外付けの
鉄階段を
カンカンと
錆び付いた音
夕暮れの音
テーブルにこっそりと封筒が届いた
茶色い養生テープがしかつめらしく巻き付けてあった
テープを剥がしてねちゃねちゃ丸めたが
丸めるべきは封筒であったかもしれない
危険なものは遠ざけておくように
....
母
触れることが
ないのであれば
なくことはなかった
どんなに言葉を尽くしても
そこには夜があるばかりで
ひろわれるもの、ひろうもの
いず ....
ある日の繊細さが
風鈴の音の揺らぎで夏を作り出したように
きっかけという名を
古ぼけた電話帳で探したときに
故郷につながる道の霧が晴れていった
生まれてきたという引き金は
生きてきたと ....
風渡るせせらぎ
岩の割れ目から這い出て
木陰を気ままに歩く
わたしは沢蟹
と
のびる手
捕えられ
器に入れられ
なかまとどこかへ連れられ
いつしか明るい照明の下
隠れることがで ....
何処か遠く彼方から
子供たちの声響く夕暮れに
缶カラからから転がっていく
風もない 人もいない のに
からからからから転がって
グシャリひしゃげる 銀の乱反射
無数の記憶の断片が
ぱ ....
秋のために
まもなく泣いてしまう
青と黄色の皮のみかんは
実は通常の色をして
雲は薄く綿を広げたみたいになるし
止めどなく移り行くんだ
新刊が次々と夜長を煽り
星座のように配置されていく ....
真面目なあの人を笑わせたい
そう思ってたくさんの嘘を用意した
花を摘むよりも簡単
お箸を並べるよりも
宇宙人の話は全然だめで
にこりともしてくれない
幽霊も金縛りもだめ
好きなものを知ら ....
{引用=リバーシブル}
雨の{ルビ詳=つまび}らかな裸体と
言葉を相殺する口づけ
水没して往く振り子時計閉じ込められて
中心へ落下し続けるしかない時間
1095桁のパスワード
{ルビ木通= ....
211
おはようって
誰かが誰かを愛する事と同じように
金色の穂が夕陽に輝くように
212
裏の用水で彼岸花を見たよ
と言っても
きっとそれどころじゃない
....
明け方に雨は上がり、比較的安定した天気予報であることを確認し家を出た。しかし、誰もいない登山口には未だ霧雨が降り、いやおうなしに雨具を着ることになる。この暗黒の迷宮に向かうような心境というのは、言葉 ....
母は、
なまえはつけないほうがいいよ
と冷蔵庫にむかって
言いつづけた
寝ているときは
ずっと怒っている
車をひっくり返し
おとこを犯し
ベランダに放火し
エレベータ ....
あー
ギター弾いて歌ってると
空っぽになるなあ
あたしの身体にサウンドホールが空くんです
寂しかったら
ここに飛び込んでおいでよ
鮮烈な響きに身を震わして
泣けばいいよ
君のこ ....
・
コーデュロイと10回唱えれば秋となる。
デュの発音、決して油断なさらぬように。
・
古着屋のお兄さん、元気かな。
首筋に、五芒星の墨の入った。
・
MA―1を着た ....
とてつもなく深い闇がやってきそうな夜
私たちはたがいに嘆き悔やみ
とりもどせない時間を語った
テレビはあいかわらず五月蠅い番組だらけで
MCの甲高い声だけが鼻についた
声帯をナイフで ....
{引用=幼恋歌}
暑さ和らぐ夕暮れの
淡くたなびく雲の下
坂道下る二人連れ
手も繋がずに肩寄せて
見交わすこともあまりせず
なにを語るか楽しげに
時折ふっと俯いて
風に匂わす花首か
....
許されるならば
喜怒哀楽の頁にはさみこんだ
しおりをほどき
薔薇のトゲのように
愛は血まみれの行為であったと
旅立つひとに告げたい
愛は規範をもたない
むくんだ背すじに頬をあてて ....
約束だとおもって
ちゃんと5時に来た
新南口に
だれひとりやってこない
犬もこないし
鳥もこない
なんだよ
かわいい嘘じゃん
それでわたしは考える
拾われなかった小石や
打ち寄 ....
エアコンを休ませる必要があって
曇りの内に急ぎ窓を開けています
風は無いので
雨粒を受けているかのように木々は震え
小鳥の声も運ばれて来ません
海鳴りに似た電車の音が行っては引き返し
時を ....
美しい青と真っ白な雲を
もう幾度も受け流して夏が
終わろうとしている
なし崩しに雨が続いたり
雷に眠れなくなったり
虹や変わった雲より飛び抜けた何か期待して
がっかりして泣くんだ
翻弄さ ....
とても間違った言いまわしが
ひとに伝わってしまったとしても
とてもお気に入りの財布が
型崩れしていくように
しょうがないことだ
人はエンジンのまわる間は
やすみなく動き廻って
....
「本日、登山道の除草をしています。御注意ください」、と、コピー用紙にマジックで手書きしたものを車のサイドガラスに貼り付けたのは朝の五時五〇分。その後今季初の登山道の除草に分け入った。
八月中に廃 ....
きみがちいさな黒点につまづいて
細く伸びてみたりさらに縮んでみたり
右手の過去と左手の未来を見比べているころ
困り顔で時間を凍らせたきみによりかかりながら
星たちが残していった虹を見ていたよ
大人は意外と幻の存在を知ってる
自分だけわかっていれば良いと
納得しているから口を噤む
いくつもの不思議を重ねて
君は大人になったから
何もおかしなことはない
細かく震える肌もまた
....
網戸の向こうには、山岳の稜線と薄明るい空がはざかいを浮きだたせている。草むらではコオロギなどの虫の音が、凌ぎやすい朝のうちにと盛んに音を紡いでいる。朝の涼風が頬にあたり、ひさびさのインスタントコーヒ ....
国道で
風上に向かって泳ぐトンボをみた
光の隙間を
上流に向かうメダカのように
少し斜めに傾いて揃って空を見上げる街路樹
一斉に翻る木の葉
光を透かして揺れるエノコログサの長い ....
誰かに代替わりする夢だった
代わってあげてもいいが
あのひとは男
女の身体に入ってやっていけるのか
打ち合わせ無しにひょいっと
入れ替わって
私が消えて完了する
完了する
私が終わ ....
星の刻
ぼくは砂漠のトカゲで
歩き疲れたラクダは銀河を見ていた
水溜まりにはジュラ紀の鬱蒼が
ネアンデルタール人の女の子とも恋をして
{引用=弄ぶ時流のうねり
倦むことなき鍾 ....
書くことは思考を連れてくるから、たちどまってはいけないのだ。
季節や天気のせいにした動かない体を冷やして、信号を入力する。
花のことから書こうと思う。
ま夏の花びらたちのこと。さえた緑の ....
ここ二〇日ほど勤務や家業で、休みなしに働き、体に違和感を感じていた。
朝方、今日の弁当は?と妻に聞かれた。十三日から開始した登山道・あるいはその周辺の除草作業だったが、そのきつさや膨大な作業量を ....
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