秒針が力なく明日を告げる、残骸だらけの街を抜けていくと海があるはずだ
けれどもあなたは空気の抜けた風船、口づけても口づけてもすうすうと抜けていく
今日のために買った靴を捨て 鞄を捨て 指輪を捨 ....
 あの……おれ、夢見るんですよね、海の。ときどき夢のなかに海がでてきて、おれはサーフィンやってるんです。でっかい波にのってると、そのままヒューッて空に飛んでっちゃったり……あと……パイプ・ラインのなか .... 日曜日の夕方
猛暑です
私がどこで何をしていても
ここは猛暑です

この世に参加して随分経ちました
参加賞を貰いましたか
まだですか
もうぼろぼろですがいつもポケットに入れています
 ....
願いが叶わなかった日
遠く、命の向こう側から聞こえてくるのは
ニイニイゼミの声
毛穴から染み入り、毛細をとおって
脳内に聞こえてくる

頭上を爆撃機がかすめて飛んでいた
なのに街は箱庭の ....
灰青色のかなしみが
時計の針にまつわるので
空気が気怠さを増してゆく部屋で

六月の似合うそのひとを
あなた という二人称に委ねないために
窓外に滲むあじさいを
しずかにただ眺めていた
 ....
電気ポットの内側に、「ここまで」という表記があり、いつもそのずっと手前までしか水を入れられない。なぜきちんと水を満たさないのか、と言いながら、夫がコップから水を注ぎ、ぴたりと「ここまで」に合わせて .... 雨は降ったり止んだり降ったりで
四季のある国のひそかなもうひとつの季節

室内干しの洗濯物
取り込むまえに
ちゃんと乾いているだろうか、とさわってみる

乾いているようにみえても
繊維 ....
このまま、眠らないでいると
うす紫の夢を見るじゃん
嘘のつがいが 空を
飛ぼうとするじゃん
飛ぼうとして、飛べなくて
それでもいいかって笑うから
嘘の全部が 愛になっちゃうじゃん

 ....
 夜

月明り
独り暮らしが始まっていた
絶望も希望も寝静まり
生活が一つ転がっている

 朝

目が覚めて思う
生きていた
しかも快晴だ
何にもないので
布団を干した

 ....
膿を出すためにいくつかの手順を踏まなければならなくなっていて、それは醜い祈りだ。
耐えられない寂しさのために何かを傷つける必要があると信じている。

愛しいものははっきりしている、傷つけては ....
気がついてみると、あの頃にようには心や脳
が動かなくなったのか、とかなんとか。そん
なことはないはずで、身体と心のあちこちが
ゆるんで、ちょっとやそっとしたことなんか
で胸が高鳴り、涙を流して ....
歯医者さんの窓
いい天気
ぽかんと待ってる

歯に穴があいた僕は
言われるがまま
口をあけて

何か詰めてもらった
もう食べても大丈夫
治療は次回から

外に出たらギラギラお日 ....
拡がりが
拡がりを飲み込んで行く

私は 母の形をした服を着て
熱い、熱いと泣いている拡がりを宥める

いったいもうどんなかたちをして
街を許したらいいのか
どんなかたちをして 乞 ....
子供たちが整列をしていた
何をしているのだろう、とよく見ると
整列をしていた
身体の隅々にまでしみわたる雲のように
なだらかで滑らかだった
透明な水を植物にあげて
話すことなどもう ....
桜が散り 紫陽花が褪せ 沙羅の花がひらいた
ひと息のあいだに
あなたの背中が 広くなる
投げ込まれる目くばせに
くすくす笑いの小波に
あなたたちの髪は 伸びていく

結んで結んで ....
それは凄くて 彼の胸は貝がらだ
完璧な夏に 投棄された貝がらだ
涸れないことをほめるのは
ただ軽蔑するのと一緒だ

彼は{ルビ薬匙=やくさじ}を咥えさせて
蛇も寝なさそうな夢を明か ....
ホームセンターで
小さな紙袋に入った花の種を買い
土を入れたふかふかのプランターにまいた
ねずみ色の日々の傍らに
きれいな花を咲かせたかったのかもしれない

庭のひなたに置いたプランターに ....
子が産まれる、とわかって、
しっかり喜んでみたのだが、
まだ、わからないのよ
そうか、まだわからないのだ
無事に産まれてこない胎児たちもいる

