花曇りの空に舞う胡蝶の
その透きとおった翅を
欲しいと思う
やわらかく笑う
ということを覚えたのは
いつの頃だったろう
新しいピンヒールが
足に馴染まなくて
ア ....
ほど近い、
雨音の届く、
屋根裏部屋で、
眠りは紡がれる。
了。
爛漫の春、日の光を一心に集めて
桜は夜に発光して花吹雪を降らす
花びらを拾い集めたその手
今は傘の花を咲かし
砕け散ったこころを
ジグゾーパズルのように
張り合わせる
欠 ....
舗装された道の
ペイントされた、とまれ
踏みつけられた骨の色の
見上げる季節の樹香
舞い散ってへばりつく
美しいという名の死骸
立ち上がれない
ペイントされた、とまれ
月が ....
ターミナルに出ると
うす青い空が広がっている
通りは車で渋滞していて
そのまんなかでは 赤信号が
意味をさがしながら
点滅する
帰らなければ、と漠然とおもっていた
帰ろうとするその方角を ....
わたくしはなりたい あなたに
好きからはじめる花占い
かならず好きで終わるから
弘前のあなた 今年も綺麗に咲くのね
好き
嫌い
好き
嫌い
好き
幾度やっても ....
雨を避けながら私は歩いている
傘に守られて私は歩いている
円形の
ぽっかり浮かぶその空間で
私は世界を眺めている
雨粒が傘の端から端から
あふれるように流れている
それは本来私の上に ....
喧嘩の締めくくりはいつも
見えない一本の線だった
あたしがこっちで
のんちゃんはむこうね
そう言いながら
両腕を伸ばして陣地を分ける
ぜったいはいらないでね
ぜったい ....
はっぱ
雨にぬれて
冷たいけれど
はっぱ
お日様 出たら
うんとかがやく
ピカピカきれいに
うんとかがやく
元気 なってる
雨ふる前より ずっと
だいじょうぶ
う ....
スプーンの背で潰した苺から
紅が雲に届いて夕焼けになる
静まれ しずまれ
桧扇を広げて
漆黒がそこまで来ている
上着の釦をもうひとつ閉めて
心して迎えよ
静電気をちりち ....
抜けるような蒼い空の向こうに
煌めく未来があると信じていた
薄紅色の蜃気楼のような架け橋
ピカピカの一年生といっしょに
駆け抜けていったのは希望の花
凍てつく寒さ ....
何もかもがかすんでゆく
人も 街も
さくらの艶列が
そこだけ
重ね着みたいに咲き誇る
生きのびる
自信がある者の
惜しげない
笑み
見下ろす川は
あの夏
爛れた皮膚を ....
家に帰ろう
そこには
なにもなくても
買ったばかりのソファ
で
ごろん
天井に
幾何模様を
いくつも描く
うまく
伝えられないね
ただ
あなたの存在に
ありがとう ....
春は優しい素顔を何処かに隠し
コートのすそにまとわりつく
うつむいて
泣きべそかいているのは誰のせい
そんな街の片隅でも確かに芽生える
やるせない泣きべそ顔の奥で
見つけたもの
....
春の夜の
朧な月を仰ぎつつ
草露を踏む
真白い素足
墓標に刻んだ自分の名前に背を向けて
てのひらはいつまでもとどかないのです
生きることの意味を知らされないこぶしが
硬く握られたその先で照らして
夕日が水平線を越えて旅立つこの場所で
朝日 ....
君の口付けを
夢見た日々は過ぎ
思い描いた風景は巻き取られる
新しい大地が現れるわけでもなく
羽の生えた女が
降臨することも笑い話でしかない
捨てられた世においては
布切れに女 ....
ギガバイトのうねりのなかで
わたくしの三半規管
忘れない 忘れたくない
あなたの 優しい こえ
花蜜から花蜜 あまりにも
気まぐれ過ぎる あなた
プラトニック と プラスチック
....
踏みつけていた
いつの間にか踏みつけていた
{ルビ直線歯車=ラックレール}
きれぎれにされた
人生のように
強さだけを必要とされて
ずっとつながっていました
峠を越えるの ....
夜明け前の道を
自らの高鳴る鼓動を胸に秘め
歩いていく
川に架けられた橋をわたり
駅の改札を抜けて
無人の列車に乗り込む
腰掛けると
発車を告げるベルがホームに響く ....
新幹線のドアの出口を
今日もニュースは流れてゆく
私たちの住む国は
800兆円の借金をしている、と
そう
そうかも
私たちの豊かさは
何を犠牲にしたのだろう
労働があって対価がある ....
あまりに長い間ひとりでいたせいか
ある日わたしはふたりになってしまった
わたしたちはさすがに元ひとりだったので
顔も体つきも声も性格もそっくり同じだった
「さみしかったよね。」
「う ....
弦が弾け飛んだ世界で
美しい旋律など
ない
ただ
哀れみを乞うように
垂れ下がる世界が広がる
せめてその
あなたの腰部
しろく張り詰めた曲線をなぞり
歌声を響かせる
こんな ....
いま精神科に一年一ヶ月入院しています。退院も程近くなっています。
復活を楽しみにしてください。
ぼくの作品に好意を持ってくださった方へ。
人間を創り直そうと思いまして
街中にごろごろ落っこちている部品を
拾い集めて廻ったのデス
殻は組み立て終わりましたのに
人間を模した其れは、いつまで待っても
まったく動かないのデス
....
きみが僕を
心に焼き付けていたら
男前ではないので
さぞ不細工な焼印だろう
でも僕は
焼かれると燃えてしまうから
きみの心には
焼きつかない
きみが詩で
すごいものを作ったら
....
旅行から帰ったら
あなたと
さくら見たいです
あなたのメールに
胸が詰まる
そう
そうだね
はなびらが
はらはら落ちる川沿いは
きっとまだ
風も冷たく
見上げた角度に ....
小さなホールケーキ
真ん中に添えられたクッキーには
“パパ たんじょうび おめでとう”
みどり色のロウソクがひとつ
中ほどがポッキリ折れていて
むき出しの白い芯が
辛うじて身体を支えて ....
君はいろいろだね
幾何学を解明しようと
君にキスをしてみる
そのたびに知らないかたち
騙し絵のようで
のぼったりおりたりする君は
いろいろなかたち
そんなことは
説明なんて ....
膨らみかけの
まるい頭を圧する手は
あなたにとって
始めての試練
そうして知るだろう
温みあるやわらかな手が
差し伸べられるあしたを
そうして迎えるだろう
ため息と酔うた目に
愛でられる日を
花 ....
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