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「ただの女が、いつから政治に口を出すようになった?
 お前は、フランキス・ユーランディアと話でもしたのか?」
「フランキス様がこの頃、このお屋敷にしばしばいらっしゃっていることは、
 存じており ....
「ああ、フフリナ。まだ起きていたのか? 明日も朝が早い。
 お前もしっかりと休息をとっておくことだ。何しろ……
 わたしも、いつこの首を切り落とされるかも知れないからな」
「恐ろしいことをおっし ....
こつこつ……
祭祀クーラスは、自室の机の天板を叩く。彼は今、一人きりである。
問題は山積みだった。このクールラントを導いていくということは、
ライランテ大陸の未来を見すえる、ということに他ならな ....
元々、ヨラン・フィデリコは、エインスベルの従卒のなかでは、
可とも不可とも言えないような、微妙な立ち位置に立っていた。
その集団の中の絶対王者は、アイソニアの騎士だったのである。
しかし、当のア ....
「この世界の真実、と言いましたか? ではやはり、このハーレスケイドは?」
ヨランは、一行の思いを置き去りにするかのように、性急に、矢継ぎ早に、
オーマルに尋ねていた。いつもの間抜けな調子は、
( ....
「人間の体?」と、ヨランは唸った。ヨラン自身も、人間ではない。
ドワーフである。ドワーフは、この世界に産み出された、最初の異種族だと言われている。
ヨースマルテには、元は人間しか住んではいなかった ....
「愛とは、はかないものです、騎士様。あなたは見たところ、
 騎士のようですね。違いますか? 勇猛果敢な人物だと見受けますが……」
「ああ、その通りだ。わたしは騎士だ。この身の名は……
 いや、通 ....
「この世界の理? ここがそれほど異質な世界だと、あなたは言うのか?」
居ても立ってもいられないといった様子で、アイソニアの騎士が尋ねた。
アイソニアの騎士は戦いには慣れている。しかし、謎解きのごと ....
「あなたがたはどこへ行くのですか?」と、その女は言った。
それは、女であったろう。少なくとも、三人の旅人はそう思った。
「これはこれは、ご丁寧に。あなた様がこの世界の案内役ですか?」
盗賊ヨラン ....
「どうやら、本当にお前に任せるしかないようだな、ヨラン。
 見ろ、あの雲を。あそこからは、何らかの建物が突き出している。
 このような世界、わたしは初めて目にしたぞ!」
感嘆の思いを隠せないとい ....
「協力者だと? それは、旅の伴を得るということか?」と、エイミノア。
「そうとも言えます。ですが、そうとは言い切れない面もございます。
 その協力者とは、わたしたちの味方とは限らないからです。
 ....
「さて、アイソニアの騎士様。わたしたちはこれから、とある場所へと、
 向かわなければなりません」勿体ぶったように、ヨランが言う。
アイソニアの騎士は、じとりとした目で、ヨランを睨む。
「うむ、そ ....
「ここはまさに、幽冥界なのだな……?」と、アイソニアの騎士が言う。
「ええ、そうです。しかも、通常の幽冥界とは異なります。
 わたしも、いくつもの幽冥界を旅して来ましたが……」とは、ヨラン。
「 ....
「旅は、まだ始まったばかりですよ? アイソニアの騎士様。
 そうは言っても、エインスベル様の命のことを考えれば、
 それほどのんびりもしていられますまいが……」ヨランが悩んだような表情で言う。
 ....
世界とは、常に変化流転しているものである。
いつかわたしが語ったように(わたしが一体何者であるか、
それはここでは、未だ伏せておくことにしよう)。この世界は、
三千年前に起こった「言語崩壊」によ ....
周りを見回せば、古代神殿のような柱。そして、空を見上げるような建物。
アイソニアの騎士は、(ここは我らが知っているような世界ではない?)
と疑った。それは、エイミノアにしても同じことである。人為的 ....
「アイソニアの騎士よ。あなたは、幽冥界というものについて、
 あまりにもよくご存じありません」アイソニアの騎士が何事かを言い出す前に、
盗賊ヨランは、まるでみずからがリーダーでもあるかのような、
 ....
「ここでございます」と、ヨランは、本の一角を指し示した。
それは、ヨランが背嚢から取り出したメモ書き、『ハーレスケイドについての報告』
という一冊の、一つの書物の、そして一つの考察の、
「ハーレ ....
「これは、ヨラン……」エイミノアは息を呑みながら、言った。
「あの牢獄の床に描かれていた文様なのか? わたしは気づかなかったが」
エイミノアは、焦っていた。この、エインスベル様の一介の従者、
臆 ....
「まず、アイソニアの騎士殿。あなたは、わたしを疑ってはなりませぬ。
 この旅が世界を変える旅だと、エインスベル様を救う旅だと、
 そのことをお忘れなさいませんように。もし、それを忘れたならば、
 ....
