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アースランテの兵士たちは、その空間の裂け目に向かって、
次々と吸い込まれていく。その数、数百。
空間の裂け目は、虹色の球体のように見えた。
そして、徐々にその大きさを縮めてゆく。

数百名の ....
クールラントの軍勢は、連合軍の最後尾に陣取っていた。
これは、敵の挟み撃ちを防ぐためである。
しかし、敵は中央突破を図ってきた。なぜだろうか?
この戦場を、冷静に観察している者がいた。エインスベ ....
アースランテの兵士たちは、すでに九割ほどまでにその数を減らしていた。
「魔導士どもよ!」エリス・ガザンデが怒声を発する。
「クロノス・アリ・アランの呪文は使えるか? 敵兵だけにかけてほしいのだ」
 ....
アースランテ軍の頭上からは、炎の塊が降ってきた。
これは、ゼークト・ウラガ・ザインという範囲魔法である。
この魔法が命中する度に、数十名の兵士たちが犠牲になっていく。
「全員、走れ! 乱戦になれ ....
「ルブルス河の南岸には一万の兵を残せ。しかし、
 自ら砦を出てくるとは。敵には勝算があるということか?」
エリス・ガザンデは舌打ちしながら言う。
それに対して、シュティンガルトは淡々と告げる。
 ....
しかし、その使いは少々遅すぎたと言って良いだろう。
シュティンガルトは、エリス・ガザンデの御前に来て言った。
「敵本隊は、ヒスフェル聖国の軍団とともに、ナハテ・ガルの砦を
 出陣した模様です。そ ....
北辺に敵はいないようだった。そして、工兵たちは優秀だった。
およそ半日ほどで、いかだの橋を作り上げたのである。
そして、三時間ほどで全軍が向こう岸へと渡り終えた。
その間、敵の攻撃がなかったのは ....
連合軍の敷いた多重結界が消え去ろうとしていたころ、
アースランテの軍団では、隊長会議が開かれていた。
そこに集結していたのは、軍団長であるエリス・ガザンデ、
千人隊長のゴゴイス・リーゲ、アラス・ ....
憔悴しきっている、ラゴスとクールラントの兵とは違って、
アースランテの軍勢は活気に満ちていた。何より、
首都から二万の援軍が到着するというのである。
これは、ラゴスという国家を一網打尽にするチャ ....
戦いの場においては、一分一秒の判断の差が、
生死や勝敗を左右することがある。「今がその時だ」と、
アースランテの総司令官エリス・ガザンデは思った。
多重結界を目にして、あれは何かの罠ではないかと ....
「あなた。祭祀クーラス様からの伝令が参っております」
クシュリー・クリスティナは、臍を噛んでいるエイソスに言った。
「何。伝令だと? どのような内容なのだ?」
「それは分かりません。書類を託され ....
その少し以前。すでに述べているように、クールラントの実権は、
{ルビ祭祀=ドルイド}であるクーラスに握られていた。
祭祀クーラスは、祭祀会議に議題をかける。
それは、これからの遠征軍をどうするか ....
連合軍不利の報せは、クールラントの国にも入ってきていた。
戦士エイソスは、地団太を踏みながら叫ぶ。
「負け戦、負け戦、負け戦……。我々はいつまで我慢すれば良い?
 本当に我が軍が動かなくても良い ....
「オスファハンは我を裏切ったのか……」ハッジズは唸る。
「彼とて、聖王の命令には従うしかなかったのでしょう」
侍従長ドラガスは、慎重に言葉を選びながら言った。
「今、ライランテは混沌としている。 ....
そのころ、アースランテの国内では、民兵たちが
正規兵として招集されていた。その数、約二万五千。
ハッジズ・ア・ラ・ガランデはゆっくりと息を吐く。
「これで、ファシブルからの軍勢は足を止められるだ ....
「それより、ヒスフェル聖国からの兵の数は五千だと聞く。
 本当にそれでアースランテの軍勢と戦えるのか?
フランキス・ユーランディアは憎々しげに呟く。
それに対して、エミル・アザルはかすかな笑みを ....
「汝は誰か?」フランキス・ユーランディアは訊いた。
「我は、軍国ラゴスの正魔導士、エミル・アザル」
「それがアイソニアの騎士とどういうつながりがあるのだ?」
「わたしは一度アイソニアの騎士を取り ....
そのころ、クールラントの聖騎士フランキスは、
一人たたずんでいるエインスベルに声をかけていた。
「アジェスの森では、アイソニアの騎士には出会えなかったな。
 いつ、今生の別れになるとも分からぬぞ ....
「敵の攻撃が止んだだと? 一体何が起こった?」
アースランテの軍団長、エリス・ガザンデは叫んだ。
それに対して、一兵卒であるシュティンガルト・デイが答える。
「は。敵は退却を始めた模様です」
 ....
その前日、「ナッチ・アカリ」と呟くと、部屋の照明が灯った。
オスファハンは一人呟く。「兵士の数は問題ではない。
 問題は、どこまで勝つか、勝たないかなのだ。そのためにこそ、
 このヒスフェル聖国 ....
「撤退だと? まだアイソニアの騎士と一撃も交えていなというのに!」
フランキス・ユーランディアは、足元の小石を蹴りながら、憎々しげに言った。
「はい。そういう命令です。ユディアス・ガーランドが後陣 ....
ヒスフェル聖国からの早馬が到着して報告し終えた後、
カイザー・ネルの側近の一人が言った、
「小生に一つ考えがあるのですが、発言をよろしいでしょうか?」
「なんだ。なんでも申してみよ」カイザー・ネ ....
アースランテからの援軍が出発したという報せは、
半日ほどで双方の軍団にもたらされた。
アースランテの兵たちが活気づいたのは言うまでもない。
一方で、ラゴスとクールラントの軍勢は焦慮した。

