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読者にはまず、このことを思い出していただきたい。すなわち、
ハーレスケイドは時間が止まった世界である、と。
ここ、ハーレスケイドで何万年の時間を過ごそうと、
現世であるアースレジェでは、何秒の時 ....
アイソニアの騎士、そしてエイミノアも、オーマルの前に控えた。
彼らの振る舞いが、今後の彼らのハーレスケイドでの探索にも、
影響を及ぼすと考えたからである。──それは賢明な判断だった。
アイソニア ....
読者は迷うかもしれないが、ここは再びハーレスケイドである。
盗賊ヨランと、アイソニアの騎士、そして、エインスベルの従卒であるエイミノアは、
眠れぬ夜の、そして翌朝を向かえていた。
あくびとともに ....
「迷いは良い。お前は死すべき存在だ……」と、エインスベルは言った。
右の手には、クォータースタッフを携えている。
魔導士にしてはあるべからざる、戦闘的なあり様だ。
フランキスは、その右を、その左 ....
──「お前は誰か?」と、言った者があった。
フランキスは慄然とする。それは、エイソスか? それとも彼の侍従か?
いずれにしても、「わたしは誤った」と、フラン騎士は思った。
祭祀クーラスから言い使 ....
再び時と所は変わって、ここはエイソス邸の前である。
フランキス・ユーランディアは、エイソス邸の塀の影に隠れていた。
(わたしは、祭祀クーラス様の辞令を受け賜った。
 この国のため、祭祀クーラス様 ....
「くよくよ悩んでいても仕方がないぞ、ヨラン」
一行の誰よりも早く、己を取り戻したのは、アイソニアの騎士だった。
さすがに、彼は状況を読み取る能力に優れていた。この時も、である。
「明日になれば、 ....
ヨランの殊勝な答えに、オーマルは静かに頷いた。
(さて、ここでいくら時間稼ぎをしても、仕方がない。
 エインスベル様の処刑は、数日の後に迫っているし、
 ここ、ハーレスケイドでは、時というものが ....
「あの方」……とは、ヨランの推測によれば、一人の魔導士のことを指している。
しかし、その人物がここで登場してくるということは、ヨランの予想外だった。
(この女は……何者なのだ?)と、ヨランも考える ....
「あなたは、エインスベルという者の命が大事だと、おっしゃいましたか?」
アイソニアの騎士の胸に刺さるような言葉を、オーマルは発した。
「そう……。そうだ。エインスベルの処刑は、数日の後に迫っている ....
「対価? それは何なのだ?」──威厳と自信を取り戻したかのように、
アイソニアの騎士が言った。彼は今、アースランテの千人隊長という、
身分などかなぐり捨てたようであった。彼はただ、エインスベルの一 ....
「間一髪でしたね、騎士様」ダルザジアを退けた後に、ヨランは言った。
「ふむん。単なる偶然だ。お前はそんな武器をどこに隠していた?」
「背嚢にです」アイソニアの騎士に対して、ヨランは軽く答える。
 ....
「こんなものがあれば、魔法など必要ないではないか!」忌々しく、アイソニアの騎士が呟く。
その傍らで、エイミノアは言葉を失ったままだ。そして、ヨラン。
「この世界には、剣や魔法のみがあるのではありま ....
ヨランたちが見たもの、それは甲虫ダルザジアの群れだった。
盗賊ヨランですら、このような大規模なダルザジアの群れを見たことはない。
「危険です、騎士様! エイミノア様、あなたにも見えますね?」
「 ....
そのころ、ドワーフたるヨランたち一行は、ハーレスケイドでの旅を続けていた。
右手には、虹が見える。ヨランたちが今登っている岩場からは、
荘厳な滝が見えていた。その高さは、何十マルテあったであろうか ....
フランキス・ユーランディアは、普段から青白い顔に汗を滲ませた。
「クーラス様。わたしは命に従うでしょう。しかし、このことはあなた様の今後、
 言い換えれば、クールラントの未来にも影響を及ぼすことで ....
「別のこと? 一体それは何でありましょうか?」フランキスは強張りながら言った。
祭祀クーラスは、今では為政者の顔として、面持ちを崩さないでいる。
「お前には、ある種の間者のような役割を果たしてもら ....
「エインスベルやアイソニアの騎士はともかく、エイソスまでもですか?」
フランキスの憂慮は、当を得たものであっただろう。
しかし、祭祀クーラスは動じなかった。
世界と人間との合一、そんなことをクー ....
「それは重い課題ですな。わたしにその任が務まりますでしょうか?
 何よりも、エイソスは今この国で誰よりも支持されております。
 アイソニアの騎士がこの国を見捨てた、そのことは良いのです。
 しか ....
フランキス・ユーランディアは、クールラントの為政者たるクーラスが、
自分に対する率直な言動によって対してくれる、ということが、
何よりも嬉しかった。「自分は信用されている」のだと。
だからフラン ....
