薄明の中で(四)
おぼろん

何かを思いついたように、クーラスは叫んだ。
エイソスと言えば、クーラスが妖精ファロンを使って、
アイソニアの騎士に対して反発するように、仕組んでいた者である。
その試みは必ずしも成功したとは言えなかったが。

だが、戦士エイソスには未だにアイソニアの騎士に対する
不信の念が残っているのではないか、とクーラスは思うのだった。
「しかし、エイソスがエインスベルを倒せるかどうか……」
「倒すのではありません。殺すのです」フフリナは表情を変えずに答える。

「お前は残酷なのだな、フフリナ」クーラスはまじまじと彼女を見つめながら、言った。
「女は残酷ではありません。残酷なのは、殿方たちです」
「同じことだ。男は女のために残酷になれる……だが?」

クーラスは不意に考えこんだ。エインスベルの死刑のことは、
アースランテにも伝わっているはずだ。もしも、再びアイソニアの騎士を利用できるとしたら?
「これは、面白いことになりそうだ」クーラスは、そう囁いてほくそ笑む。


自由詩 薄明の中で(四) Copyright おぼろん 2022-08-31 00:36:53
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クールラントの詩