 ....
アースランテからの援軍と、ヒスフェル聖国の軍団が
出立したのは、ほぼ同時刻だった。
それぞれの起点から、アジェスの森までは、約二日の距離がある。
アースランテの援軍は、「豹の足」の呪文を使った。 ....
「よし、アースランテには宣戦布告の早馬を使わせ。
 そして、ラゴスとクールラントの軍には、
 我が軍が共に戦闘に参加する、ということを伝えよ」
オアシム・ラ・ハグールは威厳に満ちた声で発語する。 ....
「まず、クールラントとラゴスに不足しているのは、
 歩兵と騎兵の数です。しかし、これは問題ないとも言えるでしょう。
 我が国からは、五千ほどの歩兵と騎兵を派遣すれば良いかと思います。
 問題は魔 ....
オスファハン・ラ・フェイブルは聖王の御前に立っていた。
膝を屈して、聖王オアシム・ラ・ハグールへの恭順の意を示す。
「今日、そなたを呼んだのは、他でもない。
 ヒスフェル聖国の今後のことを聞くた ....
アジェスの森における戦況は、ヒスフェル聖国の聖王である、
オアシム・ラ・ハグールの耳にも届いていた。
早馬の報せによれば、ラゴスとクールラントは苦戦をしているという。
クールラントはともかくとし ....
そのころ、アースランテの王ハッジズは逡巡していた。
「帝都を守っている兵士を、援護に向かわせるべきか」
アジェスの森での戦況は、早馬によって半日ごとに報されていた。
それによれば、双方の軍隊とも ....
アイソニアの騎士も、エインスベルも、
アジェスの森の戦いでは、脇役の一人にすぎなかった。
主役は正魔導士たちと、前線にいる兵士たちだった。
それにしても、この戦いは激しい。

エインスベルは ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
連合軍の反撃(十五)- 朧月夜自由詩1*22-5-5
連合軍の反撃(十四)- 朧月夜自由詩1*22-5-5
連合軍の反撃(十三)- 朧月夜自由詩1*22-5-4
連合軍の反撃(十二)- 朧月夜自由詩1*22-5-4
連合軍の反撃(十一)- 朧月夜自由詩1*22-5-4
連合軍の反撃(十)- 朧月夜自由詩1*22-5-3
連合軍の反撃(九)- 朧月夜自由詩1*22-5-3
連合軍の反撃(八)- 朧月夜自由詩1*22-5-3
連合軍の反撃(七)- 朧月夜自由詩1*22-5-1
連合軍の反撃(六)- 朧月夜自由詩1*22-5-1
連合軍の反撃(五)- 朧月夜自由詩1*22-5-1
連合軍の反撃(四)- 朧月夜自由詩1*22-4-29
連合軍の反撃(三)- 朧月夜自由詩1*22-4-29
連合軍の反撃(二)- 朧月夜自由詩1*22-4-29
連合軍の反撃(一)- 朧月夜自由詩2*22-4-28
ヒスフェル聖国参戦(十三)- 朧月夜自由詩1*22-4-28
ヒスフェル聖国参戦(十二)- 朧月夜自由詩1*22-4-28
ヒスフェル聖国参戦(十一)- 朧月夜自由詩1*22-4-27
ヒスフェル聖国参戦(十)- 朧月夜自由詩1*22-4-27
ヒスフェル聖国参戦(九)- 朧月夜自由詩1*22-4-27
ヒスフェル聖国参戦(八)- 朧月夜自由詩1*22-4-26
ヒスフェル聖国参戦(七)- 朧月夜自由詩1*22-4-26
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ヒスフェル聖国参戦(五)- 朧月夜自由詩1*22-4-25
ヒスフェル聖国参戦(四)- 朧月夜自由詩1*22-4-25
ヒスフェル聖国参戦(三)- 朧月夜自由詩1*22-4-25
ヒスフェル聖国参戦(二)- 朧月夜自由詩1*22-4-24
ヒスフェル聖国参戦(一)- 朧月夜自由詩1*22-4-24
アジェスの森の戦い(十三)- 朧月夜自由詩1*22-4-24
アジェスの森の戦い(十二)- 朧月夜自由詩1*22-4-23

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