという液体
わたしという液体

いつまでも
満たさ ....
誰にもおそわらないのに
赤を「あか」と感じたり
風を「かぜ」と感じたり

誰も教えてくれないことが多すぎる
生まれてきたのだ、ということも
きっとそうだ

記憶を移しただけで
生まれ ....
街角でポストが見張っている
僕は急いで携帯を隠す
桜の葉が、ぬるい風にざわめく
雨!

雨の予感だ

宛名のインクが溶けぬよう
ビニールのファイルに挟み込む
ビルディングに巻かれ ....
蝉の羽根は綺麗だね
落葉樹が真冬に
枝に張った
シャボンの虹色だ

大人になりたかったかい
ほんとうはずっと
いごこちの良いこの樹の根元で
ずっとずっと、すごしたかったろう

 ....
夜風をくれるひと
真昼の温もりがさめた後の
森の湿り気の冷たさ
ビル風が懐かしいとき
吐息のように
寄り添って

いつも真夜中を知るのは
まぶたを閉じる仕草
あちこちに仕掛けられた
 ....
暦と呼ぶ刃物で
区切られていく時間
人はやはり
階段でなければ上れない

翼にあこがれるのは
ないものねだり
僕たちはこの与えられた
二本の足で歩かなければならない

登り方は ....
ためらい傷
みたいな三日月
彼方で雲の風紋
ついやされる言葉
私という
熱を届けるため

   無数の
   海に降る雪
   水平線をかき消し
   どこにもつもることもなく
 ....
終わる、と
ただ巡っていくだけのものに
あきらめにも似た終止符を
打ち続けて僕の数直線は
みっともない
姿をさらして

   次の巡りを待てないほど急いで
   どこに辿り着けた

 ....
自分の名前を
忘れてしまいそうになる
遠いとおい旅路なのです
だけれども
決して忘れない
名前もあるのです

あの月と星をいただく塔の上で
そらに吸い込まれる
ただひとつの呼び名のよ ....
目をきつく閉じて
何度も何度も反芻する
あなたの姿
暗闇でも兵士が
銃の整備をするための
あの訓練だ

分解は簡単だ
合理的にできたあなたは
いくつかのホックをはずすだけで
そのす ....
旅程、 それは
気体としての体の呼び名
約束は山嶺のむこうで
鼓動が、 「遠く」と嘆く
あなたの住む町に
なごりを凍らせて
肌の温度で流れ出す
液体としての心

  はるか、 はるか ....
眠りに落ちると
いつもそこは凍夜
誰にもじゃまされず
暗闇を独り占めする

   外ではひどく激しい気流
   雲で空に恨み言を描き付けて

あのころって、いつだ?
わたしたちって、 ....
虹が遠いね

暗がりのなかからは

遠すぎるね
ちょっと長めの旅行を終えて
ベランダに出てみると
大切な鉢植えのミカンの葉が
全部無くなって
大きなさなぎがぶら下がっていたのです

街ではもう、見かけることも少なくなった
アゲハチョウ ....
今日は丸い椅子には
座りたくなかった

道を失いそうなときには
肘掛けはついてなくて
それ以上はないというくらい
角張った椅子がいい

座るという緊張感が
癒されてはいけない
立っ ....
空が誰かのものであって欲しいと思う
できれば、あなたの

  すすき すすき かぜのわだち のこして

あなたがいない世界に
意味がないのではなく
あなたが見捨てたこの世界に
あなたは ....
青白い大人達が
おくびょうな大人達が
ぼくらをとおざける
カンバン方式で
育っていく
生まれたことも忘れてしまい
死なないことだけを教わる
正しい生き方だけを教わるから
間違った生き方 ....
あたたかな深い世界と
冷たく閉ざされた陸地の
あいだにおかれたからそれは
あなたに触れたときの私の肌
のように、あしもとでざわめく
むねのどこかで
小さなちいさな六分儀が
あやふやに極星 ....
今夜はひとり、僕の手を取る君は
楽しそうに自販機のコーヒーを買う
立体駐車場の屋上に君は車をおいたという
スロープを二人、手を繋ぎながら

(君の子供は眠っている頃)

誰にも照らし出さ ....
いくつかの橋が
思い出せないでいる
名前を覚えなかった川の
こちらとあちらを
思い出せないかたちで
きっといまもつないでいる

完全なものが美しいと
君は言うけれど
不完全なものは
 ....
真新しいランプで
秋の波を
どこまで照らせるだろうかと
また、
鳴き砂の浜辺で
波泡のざわめく
境界線を見つめている
小さな音を立てるのは
そこに居たという証で
胸の奥に
忘れ ....
夜の長い季節がめぐって
今年もまた
潤んだ果実の薄皮が
あなたの細い指先ではじけて

  枯色の穂の律動

その春のようなくちびるに
すべり込むのです


かわききった大地で
 ....
君と
君の子供と
動物園へ遊びに行く

動物園のない町に住んでいるので
キリンもカバも見たことがないからと
地下鉄に乗っている間も
図鑑で予習に余念のない二人を
窓鏡に映る姿で見つめる ....
輝くものはいつも
はるか遠くに置かれる
届かないとわかっていても
暗闇の中で
求めてしまう
温もりのない光とわかっていても
そこで燃えているものを知っている
そして永遠を誓ったりする ....
空を飛びたいなど思わない
眠ってしまおうとも思わない
そんな明るい雨の昼下がりは
激しく窓ガラスで弾けて
つたい落ちる滴を
ずっと、ずっと見ていたい

  大切に飼っていた金魚を
   ....
海という隙間で息も絶えだえに
船がただひとつ進めない方角があり
羅針盤の鏡にこうして映すと
宇宙も空も無くなる時間なのに鏡は
越えられない境界線を示すだけなのです

宇宙に似た深い暗闇を
 ....
真夜中の街
儚い灯りを縫い合わせて
君はいくつも
星座を作ってみせ

物語がわからなくても
知ったかぶりで綺麗だねと
僕は何度も
言うのだろう

  地上の流れ星はいつも
  赤 ....
まほしさんのたりぽん(大理 奔)さんおすすめリスト(60)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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