「{ルビ白墨=チョーク}を」と、盗賊ヨランは要望した。
その場にある誰も彼もが、と言っても、ここには三人しかいなかったが、
ヨランの唐突な物言いに、そして唐突な要望に戸惑った。
しかし、彼はそれ ....
「意外な人物だと? それはまさか、エインスベル……」アイソニアの騎士の心が騒ぐ。
「どうぞ、お焦りなさいますな。それは、エインスベル様ではありません。
 彼女の生存の如何は、この旅の結果として現れ ....
「ううむ」と、アイソニアの騎士は唸る。盗賊ヨランが、
ある種の決意を持って、この邸宅に忍び込んできたことは間違いあるまい。
しかし、彼の言うことが正しいとも限らない。この旅は単なる失敗に、
そし ....
「お前の言っていることはよく分からない。いつもそうだった。
 お前は単なる盗賊ではなく、賢者のような知恵を持っている。
 どこからその自信が現れてくるのか? この旅における目的と確信とは?」
ア ....
「わたしたちは、虹の魔法石を探そうとしております」ヨランが言う。
「エインスベル様は、この虹の魔法石によって、監獄に封じられているのです。
 わたしにも、実は確信はありません。これは一つの賭けなの ....
「ヨランよ。お前はいったい何を思っているのか。勝算はあるのか?」
アイソニアの騎士は、逡巡しながら、盗賊ヨランに問いかけた。
約束の二日間が、すでに過ぎていた。傍らにはエイミノアもいる。
人間と ....
「いいでしょう。行ってきなさい、アイソニアの騎士よ。
 アースランテ王朝の貴族の娘、イリアス・ナディとして、
 あなたに命じます。あなたのなすべきことをなしてください。
 この国、アースランテは ....
イリアス・ナディは、ほっと息をついた。
「それでは、あなた様は必ず、わたしの元に戻って来てくださるのですね?」
「ええ、必ずです。わたしにとって、女性と言える存在は、
 今ではあなただけなのです ....
「ははは。あなたの思われることは、杞憂ですよ。
 わたしは友人を救わねばならないのです。そして、
 必ずあなたの元へと帰ってきます。きっとです。
 そのころには……あなたはずっと大人になっている ....
「イリアス殿。わたしは決してあなたが思うような、清廉な人間ではありません。
 幾多の血を流して来ました。それは、正義の戦いとはほど遠いものだったでしょう。
 わたしは単なる傭兵なのです。アースラン ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
薄明の中で(三)- 朧月夜自由詩1*22-8-30
薄明の中で(二)- 朧月夜自由詩1*22-8-30
薄明の中で(一)- 朧月夜自由詩1*22-8-30
ヨランの挑戦(十五)- 朧月夜自由詩1*22-8-28
ヨランの挑戦(十四)- 朧月夜自由詩1*22-8-28
ヨランの挑戦(十三)- 朧月夜自由詩1*22-8-28
ヨランの挑戦(十二)- 朧月夜自由詩2*22-8-27
ヨランの挑戦(十一)- 朧月夜自由詩1*22-8-27
ヨランの挑戦(十)- 朧月夜自由詩1*22-8-27
ヨランの挑戦(九)- 朧月夜自由詩1*22-8-26
ヨランの挑戦(八)- 朧月夜自由詩1*22-8-26
ヨランの挑戦(七)- 朧月夜自由詩1*22-8-26
ヨランの挑戦(六)- 朧月夜自由詩1*22-8-23
ヨランの挑戦(五)- 朧月夜自由詩1*22-8-23
ヨランの挑戦(四)- 朧月夜自由詩1*22-8-23
ヨランの挑戦(三)- 朧月夜自由詩1*22-8-22
ヨランの挑戦(二)- 朧月夜自由詩1*22-8-22
ヨランの挑戦(一)- 朧月夜自由詩1*22-8-22
ハーレスケイドへの旅(三)- 朧月夜自由詩1*22-8-20
ハーレスケイドへの旅(二)- 朧月夜自由詩1*22-8-20
ハーレスケイドへの旅(一)- 朧月夜自由詩1*22-8-20
盗賊ヨランとの契約(五)- 朧月夜自由詩1*22-8-14
盗賊ヨランとの契約(四)- 朧月夜自由詩1*22-8-14
盗賊ヨランとの契約(三)- 朧月夜自由詩1*22-8-14
盗賊ヨランとの契約(二)- 朧月夜自由詩1*22-8-13
盗賊ヨランとの契約(一)- 朧月夜自由詩1*22-8-13
アイソニアの騎士の決断(六)- 朧月夜自由詩1*22-8-13
アイソニアの騎士の決断(五)- 朧月夜自由詩1*22-8-12
アイソニアの騎士の決断(四)- 朧月夜自由詩1*22-8-12
アイソニアの騎士の決断(三)- 朧月夜自由詩1*22-8-12

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