まっ青に晴れた空の下
うなりをあげた風と共に
ちょっと前の未来からやってきた
小さな落下傘部隊が
地上に舞い降りてくるけど
今しか見えないにんげんには見えていないらしい
彼らは透明の弾を連 ....
何が自分にとって悪いのかわからないです、と言った、何が起こるのかわからないから、物事が起こってから対処するしかないんです、とも。カウンセラーは、少し考えて、あなたの中で何が起こっているのかを検証す ....
マガモがシベリアからやってきてはにぎやかに鳴いている
人造湖に多くの渡り鳥達が群れていた
赤い大きな橋のたもとにあった古い山小屋旅館は解体されて
長い年月に蓋がされた
昨日今日、ほぼ今年最 ....
実としずくは出会い
抱擁し
いま互いを手放した
実は朱く燃え
しずくは銀光を放ち
確かに交じり合い
なにかを残し
なにもかも忘れ
雨はみぞれに変わり
鼻孔に冬が立つ
も ....
詩は果てる?
男じゃあるまいし
じゃあ 言葉は気持を超えられる?
女じゃあるまいし、むりだよ
そんなことより
そんなことより眠っておいで
寒くてみじめで、女で男で、大きくて小さくて ....
夜の街燈はいつも
何かを考えている
光を灯すだけでなく
決して暗いことばかり
考えているわけではない
夜の街燈の思考が閃いて
宇宙が一輪の花になる
あまりの果てしなさに
自分の孤独を感 ....
調律をしをえたばかりの
おとぎばなしは
こぢんまりとした
こどもの耳の中で
ふたたび輝く
なまえのない宝石を
空にかざす
君がなまえをつけてくれ
ささくれたブランコに留まる
....
お客さま
対応という
アナウンス
師走に向かう
夕焼けとかさ
好きな人
のことでもふと
思い出した
ふりでもしてさ
穏やかにゆけ
....
まあ
じっさいに、熊の被害に遭われた方には
申し訳ないのだけれど
熊のフリー・ハグに注意!
きょう
きゃしゃな感じの三人組の青年たちが
フリー・ハグのプラカードを胸にぶら下げて
....
ぼくが20代の終わりくらいのときやったかな
付き合ってた恋人のヒロくんのお父さんが弁護士で
労災関係の件で、それは印刷所の話で
「年平均 6本」とか言っていた
紙を裁断するときに指が切断された ....
朦朧としながら喉を焼かれるような、茫漠と激烈を行き来する神経、剥き出しかと思いきや硬い殻の内側に居るのだと言われ、それなら私の言葉は一体、誰に届くというんですか。「でもその殻が少しずつ薄くなってい ....
大福の舌打つ甘さ稲光
秋逝くも大福食うてのんきかな
大福の豆噛み殺し菊供養
品切れで焼き芋を買ふ焼き芋屋
焼き芋や思ひ出はみなほの甘く
この小銭さて豚まんか焼き芋か
....
九月末にカメムシ防除の消毒をしてもらうのだが、あいかわらず彼らはその予防線を突破し室内に入り込むのである。しかし、彼ら自体の悪臭と薬物の作用でほとんどの単体は家屋に侵入後絶命、若しくは瀕死の状態で仰 ....
朝、コンクリート塀の中で泣いている天使が
電線から垂れる浅葱色の
雨粒で僕を起こしてくれた
僕は宇宙を蹴ろうとしていたけれど、
朝は宇宙とは何の関係も無かった
その頃(いや今も)僕は ....
選挙に行く動機は不純
投票用紙のあの書き心地
その快感を味わうためだけに行く
普通の紙では駄目なのだ
あのユポ紙ならではの魅惑
なるべくゆっくりと丁寧に書く
嗚呼 ....
昨夜は皿のような月が出て
そこにおだんごが乗ってたら
なんて
月を手のひらに乗せてみる
だいすきだよ
だいすきだよ
あなたがくれた
とうめいな指輪
くるくる回っている
....
書くことがたぶんいっぱいあると思う、言いたくもないごめんねとか、合わせたくもない予定とかと同じくらい
がたがた震えて、この震えがなんのためかわからず、あれこれ手をつくしても、わかっているのは、ち ....
濡れそぼつすずめらが
低い枝から隣家の庭先へ消えた時
わたしは「あわれ」を見なかった
ただチュンにチュンを重ね
チュンの間と強弱で言い尽くす
すずめらの韻律は人より力強く
雨音と斬り結び ....
目が覚めると異様なほど口中の渇きを感じることがある。一滴ずつ唾液腺から舌で唾液を促し、口中の渇きに唾液を塗りたくる。いったい俺の体はどうなってしまったのだろうか?そんなことを最近感じる。
鏡の中 ....
眠、覆い、考えられるかぎりのイメージ、それから細いタイヤ、太いキーチェーン、議事録、半円状の、氷、「実際よりすくなく感じられる」
どれくらい必要だろう?
どれくらい必要だろう、遠くなってい ....
あしを鳴らすような、とい、とい、とい。
物語みたいな顔 眠たい午前、単純な変換作業
(領収書をとっておいてね)
わたしは手を鳴らして、熱いあたまを
とい、とい、とい
くまのついた手提 ....
描き出すもの
愛も欲望も全部絡まっていて
──Grapevine
赤とんぼ夕陽と共に籠に入れ
虫の音やそのお姿は置いといて
名を知 ....
窓の外は雨あがりの道端に
もう夏が振り向きもせず
透けた背中をみせている
昨晩干した洗濯物の柔軟剤が香る室内で
好きな音楽を聴きながら
刻み始めるキャベツ
レッ ....
めずらしく熟睡したようで、うっかり二時四十五分の目覚まし時計を停めてしまい、気がついたらすでに三時を過ぎていた。あたふたと準備をし、食後に飲む薬をポケットに忍ばせ、慌てて大便をする。洗顔、寝起きのス ....
何回だって言うよ 世界は美しいよ
君がそれを諦めないからだよ
──羊文学
変はりゆくその柿の木も遊ぶ子も 🍅
移りゆく柿の木もまた遊ぶ子も 🍅
....
正解は今僕が変えてみせるから
──羊文学
夏祭り夢見て帰るおんぶかな 🏇
油断して気付けば大人ソーダ水 🧋
裕次郎部下もいろんなサングラス 🕶️ ....
きみが夢をみているあいだ
僕は街中のあかりを消してまわる
きみがジェラートを食べているあいだ
僕は南のほうから暖かい風をつれてくる
きみが泣いて泣いて濡れているあいだ
僕はあたらしいハン ....
かんたんなことに躓いたときにもうだめだって思う。難しい計算が解けなくてもぜんぜん平気だけど、卵をうまく割れなかったらもう死んじゃうって思う。ベランダの植物を枯らしてしまったら生きてる価値がないと思 ....
たしか午前一時半ごろであっただろうか、稲光りとともに強い雨と強烈な尿意で目が覚めた。
昨晩は客の膳が遅くなり、床に入ったのは八時半ごろであった。まさか一時半から起きるわけにもいかず、少しでも眠れ ....
わたしは病院に行く用事をひとつ飛ばして、ろくでもない約束のために着飾っている。意味のないこと、何にもならないこと、だけどそうするよりほかないこと。駅のパン屋は混んでいる。ここには気持ちよく声をだす ....
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