クソつまらない日常
クソダメの中に埋もれて
息も絶え絶えだ
少しの快楽に頼るか
見え見えの偽善に頼るしかない
俺たちはもうとっくのとうに
終わっているんだぜ
生きているってのは
....
二〇一六年十二月一日 「不安課。」
きょうは、朝から調子が悪くて、右京区役所に行った。
なぜ、調子が悪いのか、わからなかったので、とても不安だった。
入り口に一番近いところにいた職員 ....
境目が淘汰されて
すべてはグラデーションになる
曖昧さは受け入れられ
器は広く広く浅くなる
明るくなりすぎた夜のように
影はぼんやりと甘く
この輪郭を脱ぐ術を
探している
....
二〇一六年十一月一日 「いやならいやって言えばいいのに。」
えっ
まだ高校生なの
そういえば
なんだか
高校生のときに好きだった
友だちに似てる
あんにゃん
って ....
夏の夕暮れの
そこは片隅
母の白い指のすきまから
転がり落ちた
ひとかけらの氷のゆくえを追った
蝉の声が遠のく
逃げていく蟻の触覚
氷は崩れ、いつか傾く
音もなく
あとかたの水
....
面倒くさがればいいんだろうと投げやりに思っても、眠れるかどうかはきりんの首が長くなってしまった偶然と同じくらいきらめいている。眠れませんでした、って日記に書いたとしても、それでもじゃあいつかは寝ている ....
風や街、ビル、文字、感情はあり、
選ばれたものと、選ばれていないものが
ひと筋の線で隔てられる今日、
たしかに時間も空間も存在し、
ざらざらと触れることさえ出来る
空の自動販売機、乾 ....
二〇一六年十月一日 「至福の二日間」
きのうと、きょうと、ずっと横になって寝てた。お茶をひと缶のんだだけ。いっさい食事せず。ただ眠っていただけ。しかし、まだ眠い。睡眠導入剤が強くなって、し ....
五月二十六日、伐採した木が跳ね、左腿を痛打した。骨折は免れたがひどい打撲に悩まされ、丸四日休んだ。その後復帰したが、膝は痛くて曲がらず、その不具合な足で、やらなければならない登山道作業や林業作業をこ ....
離島に夏がくる
隣の猫は人間になりかかってきた
この忌まわしい季節には
神経節細胞の痛みだけが秩序ある情報なのだ
ぼくの離島は温存されて
真夜中に大陸とひそかに交信する
部屋のAI ....
二〇一六年九月一日 「断酒」
FBで、しじゅう poke される方がいらっしゃるのだけれど、正直、返事が面倒。すてきな方なので、「poke やめて」と言えないから言わないけど。
9 ....
緑をちぎって
すずしくわらってる
それなのに
きみの手は
熱いお菓子みたいな
においがする
なんにちも なんにちも
焦げついて
ただれるよ
二〇一六年八月一日 「胎児」
自分は姿を見せずにあらゆる生き物を知る、これぞ神の特権ではなかろうか? (ミシェル・トゥルニエ『メテオール(気象)』榊原晃三・南條郁子訳)
二 ....
それから
足りないものを
探して
どんな決まりも守らなかった
そして
小さな指輪が取れなくなった
どこから帰っても
この部屋の窓からはなにもみえない
割れた備前焼の茶碗が
....
おととい 小さなせせらぎを見つけて
家に帰ると
網戸に黒い揚羽蝶がとまるのを見つけた
そして
蝶も私を見つけた
気配の優しさ
遠い記憶の静かな切なさ
完璧な蝶の姿で
再び会いに来てくれ ....
「よぞら」
星のひかりとぬくもりを
お湯に照らした星たんぽを
かぜをひいているあなたの
足元に
しのびこませて
消えていく
のを、桜の花びらを
鼻にひっつけてしまった
黒 ....
彼女は言った。
「クジラは空を飛ぶ魚だよ」
その通りだと思った。
*
恋をしていたのか、と聞かれたら
そうだ、と答えるだろう
けれど、恋を引き算したところで
クジラは ....
二〇一六年七月一日 「ヴィーナスの腕」
コンクリート・鉄筋・ボルト・ナットなどなど
構造物の物質的な素材と
温度や重力や圧力や時間といった物理的な条件や
組み立てる技術や出来上がりの見 ....
越冬のことはなにもいえない
あれから僕の身体には青空が広がっていて
雲もない
なにもない
誰にもなにも
いいたくなくなってから
人の言葉が
まるで湖のようにきこえる
僕は両手を
....
西中学校の数学の先生が
江田先生だった
特攻隊の
生き残りっていう噂があって
トヨタのパブリカに乗って
丘の上の校舎に向かう
前屈みになって
ブルドックみたいな顔で
ハンドルを ....
かくれんぼでもないのに
おしいれに入る
大人になった僕だって
泣きたい日はあるから
おしいれに入る
布団の柔らかい重み
心地よい苦しさ
そのうち僕は
安心して眠ってしまう
....
二〇一六年六月一日 「隣の部屋の男たち」
お隣。男同士で住んでらっしゃるのだけれど、会話がゲイじゃないのだ。なんなのだろう。二人で部屋代を折半する節約家だろうか。香港だったか、台湾では、同 ....
猫のように見上げる
空のまだらを
鳥に擬態した
ひとつの叫びが
紙のように顔もなく
虚空をかきむしる
骨の海から引き揚げた
もつれた糸のかたまりを
自分の鼓膜にしか響かない声を持つ ....
クジラの胃の中で溶け始めたような、そんな朝だった。朝になりきれない重い空気の中、歩き出す。歩くことに違和感はないが、いたるところが錆びついている気がする。明るい材料は特にないんだ。アスファルトの凹ん ....
ひどいもので、昨晩午後七時過ぎに眠くなり、そのまま朝の三時頃まで眠ってしまった。読みかけの本はわずか一ページしか読まないうちに眠りの世界へと入っていったのである。当然、朝は早くなる。尿意で目覚め、時 ....
二〇一六年五月一日 「叛逆航路」
お昼から夕方まで、『The Wasteless Land.』の決定版の編集を大谷良太くんとしていて、そして、大谷くんと韓国料理店に行って、居酒屋に行って、 ....
世界のことなんて
次でいいよ
つよくなる夢と濡れてく体
寝そべって目をあけて思い出を忘れていく
いい感じに傾いた
記憶を引き剥がしてさ
錆びた鋏みたいな
つまんないものばかり目に ....
新しい住居には新しい生活の角度と密度がある。そして空気の中で鳴る音がすべて新しい。新しい住居に越してくるとき、引っ越しをほぼ一手に引き受けた私は疲労から風邪を引いた。風邪は水のように満遍なく妻をも満た ....
二〇一六年四月一日 「愛のある生」
愛のある生
それが、ぼくのテーマだ。
「生」とは
いのちの輝きのことだ。
しかし、嘘は、すばらしい。
人生を生き生きとしたもの ....
かつてこの星には100万の
小世界があった
1億の集落と1千の都市国家
黄金の旗がなびくここちよい風が
すべてのサーガがいまでも生きている
きみは英雄でもなくパーティーもなく
大河 ....
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