ましろい表紙の中心に
産み落とされた
原石の塊
見えない核に宿る(詩)に結ばれ
六つの方角へと
自らの背を伸ばそうとしている
( 遠天の夜空に燃える太陽
( あるいは明け方 ....
かいちゃんはくつしたが大嫌い
はかせても はかせても
脱いでしまう
そんなにくつした嫌かなあ
確かに裸足は気持ちいいけど
今は冬
君のあんよが真っ赤なのを
ママは見るにしのびないんだ ....
いのちの大切さって何だろう
きれいごとでは済まされないこと
野生の獣が弱い生き物を捕らえ
生きる糧とするように
人間だって経済動物と言う名のもとに
生き物のいのちを断っている
(ひとのいの ....
はるをいたみながら
ひとつ、指を折り
なつのまよいに
迷えないまま
指折りは、
ふたつ
みっつ、を数える指には
こころならずも
あきがなついて
ちからずく、のよう ....
人生には三つの弦があるという
理想と現実と失望と
それらをかき鳴らした音色が
夢と呼ばれるものであると
ある人は言う
理想を天とし
現実を地とし
失望を人とするならば
この世界に諦 ....
いつまでも
ひとりでいるのはさみしくて
旅先で
出逢ったきみに会うために
遠い雪国へ
ぼくはゆく
金はなく
新幹線にも乗れず
長いトンネルを抜けた
夜行列車で目覚め ....
照る岩に
砕かれてゆく波のうつくしさ
それはもはや
言葉には乗ってゆかない
冷たい、
というわけではなくて
いつからか
鋭いものが岬だとおもっていた
まるくても
まるくな ....
彼は
あたしが寝た頃にいつも電話をしてくる
きっと
人が一番寂しくなるような時間に
事故からまだ半年
彼はよく将来のことを話す
そして吐き捨てるように過去を話す
あたしに脅しかけるよ ....
暦と呼ぶ刃物で
区切られていく時間
人はやはり
階段でなければ上れない
翼にあこがれるのは
ないものねだり
僕たちはこの与えられた
二本の足で歩かなければならない
登り方は ....
来年も
ふたりは
ここにいるのだろうか
こんなに
おだやかな夕暮れを
落ちてゆく太陽を
川面に映る木立の影を
ふたりは
並んで見るのだろうか
ふたりには
きっと何かが欠けて ....
たとえば空が
海から生まれたものだとしたら
鳥はおよぐものたちで
魚は羽ばたくものたちです
たとえば光が旅人ならば
わたしたちも、風
無理のない
ながれ
吹雪 ....
哀しみのあなたに
なす術をもたない
わたしもまた
その非力さゆえ
自らの存在に
哀しみをおぼえる
星の瞬きの
ひとつひとつが
人の願いというならば
わたしのそれは
確かな理由を ....
就職支援センター
と云うところに
毎月行っている
無職だからである
就職支援センターは
仕事を紹介してくれる訳ではない
担当の人と
色々お話をして
最後ににこにこと
頑張ってくだ ....
胸の奥底を突き刺す
あの時の届かなかった想い
尖りきった気持ち
傷つけてしまったことば
風が攫っていったのか
冷えこんで行く空に
張り巡らされた鉄条網から
....
ためらい傷
みたいな三日月
彼方で雲の風紋
ついやされる言葉
私という
熱を届けるため
無数の
海に降る雪
水平線をかき消し
どこにもつもることもなく
....
一握りの気まま、は
自由と呼ばない
不自由から逃れて
背中の羽根を伸ばしても
きっと名前が違うだろう
いくばくの束縛から逃れた、
小鳥のようなあなたは
一粒の木の実 ....
静かな湖面に
あなたとわたし
ふたりきり
いつもは感じ得なかった
あなたの男らしさを
ちょっと見直してみたりして
(フレアミニなら喜んでくれたかな
季節はずれの湖面に
あなたとわたし
....
うすずみ色の空はひくく
ピアノ線を地におろし
哀しみという歌をかなでる
さえずる鳥さえもいない
こんな午後は
暴かれてしまうことをおそれて
いくどもたしかめた肌の ....
勤める店のある街には
空は上にしかない
疲れた街路樹から
遥かに上
高く遠く硬い
季節は駆け足で過ぎてゆく
日々は戻らぬから
私は大人にしかなれず
この街が似合う年になって
こ ....
こんなたとえ話から、
はじめてみます。
ぼくは毎日こわれています。
それは、
九十八マイルの速球を投げた、
松坂大輔の肩が、
一球ずつ壊れてゆくように。 ....
根雪というも、いずれは川になる
姿は消ゆれども
解き放たれる
いずれは川になる
根雪 去ったあとから芽吹く、新芽に
何かを告げることさえ請いもしない
落ち葉はいずれ母になる
....
降りそそぐものは、波です
満ちてゆく潮風に
しおれることも
ときには
開花
白銀は、あこがれですか
うらがわですか
ゆるやかになきます
あの、下弦
背中を ....
混沌とそこで波立ち、
彼女は待っている。
すべてを脱ぎ捨て飛び込む。
....
混沌とそこで波立ち、
彼女は待っている。
すべてを脱ぎ捨て飛び込む。
飛沫を上げ、
彼女は受け容れる。
全身で全身を包み込む。
ゆるやかに彼女が浸透 ....
終わる、と
ただ巡っていくだけのものに
あきらめにも似た終止符を
打ち続けて僕の数直線は
みっともない
姿をさらして
次の巡りを待てないほど急いで
どこに辿り着けた
....
飛ぶ鳥の名前などは
どうでもいいことかも知れない
晴天をかもめ、
夕暮れには
からす
一応の名前で
呼んではみるけれど、
きっと何かが間違っている
かれらは一途 ....
欲しかったものを手に入れたとたんに
他のものが欲しくなる
判ってはいても止められない
「欲しい」には夢と希望が満ち溢れ
手に入れた後には虚しさが残るだけ
(捕らえた獲物には…なんて言い訳がま ....
想いと
ことばは
まったくのべつもの
あまりにも似通っている、べつもの
うまれた想いを、
そのままことばに乗せられる、と
そんな気がしてしまう
ことばの背中に、
....
黄色の花は枯草に足元を譲り
冬の陽だまりが
影もつくらず
土に隠した春の気配を
内緒で温めている
霜を忘れた僅かな緑は
十二月の大気に身じろぎもせず
去年のうたや
....
何を探していたのだろう
散り積もった日々の
瓦礫の中より
それはひとときの温もり
顧みることさえ叶わずに
北風にさらわれてしまった
あなたとの思い出
ことばなんてくだらない一葉に
思い ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31