ラストストロー
士狼(銀)

名残雪が、責めるように頬を撫でる日に。


母が倒れたとき。
自分の愚かさを知り、奇麗事の容易さを悟った
この唇の内側から溢れるのは
偽善者の小さな自尊心、その欠片ばかりで。
吐き気がするような世迷い事を
作り笑いとともに口にする
鏡に映る自分の歪みにも、気が付かない罪。
母の心に積み重なったストレス
最後の小さな我儘で崩れ去った柱
もう一度触れることは許されないけれど

だから願います。
ベッドの傍で
 これからの贖罪が確かであることを
だから祈ります。
ランプの下で
 最後の一藁の重みが軽くあることを
そして望みます。
暗い夢の中で
 いつでも平穏な心でいられることを


頬の熱で熔ける雪が、泪みたいで哂えた。


自由詩 ラストストロー Copyright 士狼(銀) 2006-03-18 10:56:16縦
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