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八月が終わらなければいいと
願っていた
そのときわたしは
小学五年生で
朝顔を上手に育てることが出来なかった
そして
支柱にぴよぴよと巻き付いた
枯れた朝顔に
まだ毎朝ぼんやりと水 ....
朝起きて冷蔵庫を開けたら
祖母が入っていた
さみくてさみくてなんだかも
生ぎてぐのがいやんなっちま
なんて言うので
そんなに寒いのなら
もう死んでしまったっていいんじゃない
と思った ....
・
初夏の山は
いいにおいをしたものを
たくさん体の中に詰めて
まるで女のように圧倒的な姿で
眼の前に立ちはだかってくる
たまに野良仕事をしている百姓が
山に見惚れていることがあるが
....
本を読む人の眼は
例外なく真っ黒い色をしている
それはもちろん
眼が活字のインキを吸収してしまうからである
本を読みすぎて
白眼まで真っ黒になってしまった人が
こちらを向い ....
深夜の病棟の廊下を
患者を乗せたベッドが幾つも
音もなくしずかに漂流していく
あれらはみな
モルヒネを投与された患者なのだそうだ
おっこちたりしないように
きちんと縛り ....
※いちにちめ
朝起きたら
靴から花が咲いていた
綺麗な花ではなかったが
あんまり堂々と咲いていたので
迷った揚句に仕方なく
会社へは裸足で行くことにした
※ふつかめ
朝起き ....
冬になったら
彼が凍ってしまって
まるきり目を覚まさなくなったもんだから
やさしく体を開いてあげたら
ふたつあるうちの腎臓の
ひとつが石化してしまっていた
両手で上手に取り出し ....
・
好きと嫌いが
ギアの上で揺れていました
わたしはちょっと迷いましたが
結局どちらとも決められないまま
右手で好きも嫌いも
すっかり覆い隠して
細心の注意を払い
....
二十三年間生きてきたのに
おめでとうのひとつも
満足に言えない
そのことについて
頬杖をついて考える
一人で
室内で吐く息は白い
ストーブは足元ばかりを熱くする
家 ....
たまねぎを刻むと涙が出る
それにかこつけて
少し本気で泣いてみる
そうして
矢張りわたしは
要らない子かも知れないと思う
だけど午前の台所は
悲劇ごっこをするには明るすぎるし
誰かを想 ....
☆
そろそろ着陸する
と云うので
五人の宇宙飛行士たちは
めいめい
色鉛筆や携帯電話や文庫本やマニキュアなどをしまい
いやいやながらも手をつないで
着陸に備えた
しかしそれ ....
どうやら焦燥感
と云う一種の熱病にかかってしまったらしい
くるったように息を切らしながら
朝から晩まで自転車で
ぐるぐると円を描きつづけている
進むのは
まっすぐでなければ
どこにも行き ....
どうやら先日から
天井裏に
ねずみよりも大きくて
鳥よりも小さい何かの動物が住みついたらしい
夜になるとばたばたと走り回って
うるさいことこの上ない
ただ不思議なのは
わたしの真上で必ず ....
・
友人に
擬態する癖のある女がいる
よく家の中で
かくれんぼうをする
二人で
わたしが鬼で
十数えて振り返ると
家の中はしいんとして
空気がうす青い
百年前からこうし ....
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(14)
タイトル
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カテゴリ
Point
日付
えいえんの夏
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吉田ぐん ...
自由詩
27
07-8-10
悩ましい朝
-
吉田ぐん ...
自由詩
35+
07-5-24
初夏
-
吉田ぐん ...
自由詩
43
07-5-17
書店で働くということ
-
吉田ぐん ...
自由詩
73*
07-4-25
病院の海
-
吉田ぐん ...
自由詩
11
07-4-25
朝起きたら
-
吉田ぐん ...
自由詩
22
07-3-15
彼の腎臓の秘密
-
吉田ぐん ...
自由詩
14
07-3-11
仕事の話
-
吉田ぐん ...
自由詩
25
07-3-11
おめでとうの仕方
-
吉田ぐん ...
自由詩
24
07-1-12
午前十時のクリームシチュー
-
吉田ぐん ...
自由詩
29
07-1-11
家族制度(又は宇宙旅行)
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吉田ぐん ...
自由詩
13
07-1-9
焦燥感
-
吉田ぐん ...
未詩・独白
7
07-1-8
かまいたちを一匹。
-
吉田ぐん ...
自由詩
12
07-1-7
癖のある男女
-
吉田ぐん ...
自由詩
21
07-1-2
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