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(透明ではない)
(灰色の一匹の魚)


透明ではない、薄く曇った一つのガラス球のなかに、
一匹の魚が泳いでいる。それは灰色。

「もう泳ぐのに疲れてしまった」と、魚は言う。
わたした ....
いつもの言葉を忘れてしまった。
ラン、そして、アウェイ。
僕たちはいつも走っている。
それはランナウェイ?
どうやら違うようだ。
僕たちは逃れない。
僕たちは逃げない。
運命が僕たちを呪 ....
無邪気になれるのは、
いつ、どこで?
無邪気になれるのは、遠い過去で。

無邪気になれるのは、
いつ、どこで?
無邪気になれるのは、遠い場所で。

一つ、二つと、
数え歌。
ひとり ....
今年は桜前線、
 という言葉をあまり聞かない。
桜の散るころには、
 すべてが終わってしまっているのだろう。
そんなことをなんとなく感じながら、
 世の中すべてのことが厭わしくなってしまって ....
このお店は改装中です。
ですから、お立ち入りにならないでください。
改装が終わったら、
あなたも入ってみると良いですよ。

わたしは言葉を商っています。
わたしは「無限」という言葉の意味を ....
緑いろの丘々を撫ぜながら
思いがけない海からの風は
波たちの起こすさざめきをともなって
私たちの陽溜まりへとどけられる

草葉のかけらを宙に舞わせながら
精霊たちを目ざませながら
何もの ....
エヴァーグリーンに包まれたのは、
春休み。
春の休みの日。
まだ夜明けじゃないよ。
夜が明けたら、太陽が高く昇って、
風景は美しくなる。
まだ目を覚ましてはいけない時間に、
起きてしまっ ....
((蒼穹を飛んでみせてよ))

    ((そんなのいやだ))


((どうして?))

      ((だって、「蒼穹」なんていう言葉は古すぎるもん))

 ((じゃあ、「青い空」 ....
匂うような瞳をしたその人は、
優しく手をひいて、
蒼穹へといざなう。

そこでは、
幼子たちが耳朶をゆらし、
風の音を聞いている。

憐憫でも無垢でもなく、
懶惰でも情熱でもなく、
 ....
さみしい夜にはいつも君がいてくれた。
寒い冬でも君がいっしょなら大丈夫だった。

さして面白くもないことにも君は笑って、
さもありなんと僕はおもったりした。

さあ何をしようかと、いっしょ ....
  恐竜の骨のようなもの、を、みたいな、
           探していたんだと、
                 思う。
          でも、そんなものは、
           ど ....
ねえ、お爺さん、
あなたが買ったものはカフェインレス・コーヒー。
なぜそんなものを買ったのかしら?
健康のためにカフェインを制限しているから?
夜眠れなくてもコーヒーが飲みたいから?
それと ....
戸外にいる気分を味わいたくって、
セブンイレブンから缶コーヒーを買ってきた。
ああ、街中には僕たちが一息つけるところなんでもうわずかしかない。
(そうでない人たちもいるのだろう)

君は君自 ....
 北の国には幽霊船がいるという。誰もそれを見たものはいないが、晴れた日には沖合に蜃気楼のようなものが立ち上がる。それが幽霊船だという。幽霊船は千の魂を積んでいく。幼くして亡くなった者、戦争で命を落とし .... くるくると空が流転する。
葉がさざめく。
海の底を人魚が泳いでいく。

悲しみは積り、積り、
切なさで、
わたしはそれを胡麻化している。

あなたたちも同じでしょう?
細やかなことが ....
現代ならば夜行列車ではなく、
夜行バスに乗っていく。
でも誰も、
銀河バスなんていう奇妙なものは思いつかない。
(あ、毛糸で編むのを忘れた)
(あれはあなたのための毛糸だったのに)
車窓に ....
朝焼けだよ。
朝焼けが真っ赤で綺麗だと、雨になるんだって。

と、君が言う。

僕はその、
「真っ赤で綺麗」という言葉に聞き入っている。

もし、彼女の言葉が本当ならば、
……そう、 ....
つめたい雨が降っていてね、
つめたい過去がつめたい手ざわりで、
 ふれてくる。

つめたい雨が、冬の雨が、
 降っていてね、
 この心を濡らせばいいと。

あなたのその頬に滴らせて、
 ....
 海のように、そこに沈んでいく。でも今は、閉ざされている。……の多い、手紙のように。遮絶するそれらは、わたしたちを人であらしめるもの。──神? でもなく、天でもない。(わたしたちには見えないのだろう、 .... 青い色の湖のなかであなたはたゆたっている。
青い色の水があなたの塵と埃とを洗い流す。
(わたしのことは忘れてしまったのでしょうか?)

遠い空には、シリウス、ベテルギウス、プロキオン。
この ....
空疎な空をかかえながら、
掌のなかに空色を握っている。

機械仕掛けの古城に、
冬の点し灯が灯るのはいつのこと?

荒野に風は吹き曝しになって、
人々にマントを被らせる。

皆希望や ....
一つの手がわたしたちに所属する。
ありふれた闇のなかで。

わたしたちはレベリオンを目指して、
レボリューションを目指さない。

哲学者や詩人のようには、
決して語り得ないわたしたちの抵 ....
ああ、それは、崩れた空の。
誰にも聞こえない、 響き。
どこにも届かない、  谺。
空に、  焼かれた者の。
 空に。焦がれた 物の。
崩れた、
   ジェンガの
        様なも ....
かたことと音を立てて、
工具を扱う。

わたしの友人は機械たち、
だから直してあげなければ。

かたことと音を立てて、
工具を扱う。

彼らは眠らずに、
ただ働き続ける。

そ ....
が、
歩いてゆく。
こんな靄った空の下でも。

愛していたのだろうか、

幽霊が、
傘もささずに歩いてゆく。
もちろん、傘なんてさせるはずもない。

が、
愛していたのだろうか。 ....
 僕の薪小屋に雪がふったよ。照り返しがまるで白夜みたいだ。あの夏、ねえさんは船着場から太陽を見ていた。そんなに遠くにあるものを見ていて、どうするのって、僕聞いたんだ。そうしたらね、
「太陽は遠くなん ....
草原をずっと、ずっと裸足で駈けていく……
いつかそんな夢を見ていたことがあった。
僕の周りでは、見知らない音楽が鳴り響いて、その音符たちに囲まれて、
今まで誰も考えつかなかった{ルビ旋律=メロデ ....
今夜は満月だから、
月がちょっぴり悪戯をしている。
雲の切れ端に、五色の虹が浮かんでいたんだ。
見えない飛行機雲をすじ引いて……旅客機が空を飛んでいく。
君の住んでいる町でも、こんな夜空が見え ....
  I

そよかぜがふく

冬のちいさなすきま

まわりでは雨がふっている

かさをわすれたわという


  II

4色のセレナード

1つめはレモンいろの雲

2 ....
 落ち葉を探して、歩いて行こう。落ち葉は桜が良い。桜の落ち葉は、花よりも美しい。落ち葉を探して歩いて行きましょう。希望は常に彼方にある。遠くにある虹が大きく、近くにある虹は小さいように、希望はいつでも ....
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