産院の、陽がよく入る待合室
お腹の大きな妊 ....
夜の雨は何かを伝えようというのだろうか
泡立つように一つの感覚が芽生えてはうなだれ
いつもように日々が過ぎていくのを
僕は目を少し開けては眺めている
昨日少し生まれ変わり、風の子供の歌を聴いた ....
 輝いた肌を白シャツで包み
 黒い目を持ち
 広い肩を持ち
 その人は今日
 目の下や口の周りに軽い擦過傷があり
 絆創膏を貼っていました

 柔道部に所属していて黒帯なのは知っていまし ....
あ、風くる、風くる、土曜日の公園で急に磁石のように方角をかえて真鴨の黄色いクチバシのように極端に長い、先の尖ったヘルメットが思わずぼくの眼球にぶつかりそうになる。そんな被り物をした一人の中年のメガネ男 .... ビスカッチャになった私は
眩しそうに目を細めている

ただ ひと目でお疲れなのだろうと分かる
それがなんとも言えない いい味わいなのだ

植えたばかりでも
水田では風を見ることができる
 ....
幼い頃から崖があると
覗き込む癖がある
特に興味があるわけではなく
崖の下に何があっても
それはそれでよかった
街中
路線バスの中
会議の最中など
崖はいたるところにあって
時々 ....
 コーヒーを飲み終えられたベルゼバブさまは、机の上に置かれたアルコールランプを手元に引き寄せられると、指を鳴らして、火花を発して火を灯されました。すると、ベルゼバブさまの前に坐らされておりました老人が ....  
 ボードレールの作品世界に通底している美意識は、詩集『悪の華』(堀口大學訳)に収められた詩の題名によって捉えることができる。たとえば、「不運」、「前生」、「異なにほひ」、「腐肉」、「死後の悔恨」 ....
東京SK駅から北東約十分
明日にかかるプールバーで
転がる玉を見ている
すべての始まりはそこで
やがて
花火の夜に散るように
マイクロバスから
あせた国際色が帰る宿
すべての始まりはそ ....
ねーもし美容院がプールだったらどーする?(水着きて行くね)じゃーもしはーちゃんのほっぺがなくなっちゃったら?(ほっぺ早く生えてくるようにごはんたくさん作らなきゃだね)もし女の人同士が結婚したかった .... 言葉が溶け合って呼吸するような文章(世界)のことを美しいと思います。
空間を飾るような文章。言葉は本質であるかもしれないけれど、文章は額縁である方が好ましいとも。
でももう社会はそれを許容しな ....
真新しいマンションが増えてきたこのまちで
わずかに残った古いモノ
ああ、あのぼろっちい空き家ね
頑固に過去にしがみつく
なんとも無様な姿を地域住民にさらしながら
はや数十年が経過した
 ....
洗濯したシャツを畳んでいると
シャツに畳まれている私があった
痛くないように
関節が動く方向に畳んでくれた
畳み終えると皺に注意しながら
シャツはそっと私をタンスに仕舞った
衣替え ....
七さんのおすすめリスト(1404)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
風船- はるな自由詩523-7-10
陽の埋葬- 田中宏輔自由詩14*23-7-10
日曜日の夕方- 空丸自由詩1523-7-9
- 山人自由詩13*23-7-5
あじさい- 塔野夏子自由詩12*23-7-5
メモ- はるな散文(批評 ...723-7-3
梅雨の通夜- そらの珊 ...自由詩11*23-6-30
うすむらさき- はるな自由詩623-6-26
One_Day_- 空丸自由詩1623-6-22
メモ- はるな散文(批評 ...223-6-22
いつか_あえかなきみ- AB(な ...自由詩8*23-6-19
休日の途中- 日朗歩野自由詩4*23-6-17
拡がり- はるな自由詩323-6-17
夏の場面- たもつ自由詩723-6-16
成長- はるな自由詩123-6-12
夏塊つち- 蕎麦屋の ...自由詩823-6-12
アカザ- そらの珊 ...自由詩5*23-6-7
羊水- fujisaki自由詩723-5-31
動けずにいる- 山人自由詩9*23-5-29
銀紙- リリー自由詩4*23-5-29
サンドイッチマン- 本田憲嵩自由詩1023-5-28
田植えのあと- 日朗歩野自由詩9*23-5-22
夜空を見上げる理由- たもつ自由詩623-5-22
ベルゼバブ。- 田中宏輔自由詩13*23-5-22
『斎藤茂吉=蠅の王(ベルゼバブ)論』。- 田中宏輔自由詩13*23-5-22
ビー玉沿線- AB(な ...自由詩9*23-5-21
メモ- はるな散文(批評 ...523-5-20
メモ- はるな散文(批評 ...223-5-18
よしやの秘密- うめバア自由詩623-5-10
衣替え- たもつ自由詩12*23-5-9

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