「混沌か。世界は常に混沌としているものなのだ、フランキス」
……祭祀クーラスは、この物語では敵役として記されてはいるものの、
実は善なる存在だったのである。それは『今』の歴史を見れば分かる。
し ....
「その言葉を聞いて、安心した。わたしは孤独だからな……」
祭祀クーラスのその言葉は、いつにもなく自信なさげに思えた。
というのも、フランキスには、クーラスの言葉がいつも以上に重々しく感じられ、
 ....
「誘拐? それはまた厄介な事をお考えになられましたね……」
「いや、厄介でもあるまい。事が終われば、世界には再び平穏が訪れる」
「あなた様が真摯であることは、誰よりもわたしが存じております。
  ....
「そうだ。わたしには敵が多い。だから、エイソスだけは味方につけておきたい」
「エイソス・ギザ・ノールデン。奴は、貴族の家系でしたね?」
「ああ。だからこそ信頼がおける。いや、そうではないな。
  ....
「お前は、クロノゴロスという言葉を知っているか?」
「クロノゴロス? それは、何を意味しているのでしょうか?」
「人間は人間の力だけで生きていける、という主張だ。
 このクールラントでも、最近に ....
「では、あなたの手でそれを確実なものとすれば良いのです」と、フランキス。
「いや。すでに遅すぎる。お前はこの国、クールラントの未来をどう思っている?」
「それは、ライランテの覇者となることです。こ ....
場面は変わって、ここはクールラント行政府の、執務室である。
祭祀クーラスは、執務机に座っていた。その向かいには、フランキスが立っている。
「昨夜、……いや、今日の未明だな。ある者から一つの提案があ ....
「そのイリアスとは何者だ? よもや、ただの下賤の者はあるまいな?」
「イリアスは……アースランテ第三王室の娘です。
 いえ、『だった』と言ったほうがよろしいでしょうか。
 今では廃嫡され、庶民と ....
「エイソスはたしか、結婚していたはずだな?」クーラスは尋ねる。
「はい。彼の妻の名は、クシュリー・クリスティナと言います。
 彼女のことを、奴隷という身分をなくした聖女として、
 崇める者も多い ....
何かを思いついたように、クーラスは叫んだ。
エイソスと言えば、クーラスが妖精ファロンを使って、
アイソニアの騎士に対して反発するように、仕組んでいた者である。
その試みは必ずしも成功したとは言え ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ハーレスケイドでの戦い(三)- 朧月夜自由詩1*22-9-10
ハーレスケイドでの戦い(二)- 朧月夜自由詩1*22-9-10
ハーレスケイドでの戦い(一)- 朧月夜自由詩1*22-9-10
世界の変化、あるいは彼らの戦い(三)- 朧月夜自由詩1*22-9-8
世界の変化、あるいは彼らの戦い(二)- 朧月夜自由詩1*22-9-8
世界の変化、あるいは彼らの戦い(一)- 朧月夜自由詩1*22-9-8
ハーレスケイド、探索(九)- 朧月夜自由詩2*22-9-7
ハーレスケイド、探索(八)- 朧月夜自由詩1*22-9-7
ハーレスケイド、探索(七)- 朧月夜自由詩1*22-9-7
ハーレスケイド、探索(六)- 朧月夜自由詩1*22-9-6
ハーレスケイド、探索(五)- 朧月夜自由詩1*22-9-6
ハーレスケイド、探索(四)- 朧月夜自由詩1*22-9-6
ハーレスケイド、探索(三)- 朧月夜自由詩1*22-9-5
ハーレスケイド、探索(二)- 朧月夜自由詩1*22-9-5
ハーレスケイド、探索(一)- 朧月夜自由詩1*22-9-5
薄明の中で(十八)- 朧月夜自由詩1*22-9-4
薄明の中で(十七)- 朧月夜自由詩1*22-9-4
薄明の中で(十六)- 朧月夜自由詩1*22-9-4
薄明の中で(十五)- 朧月夜自由詩1*22-9-3
薄明の中で(十四)- 朧月夜自由詩1*22-9-3
薄明の中で(十三)- 朧月夜自由詩1*22-9-3
薄明の中で(十二)- 朧月夜自由詩1*22-9-2
薄明の中で(十一)- 朧月夜自由詩1*22-9-2
薄明の中で(十)- 朧月夜自由詩1*22-9-2
薄明の中で(九)- 朧月夜自由詩1*22-9-1
薄明の中で(八)- 朧月夜自由詩1*22-9-1
薄明の中で(七)- 朧月夜自由詩1*22-9-1
薄明の中で(六)- 朧月夜自由詩1*22-8-31
薄明の中で(五)- 朧月夜自由詩1*22-8-31
薄明の中で(四)- 朧月夜自由詩1*22-8-31

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